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text:高野雲

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「ゆとりコンビ」岡田将生&松坂桃李と『アントキノイノチ』

      2017/05/23

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yutori

ゆとりコンビ

宮藤官九郎・脚本の日曜ドラマ『ゆとりですがなにか』(日テレ系)の主人公の二人、岡田将生と松坂桃李の「ゆとりコンビ」は、なかなか情けない雰囲気を醸し出していて良い感じなんだけれども、このコンビといえば、2011年に公開された映画『アントキノイノチ』を思い出しますね。

アントキノイノチ

『アントキノイノチ』の主役・永島杏平を演じる岡田将生は、過去のトラウマを抱えながら、遺品整理業者でアルバイトをする若者です。

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物語のテーマは重く、後半まではなかなか神妙なムードで話が進むのですが、どうも無理やりアントニオ猪木に引っ掛けた感じが否めないラスト近くのシーンのため、せっかくの重くシリアスなムードが腰砕けになってしまっている感が否めませんでした。

ま、さだまさし著の原作を読んでいないのでなんとも言えないのですが。

▼原作本
アントキノイノチ (幻冬舎文庫)アントキノイノチ (幻冬舎文庫)



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吃音症

現在、月9の『ラヴソング』のヒロイン・佐野さくら役を演じるのは、シンガーソングライターの藤原さくら。
彼女は歌は上手いが吃音症に悩む女の子という設定です。

『アントキノイノチ』の主人公・永島杏平役を演じる岡田将生も吃音症という設定だったので、ふと、現在放映中のドラマのヒロインのことも思い出してしまった。

岡田将生は、藤原さくらほど露骨に「どもり」の演技をしているわけではないのだけれども、口下手で大事な一言を発する際に口ごもるところの演技は妙にリアルでした。

私も小学校や高校時代のクラスメートには吃音症の友人がいたので分かるのですが、本当に、ああいう感じなんですよね。

そういえば、最近の映画やドラマでは「どもり」のことを「吃音症」という言葉でしか表現していないけれども、「ドモリ」というのは放送禁止用語、もしくは差別用語なのかな?
もしそうだとしたら、この記事のテキストも書き直さなければならないけど。

ザンネンor地味な人の役がハマる松坂桃李

話もどって、「ゆとりコンビ」のもう一人の人物、松坂桃李の方ですが、彼は主人公の高校時代のクラスメート役を演じています。

校内で飛び降り自殺をした生徒が出るほどのいじめっ子です。
ヒドい奴です。

そして、主人公と同じ山岳部です。

登山合宿の際、崖から足を踏み外して危うく転落しそうなところを主人公(岡田将生)に助けられるんだけど、後に「自分があいつを助けた」と、あべこべの話を周囲に吹聴します。
嘘つき野郎です。

しかし、この話が嘘だとわかったとたん、カッターで主人公(岡田将生)に切りかかって殺そうとします。
ヤバい奴です。

こういうザンネンな奴の役を松坂桃李が演じているんですけど、なかなかサマになっている。

基本イケメンではあるのだけれども、こういう「カッコわるい」役も、松坂桃李が演じるとハマリ役になりますね。

実写版『ガッチャマン』のリーダー・鷲尾健の役を演じられるほどのルックスでありながらも、情けないというか、地味っぽいオーラを漂わすのも非常に上手いというか、わざとらしさを感じさせないところが良いですね。

個人的には、盲目の弁護士の役を演じた『全盲の僕が弁護士になった理由』以来、少しずつイケメン特有の角のある雰囲気が取れてきたように思います。

27歳・童貞。小学校で4年生のクラスの担任。
そして「ゆとり第一世代」。

このような役を演じている今回の『ゆとりですがなにか』の山路一豊役の松坂桃李も、なかなか適役です。

このドラマにおける岡田将生は、やはり主人公然とした役どころとキャラが配されているのは致し方ないのですが、彼の脇を「同世代的空気」を放出しながらも、真面目で一本気でありながらも、どこか情けなくて脆い雰囲気を嫌味なく醸し出す松坂桃李の存在感はなかなかなのであります。

ブッカー・リトル的存在感

『アントキノイノチ」の時もそうだけれども、岡田将生と松坂桃李のコンビって、ちょうど太陽と月の関係なのかもしれませんね。

松坂桃李は、主人公(岡田将生)のキャラクター、生き様をより一層明確に浮かび上がらせる、ジャズでいえば限りなくリーダーに近い存在のサイドマンって感じ。

つまり、エリック・ドルフィーに対してのブッカー・リトル的な存在なのかも。

エキサイティングなドルフィーのアルトサックス(あるいはバスクラリネット)を、ドルフィーとはまったく違うアプローチで存在感を主張しつつも、よりドルフィーの先進性が引き立つメロディアスなトランペットを奏でるブッカー・リトルのトランペットが思い浮かびます。

2人は、短期間の間ですが、「双頭リーダー」として、「ファイヴ・スポット」などのニューヨークのライヴハウスで演奏を繰り広げます。

At the Five Spot Complete EditionAt the Five Spot Complete Edition

一応、「双頭リーダー」のコンボですから、リトルもリーダーの一人ではあるのですが、やはり演奏を聴くと強烈な音の存在感ゆえ、主役はドルフィーで、リトルのトランペットは「2番目の主役」という趣きです。

『ゆとりですがなにか』における、岡田将生と松坂桃李の関係も、まさにそれに近い感じですね。
この2人だからこそ、ストーリーに立体感と起伏が出てきて、面白く見れるわけです。

もっとも、「ゆとりですが」に登場するゆとり世代の登場人物の中では、私は「11浪中」で、ガールズバーの店長の柳楽優弥が一番好きですけどね(笑)。

記:2016/05/09

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