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ジャズと映画と本の日々:高野雲

スチームボーイ/試写レポート

      2016/04/29

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スチームボーイ 通常版 [DVD]スチームボーイ

全編、“ゆげゆげ”した映画だった。

"ゆげゆげ”=”湯気湯気”。

スクリーンからはみ出してくるんじゃないかと思うほどの、むせかえる蒸気、蒸気、湯気、湯気、湯気。

『蒸気少年』。その名の通り、非常に湿度の高い映画だ。湯気がこの映画のもう一つの主役といっても過言ではない。

この湯気は極力CGを廃し、入念な手描きにこだわった絵なのだという。素人の私にでも分かるほど、こだわりのアングルを見せつけられたが、湯気の描写にもそれほどまでのコダワリがあったとは。

湯気だけではなく、登場するメカや機械の塊の存在感もすばらしく、重量感だけではなく、、サビのザラつき感、オイルの匂いまでもがこちらまで伝わってくるのが素晴らしい。
本当に徹底かつ入念な描き込みには脱帽してしまう。

美術だけではなく、SE(サウンド・エフェクト=効果音)も秀逸だった。

様々なリアルなサウンドが劇中いたるところで、惜しげもなく放たれている。

ギッタンバッタン、ドッタンベッタン……
リアルだ。

重量感あふれるアナログ巨大メカの歯車がきしむ。パイプがグラつく。ネジが震える。金属が悲鳴を上げる……。
900チャンネルという膨大なトラックから生み出される臨場感はすさまじい。

耳を叩くようなリアルな金属重低音を味わえるだけでも、この映画を体感する価値は十分にある。

また、13歳の主人公・レイの声を演ずる鈴木杏の声も見事に違和感なくレイと溶け合っており、劇中を盛り上げていた。

聞くところによると、彼女のお父さんは『AKIRA』のファンで、彼女自身も大友克洋のファンなのだという。親子2代の大友ファン。劇中に溶け込むのもうなずける話だ。

それとは反対に、レイの祖父・ロイドの声が、絵とまったくマッチしていなかったので違和感を感じた。

エンディングを見た限りだと、たぶん、これ、続編も作られるのだろうな。

観た日:2004/06/24

movie data

製作年 : 2004年
製作国 : 日本
監督・脚本 : 大友克洋
声の出演 : 鈴木杏、小西真奈美、中村嘉葎雄、津嘉山正種、児玉清、沢村一樹 ほか
配給 : 東宝
公開 : 7/17 全国東宝洋画系ロードショー

記:2004/07/13

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