カフェモンマルトル

text:高野雲

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『好きだ、』。久々に素晴らしい映画を観た。これはおススメ!!

      2015/11/10

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久々に素晴らしい映画を観た。

一昨年あたりから、映画を観る頻度を意識的に増やしている私。そのせいか、映画を観る目が中途半端に肥えてきてしまったキライがある。だから、ここのところ、あまり「これは凄い!」という映画にめぐり合えていなかった。

このサイトの映画鑑賞記録には、自分の評価を三ツ星評価でつけているのだが、今年観た映画のほとんどが☆の評価。

☆☆☆をつけたのは、ウォン・カーウァイ、スティーヴン・ソダーバーグ、ミケランジェロ・アントニオーニの3巨匠のコレボレーション作品の『愛の神、エロス』ぐらいなもんだもんなぁ。昨年だと、侯孝賢監督の『珈琲時光』ぐらいかな。

そんなもんだから、もちろん「つまらねぇ」ではなく、ほとんどの作品は、そこそこ楽しめてはいた。ただし、「そこそこ」なんだけど。

しかし、本日観た、石川寛監督の 『好きだ、』は、久々に「おぉ、これは凄い!面白い!」な映画でしたね。

なにはともあれ、空間の切り取り方と、余分な情報の削ぎ落とし方が素晴らしい。

空間の切り取り方といえば、侯孝賢監督の『珈琲時光』や、ミケランジェロ・アントニオーニ監督の『危険な道筋』も空間の切り取り方にまずは、「おお!」となった作品だが、石川監督のフレーミングは、先述の2作品とはまったく違うタイプ。

とにかく、シャープで、余計な情報の削ぎ落とし方が素晴らしい。カットのひとつひとつが、いちいちアートなのだ。

とくに、空が綺麗。

空を素敵に思える映画は、個人的にはすごく掴みの大きな要素。

アントニオーニの『危険な道筋』も、スクリーンよりも大きな空と、波の音で惹かれたようなものだからね。

それに、今回の『好きだ、』は、ストーリーにしろ、カメラワークにしても、ギリギリのところまで情報を削ぎ落とし、こちらの五感と想像力に訴えかけてくる。

しかも、絞りに絞って残された情報の伝え方も、執拗だけれどもクドくなく、常に、爽やかさをともなっていて、うーん、なんと言えば良いのだろう、なかなかうまく伝えられないなぁ。

たとえば、韓国のホ・ジノ監督の、余白と風景の切り取り方の巧さを、をさらに徹底的にクールに煮詰めた感じというのかな。

石川監督の作り出した行間や余白はとてつもなく広く、鑑賞者がそこにめぐらせる想像力の自由さを保証してくれるのだ。

観終わったばかりなので、ちょっと興奮気味で、自分でも何書いているか分からないけど、この『好きだ、』は、今年の大きな収穫だった。

来年、シネカノンなどで公開されるようです。

movie data

監督・脚本・編集:石川 寛
プロデューサー:土屋尚士、石川 寛
制作:土屋尚士、日下孝明、松尾宗俊、石川寛
出演:宮﨑あおい、瑛太、西島秀俊、永作博美、小山田サユリ、真柄佳奈子 ほか
2004年作品

記:2005/12/02

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