稲森いずみvsまゆゆの修羅場~『戦う!書店ガール』2話の感想

   

odeko

※注意!小説版のネタバレあり

でこドン

たぶん、今回の『戦う!書店ガール』の第二話は、千葉雄大が稲森いずみのおでこに自分のおでこをくっつけて熱を測っている「でこドン」シーンに話題が集中しそうです。

ま、それはそれで「ドラマ的」なトピックスとしてはアリだと思いますし、今後の二人(稲森いずみ・渡辺麻友)の確執を深める格好の材料にもなるでしょうから、ドラマならではの巧いエピソード作りなのではないでしょうか。

修羅場シーン

さて、第二話の感想を書いてみましょう。

『書店ガール』がドラマ化するにあたり、原作冒頭での「修羅場」、これがドラマでは、どうアレンジされるのかが、個人的には興味の的でした。

原作は、いきなり亜紀の結婚ニ次回のシーンから始まります。

書店ガール (PHP文芸文庫)書店ガール (PHP文芸文庫)

亜紀といえば、ドラマではまゆゆ(渡辺麻友)が演じる役です。

原作では20代後半の彼女ですが、ドラマでは23歳という設定。

アイドルのまゆゆがいきなり結婚ということはないだろうな
⇒ということは、結婚ニ次会のシーンもなし
⇒だとしたら、他のエピソードを持ってくる必要がある
⇒どんなエピソードになる?
⇒「あの修羅場」は、どうアレンジされる?

これが個人的には興味がありました。

書店ガールの二人、理子と亜紀は、今でこそ2人そろえば「無敵」のコンビなのですが、この「最強」の書店員コンビが生まれるまでには幾多の紆余曲折があります。

この紆余曲折に大半の紙数を費やされているのが小説の1巻なんですが、正直、私は原作の中盤までは、読んでいてウンザリしていたことを正直に告白しなければなりません。

女同士の確執や、職場内の無言のイヤガラセが、なんともジメジメしていて、読んでいくうちにムカムカしてきて、「どいつもこいつもイイカゲンにせいや!」と言いたくなってしまいました。

もっとも、「ペガサス書房・吉祥寺店閉店の危機」が訪れてからは、二人の確執が少しずつ改善され、目の前の危機に向かって真摯に仕事に打ち込む彼女たちの姿は、読んでいてとても胸のすく思いでした。

今思えば、前半までの、理子と亜紀の確執は、困難に立ち向かう主人公の2人のキャラを読者に強く刷り込むためのエピソードだったということがわかります。

つまり、それだけに、この2人の関係が初期の段階で悪化するエピソードは重要であり、原作ではそれが「亜紀の結婚ニ次会」だったのですが、ドラマでは、このエピソードはどのように置き換えられるのかな?と思っていたんですね。

で、ドラマ『戦う!書店ガールズ』の第二話では、「亜紀の歓迎会」が、その修羅場に値する舞台としてアレンジされていました。

理子の余計な一言が亜紀の怒りに火をつけるという流れを、うまくアレンジできていたと思います。

つまり、理子(稲盛いずみ)が、酔いにまかせて愚痴った内容を亜紀(まゆゆ)が立ち聞きしていてキレるという展開ですね。

原作では、ご祝儀を突っ返すまでの修羅場にまで発展するのですが、さすがにそこまでのオオゴトにはならず、酔いと疲れでダウンした理子のことを三田孝彦(千葉雄大)がおんぶして家まで連れて帰るという流れになっていましたね。

三田孝彦(千葉雄大)は、周囲の女子たちからは「王子様」と呼ばれるほどの人気キャラ。

もちろん亜紀も彼に思いを寄せていて、番組の終盤で「付き合ってください」と告白しますが、三田(千葉雄大)は、「好きな人がいるんだ」と断ります。

その「好きな人」は、副店長の理子(稲森いずみ)なわけですから、それを知った亜紀(まゆゆ)が、理子(稲森いずみ)のことを快く思うわけがありません。

第二話は、自分をふった男・柴田(長谷川朝晴)の結婚相手が亜紀だと思い込んだ理子の誤解と思い込みによってストーリーが進行していきましたが、第三話は、自分が好きな三田(千葉雄大)が理子(稲森いずみ)のことを好きだと知った亜紀(まゆゆ)の嫉妬や怒りや葛藤が描かれそう。

ますます女同士の「恋」の戦争がエスカレートしていきそうな予感です。

この作品の本領は「仕事」描写にあり

しかし、単にこれだけだったら、単なる「きった・はった・ほれた」な韓流ドラマの域を出ません(韓国ドラマのファンの皆さん、スイマセン)。

もちろん、このような「恋」をめぐるオンナ同士のバトルのほうが、ドラマ的には描きやすい上に、視聴者受けもよいのでしょうが、個人的には、『書店ガール』という作品の本領は、人間関係のゴタゴタよりも、仕事に取り組む彼女たちの生き様にあると思っています。

仕事に悩み、アイデア(企画)を実現させていくための真摯な取り組み。

そして、彼女たちの仕掛け(フェアなど)が成功したときの喜び。

私は、『書店ガール』は、「お仕事ノベル」だと思っているので、もしドラマをご覧になって『戦う!書店ガール』の世界に興味を持った方は、是非、原作を読んで、彼女たちのお仕事ぶりにも共感したり悩んだり応援してあげて欲しいと思います。

原作の1巻は、先述したとおり、理子と亜紀のキャラを際立たせるために人間関係のドロドロ描写が多めなのですが、2巻、3巻と進むにつれて、働く女性なら誰もが直面するであろう問題や、仕事そのものの描写が増えていきます。

私としては、1巻よりは2巻のほうが面白く読めました。

書店ガール 2 最強のふたり (PHP文芸文庫)書店ガール 2 最強のふたり (PHP文芸文庫)

そして、2巻よりは3巻のほうが面白く読めましたね。

書店ガール 3 (PHP文芸文庫)書店ガール 3 託された一冊(PHP文芸文庫)

近日中に、4巻も発売されるようなので、今度はどういう切り口で「お仕事」が描写されるのか、今から楽しみなのですが、書店ガールの醍醐味は「恋愛」より「仕事」にあり!と言っておきましょう。

記:2015/04/22

関連記事

>>書店ガール 感想~最後は居酒屋でビールが飲みたくなる!

 - ドラマ