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text:高野雲

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本田翼のブスッとくたびれた表情が妙にリアル/『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』

      2017/05/23

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honda_tsubasa

雑誌編集者というお仕事

私は以前ビジネス&経済雑誌の編集部で仕事をしていたことがあります。

この編集部の隣は20代の女性向けファッション誌の編集部。
そしてまたその隣の編集部は、10代の女性向けのファッション誌の編集部でした。
当然女性ばかりの編集部です。

そんなオシャレな編集部の女性編集者たちからは、きっと我々は顰蹙を買いまくっていたと思います。

なんたって、校了前の数日間などは、徹夜をする編集者が多いのですが、深夜や早朝になると編集部のヤローどもは(私ふくめて)皆、平気で床に大の字になって寝ているし、机の上なんかも書類や本が散乱し、とてもじゃないけどオシャレという言葉とは無縁の汚い環境でした。

そんな環境の中で仕事をしていたので、編集部の床に寝っ転がりつつも、ファッション誌で働く女性編集者の姿はたくさん見ています。そんな記憶をよみがえらせてくれたのが、現在放映中のドラマ『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』だったんですね。



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疲れた顔になる職業

このドラマの主人公・河野悦子の後輩役で、ファッション誌の編集者を演じている本田翼。

彼女の微妙に不機嫌で、なにかを諦めたような表情、そして次の瞬間に溜息をつきそうな表情が妙にリアルに感じるのです。

何故かと言うと、私がいた編集部の隣やそのまた隣のファッション誌編集者たちも皆、本田翼のような表情と立ち居振る舞いだったからです。

急いでフォローしますが、彼女たちは皆おしゃれですし、中にはとびきりのスタイルの良い美人だっていました。
しかし一様に表情が本田翼的なのです。

理由はいろいろあるでしょうが、単純に仕事自体がものすごく忙しく、常にやることだらけ、常に締め切りと「To Do」に追いかけられまくっているということがあると思います。

それに加えて、なんだかんだ言って人相手の仕事ですからね。
モデル、スタイリスト、カメラマン、プロダクションの人、場合によっては芸能人。さらに上司、アパレルの広報、印刷所、デザイナー、DTPのスタッフ、社内の間接管理部門の部署の社員などなど、それぞれ違う業界で、それぞれの業界が持つシキタリやルールの異なるところで仕事をしている人たち相手に日々、彼らに合わせて仕事をしているわけですから。
ま、それを言うなら私らも同様ではあったのですが、まぁとにかく、様々な業界の人とお付き合いをしなければならないわけなので、気疲れすることも多いわけなのですよ。

もちろん、喫煙室や社員旅行などでファッション誌編集者の女子と世間話を交わす際は普通の20代の可愛らしい女の子が多いんですよ。

でも、ひとたび編集部に戻ると仕事モードの表情に戻る。
そして、その仕事モードの表情は、何かに疲れて擦り切れた感じがするんですね。
その何かに擦り切れた感じが、『校閲ガール』の本田翼が雰囲気として醸し出していてなかなかリアルなのです。

その職業独特の雰囲気をリアルに表出

このドラマの面白さは、石原さとみが演じる主人公・高野悦子の奔放さが大きなポイントであることには違いありません。

しかし、このようなキャラの人種って、実際にはほとんどいません。
いたとしても、出版業界内においては、まずはお目にかかれない「珍種」です。
良くも悪くもドラマ・ドラマしたキャラであると言えましょう(だからイイんだけど)。

しかしそのドラマ・ドラマしたフィクション・フィクションしたキャラを地味に彩るリアルなキャラ、本田翼の存在も見逃せません。

実際にファッション誌の女性編集者を取材して役作りをしたんじゃないかと思うほどにリアル。
もちろんファッション誌の編集者にも様々な性格の女性はいますので、一括りにはできません。
しかしそれでも共通して表出している、その職業特有の一種独特なムードを本田翼も醸し出しているんですよ。

たとえば、上に貼りつけた画像。
ポケットに手を入れてマックを操作していますよね?
たまたまそういう姿勢なのかもしれないけれども、「仕事はちゃんとやってるんだけど、ちょっとだけカッタルイ感じ」が絶妙。

映画『アオハライド』しろ、月9の『恋仲』にしろ、本田翼って正直あまり好みの女優ではなかったのですが、今回のくたびれて疲れた表情で役を演じる本田翼を見て、「なかなかイイじゃん!(もちろん女優として)」と思いました。

記:2016/11/07

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>>本田翼の表情が明るくなってきた/『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』

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