カフェモンマルトル

text:高野雲

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カッコいい北川景子

      2017/05/25

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ようやく北川景子を代表するドラマが登場したのではないかと思います。

「探偵の探偵」です。

このドラマの主人公、紗崎玲奈(ささきれな)役の北川景子がめちゃくちゃカッコいいですね。

悪徳探偵の悪行を探偵するという設定もカッコいい。

まさに、女優が持つリソースと、設定、世界観がピタリと一致した感があり、これはもしかしたら、女性ハードボイルドものでいえば、『アンフェア』の雪平夏見(篠原涼子)に逼迫するほどのものがあると思っています(姫川 玲子=竹内結子の『ストロベリー・ナイト』は軽く超えている)。

もちろん「ハンサムスーツ」の星野寛子もよかったのですが、べつに北川景子ではなく他の女優でも物語は崩れないと思うし、それは『HERO』の麻木千佳も、『悪夢ちゃん』の武戸井彩未も同様です。

もっとも『謎解きはディナーのあとで』の宝生麗子は、個人的にはハマリ役だとは思いますが……。

しかし、『探偵の探偵』は、それを超えたハマリ役だと思うのです。

とにかく、悲壮感を漂わせ、傷つきながらも、戦い続ける北川景子が猛烈にカッコいい。

挌闘シーンのアクションや表情がカッコいいし、敵を欺く小技も毎週楽しみでした。

これはもう、ひと昔、いや、ふた昔前ならば、北方謙三が描くハードボイルドの世界ですね。

「男」にこだわり、「男」の痛みと悲しみを暴力や生き様を通して描こうとこだわっていた北方謙三が描き出したハードボイルドの世界を「男」ではない「女」が、いとも軽々と、しかも違和感なく実現してしまっていることに驚きを禁じえません。

以前、
>>マジすか学園とセロニアス・モンク

>>ソルトの死に様は、松田優作の死にっぷりに匹敵するカッコ良さかもしれない
にも書きましたが、
どうも最近では男性のアクションものよりも、女性のアクションもののほうが、面白い作品が多いし、彼女たちが戦う姿は現代は男性俳優よりも女性俳優のほうがカッコいいものが多いように感じます。

そういう目線で見ているから、そのような作品ばかりが目についてしまっているだけなのかもしれませんが、たとえば現在の月9の『恋仲』で、福士蒼汰と本田翼が海に向かって叫んでいた数日後には、同じ日本という国の仲で、犯罪組織(愚連隊)とハードなアクションを演じている北川景子がいるわけです。

戦うオトコよりも、戦うオンナにスポットをあてた作品の増加。

女性が戦ったほうが、汗くささが感じられない上に、優雅。

つまりカッコいいうえに美しいから、そういう需要が強くなってきているのかもしれませんね。

それはドラマに限ったことではなく、アニメにおいても、艦これ(艦隊これくしょん)やガルパン(ガールズ・アンド・パンツァー)など、うーん、なぜ男はこんなにもオンナに「戦争」や「兵器」の要素をかぶせたがるのかな?と思ってしまうほど。

ま、面白いんだからいいんだけど。

アニメの世界においての「女性進出」を振り返ってみると、70年代の『宇宙戦艦ヤマト』は、男性クルーの中、ヒロインの女性・森雪は紅一点の存在でした。

基本、戦うことはオトコの役割で、数少ない女性の職務は医療、看護など、どちらかというとサポートに回る側です。

それが、80年代の『超時空要塞マクロス』になると、男女比は一転します。

あの巨大戦艦のブリッジ(艦橋)にいるのは、艦長を除けば全員女性なのです。

航空管制から通信、艦内区画のコントロールまで、マクロスという巨大戦艦の舵取りは、女性中心で行われているところが、当時は非常に新鮮でした。

しかし、まだ艦長はオトコなんですよね。

この流れは『新世紀エヴァンゲリオン』も同様で、特務機関ネルフの長はオトコでありながらも、使徒殲滅の作戦参謀は女性の葛城ミサトさんでした。

ネルフ本部の男女比は、マクロスほど極端ではありませんが、やはりミサトさんや赤城リツコ博士が現場においてのリーダー格で、オトコのほうは、どちらかというと、彼女たちのサポート的役割を担っているので、「ヤマト」の時代からしてみると隔世の感があります。

もちろん、女性だって立派に戦闘に参加できるんだということは、「ヤマト」と「エヴァ」の間をつなぐ『機動戦士ガンダム』のホワイトベースや、銀河漂流バイファムのジェイナス号のクルーの存在も忘れてはいけないでしょう。

もちろん、両戦艦のクルーは「不可抗力」で、たまたまオンナが(そして子供が)戦争に巻き込まれてしまい、戦艦の乗組員として戦いながら旅を続けなけなければならないので、物語の中では、イレギュラーな事態で生じたイレギュラーな戦闘員という位置付けではあるのですが。

この時も戦艦の艦長(艦長的な役割を担う年長者)は、オトコで、女性がイレギュラーではなく、軍からの正式な人事として艦長になるのは、『ガンダムSEED』や『ガンダムAGE』の登場を待たなくてはなりません。

もっとも物語の本編には登場しなかったので、スルーしましたが、おそらく初の女性艦長は、移民船団マクロスの早瀬未沙さんだと思っております。

そして、今やアニメの中の戦争においては、オトコもオンナも関係なし。

むしろ、オトコを上回る戦闘力やスペックの持ち主のオンナキャラのほうが多いので、なんというか、「オトコ=戦う」というイメージは、前世代の固定イメージでしたという感が否めません。

なぜ、オトコよりも戦闘力の高い女性キャラが台頭してきたのかというと、おそらくですが、オトコのパイロットや兵士のほうが「ザコ」として描きやすい上に、「その他大勢」と視聴者に認識させやすいのかもしれません。

だって、ザクに乗る女性パイロットって、あまりイメージしにくいじゃないですか。
ザクは、名もなき兵士A、兵士Bが乗るからこそ量産型兵器なのですから。

そして、今や戦車や戦艦という、どう考えてもオイルの匂いと鉄の塊というオトコの領域にまで、軽々と女子に占拠され、生き生きと活躍している昨今。

個人的には、「いいぞ、もっとやれ!」です。

同様に、ドラマにおいてもアニメとシンクロはしてはいないと思うのですが、強いオンナ、戦うオンナが増えていますね。

ま、ドラマなんで、体力的や挌闘的に強いオンナは圧倒的にブスやデブが多いのでしょうが、そこはドラマですから、そのへんのリアリティの追求は最初から放棄しているのでしょう。

美しかったり可愛女優を使わないと、32インチ、あるいは50インチテレビを食事中に見ている視聴者が可哀想です。

だから、マジすか学園のAKBであり、探偵の探偵の北川景子なのでしょう。

そして、両方とも面白い。

もっとも、私はAKBのアイドルたちは、本業の女優たちに比べると、一般人とそれほどかわらないルックスのメンバーも多いので、だからこそ「烏合の衆」感の強い「ヤンキー」であり、「学園」なんでしょうね。

ケンさんや、文太兄貴、そして松田優作のアクションにしびれていた時代はとうの昔に過ぎ去り、今や女の子たちが元気に汗を飛ばし、血を流しながら画面の中で暴れまわっているのです。

弱っちく、無責任なオトコの代表としては、「いいぞ〜! もっと美しく暴れてくれ!」とエールを送るのが精一杯です。

記:2015/08/31

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