カフェモンマルトル

text:高野雲

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エキセントリックでばっちぃがペ・ドゥナが光る『ほえる犬は噛まない』

      2017/04/15

tobira

ポン・ジュノとペ・ドゥナ

韓流好き?と問われれば、一時期ほどは……。

「冬ソナ」が流行った少し後ぐらいの時期は、それこそたくさん韓国の映画を観まくったんですが、今は、ほとんど観てないですね。

たぶん、昨年観た『大韓民国1%』が最後かもしれません。

色々観た中でも、記憶の中に鮮やかに残っている映画を2本あげるとしたら、『ほえる犬は噛まない』と、『グエムル-漢江の怪物』ですかね。

あ、両方ともポン・ジュノ監督の作品だ。
あ、両方ともペ・ドゥナが出ている。

おそらく、ポン・ジュノ監督が描こうとする、ちょっと不条理な世界観を具現化してくれる最適な女優がペ・ドゥナだったのかもしれませんね。

私は、ペ・ドゥナ大好きなんですが、韓国からやってきた女の子何人かと好きな映画や俳優の話をしているときに、「ペ・ドゥナいいよね」みたいなことを言うと、「へ?」という顔をされたことが数回ありました。

その反応は、なんというか、好きな女優の話をしている際にお笑い芸人の名前を挙げた時に相手が見せる意外な反応のようで、どうやら韓国ではペ・ドゥナは正統派というよりはエキセントリックな位置づけの女優とみなされているみたいです(もっとも、そういう反応を見せたのは数人の20代の人ばかりだから、本当のところは分からいのだけれども)。

ほえる犬は噛まない

それはそうと『ほえる犬はかまない』なのですが、この映画が醸し出す
ブラックなユーモアが、すごい好きなんです。

日常風景に違和感なく溶け込む緩い狂気とサスペンス、この温度感がたまらない。

白昼の高層団地の中の追跡・逃走劇。

その中に織り込まれるジャズの4ビート。

このシーンは、疾走する4ビートでなくてはならかったし、高速テンポの4ビートだったからこそ、この映画独特のテンションを鑑賞者に決定づけているに違いない。

黄色いパーカーを着て追うペ・ドゥナ。
逃げるイ・ソンジェ。

この二人を引いたアングルで追いかけるカメラと、かぶさる高速4ビートの組み合わせが、異常にシュール。

狂気、ブラックさ、ひきつった笑いと、スピード感を醸し出し、これ以上ないというぐらい、この映画独特の雰囲気を盛り上げているんですね。

『死刑台のエレベーター』において、車が疾走するシーンでは、高速4ビートに乗ってマイルスがミュートをつけてプレイをするトラックが使用されていたんだけれども、同じ高速4ビートでも、『ほえる犬は~』と『死刑台の~』とでは、まったく違うニュアンスが醸し出されていて興味深いといえば興味深いですね。

そして、この映画の見どころは、やっぱり、ペ・ドゥナのキャラ、でしょうね。
彼女の、ゆる~い魅力があますことなく封じ込められている作品でもある。

犬好きにとっては、ちょっとカンベンしてよ!な内容かもしれないが、淡泊な人間関係しか描けない昨今の日本のドラマや映画に飽き飽きしている御仁にとっては、なかなか見ごたえのある映画の1本です。

オススメ。
(・∀・)b

記:2011/06/22

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