カフェモンマルトル

text:高野雲

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『真田丸』の徳川家康・内野聖陽

      2017/05/23

さながらヒーローもののラスボス

NHK大河ドラマ『真田丸』での大阪の冬の陣。

真田丸での戦闘で、家康配下の前田勢が敗退した報告を受けた際の内野聖陽演じる徳川家康の姿は、まるで特撮ヒーローものに登場する悪の軍団のボスさながらだった。

「またしても真田にやられたか」。

このときのセリフと表情。

これはまさに、電磁ザボーガーの悪の組織Σ(シグマ)や、キカイダーの敵・ダークの首領・悪の宮博士を彷彿とさせるものがあった。



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家康・内野聖陽バージョン

『真田丸』で徳川家康を演じる内野聖陽は、たしか私と同世代だったはずなんだけれども、随分と上手に(あるいは大げさすぎるくらい?)に老齢な徳川家康を演じている。

以前彼が主役を務めた大河ドラマ『風林火山』での山本勘助の面影は微塵もない。

今回の『真田丸』の徳川家康像は、主人公が真田信繁や、彼を取り巻く真田一族であることもあり、(私は草刈正雄が演じていた父の真田昌幸が半分以上主人公だと思っているけれども)、どうしても彼らを引き立てる役柄にならざるをえない。

実際、史実では上田城の戦いで2度も徳川軍は真田の軍勢に撃退されている。

しかも、兵の数においては、徳川の軍勢よりもはるかに劣勢の真田の軍勢にいっぱい喰わされているのだ。

このような苦い過去もあることから、内野聖陽が演じる徳川家康は、天下人としての貫禄を次第に醸し出しつつも、真田親子に翻弄される親玉という側面が強調されている。

そして、その姿は、先述した通り、さながら悪の秘密結社の親分にも見えてしまうところが面白い。



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時代によって人物像が変わる

同じ史実や人物でも、視線や切り取り方を変えれば、かなり演出や人物像が変わってくる。

特に徳川家康という人物は、幼少の頃から晩年まで戦国時代における数々のエポックメイキングな出来事に立ち会っている人物でもあるため、どの時期を切り取るかによっても、役者の年齢やキャラ設定が変わってくる人物とも言える。

逆に言えば、イメージが大まかには固定されてしまっている織田信長に比べれば、どのようなタイプの役者でも演じるチャンスがある懐の深い役者と言えるかもしれない。

様々な家康像

人によってイメージする徳川家康像はかなり異なることだろう。

織田信長存命中の家康を中心に描くのであれば、比較的若めの俳優がキャスティングされ、「羽柴→豊臣政権」の時代が中心の物語であれば、壮年期から中年期の俳優が相応しいだろう。

戦国時代末期、つまり関ヶ原の戦いから大阪の陣が中心であれば、それこそ狸親父的な老練なイメージを醸し出す俳優が演じるべきだろう。

私の中での徳川家康は、やはり若い頃よりも少し年を食った俳優が演じた家康像が近い。例えば、『春日局』の丹波哲郎や、『江〜姫たちの戦国』の北王子欣也などだ。
ちょっと二人ともご立派すぎるかな?

逆に若い頃の家康、つまり、武田信玄に三方ヶ原の戦いで惨敗した頃の家康といえば、大河ドラマ『武田信玄』に登場した中村橋之助が印象に残る。

線が細く、まるで公家のようでもあり、あるいはその後の太河ドラマ『毛利元就』のイメージそのものだった。

ちょっと情けない感じの家康といえば、大河ドラマ『秀吉』の西村雅彦だろう。
まるで古畑任三郎におでこを叩かれる今泉刑事のイメージそのまんまだった。

草刈正雄が真田幸村を演じた『真田太平記』に出演した中村梅之が演じていた徳川家康は、隠居した住職って感じだったな。

夏の陣の時の家康は73歳で、当時の戦国時代からすれば、かなりの高齢だったこともあり、実際はあれぐらいのご老体の姿が正解なのかもしれない。

渡辺謙が伊達政宗を演じていたときの徳川家康役の津川雅彦の家康は良かったね。老練さと狡猾さがバランスよく共存していて。

その一方で、狡猾さのほうばかりが前面に出過ぎて、イヤ~な感じだったのが、『天地人』の松方弘樹。
なかなか腹黒くてセコいおやっさんって感じでしたね。
現代であれば、計算高いヤクザの親分って感じ。
でも、なかなか印象に残った。

『功名が辻』の西田敏行が演じる家康もなかなかでしたが、そういえば西田敏行は、『影武者 徳川家康』でも家康を演じているけど、個人的にはあの人なつっこいキャラは、家康よりも秀吉のほうがあっているような気もしますね。
西田敏行は『おんな太閤記』では豊臣秀吉を演じているけれども、『八代将軍吉宗』では徳川吉宗、『葵 徳川三代』では徳川秀忠を演じていて、なんと徳川家の将軍3名を演じているので、西田敏行は徳川色の強い役者なんですね。

福島県郡山市出身ということもあり、福島といえば、会津松平家(保科家)が長らく統治していた国ですからね。
会津松平家の初代である保科正之といえば、徳川家光の異母兄弟であり、将軍徳川秀忠の四男(庶子)だから、やっぱり生まれた地域も徳川色の強いエリアだったということも関係しているのかな?

そういえばアニメ『戦国BASARA』に登場する徳川家康は、本多忠勝という鉄人28号に乗った翔太郎くんみたいだったな。

それにしても、いろいろな徳川家康像があるもんですのぉ。

信長、秀吉、家康という戦国三英傑の中では、もっとも演じる役者の幅の広さや、設定における自由度がある人物かもしれませんね。

記:2016/12/16

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