カフェモンマルトル

text:高野雲

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私が「戦前ブルース」を好きな理由は、時代を突き抜けて、訴えかけてくる強烈なパワーを持っているからなのかもしれない

      2017/05/19

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Complete Recordings 1929-34Complete Recordings 1929-34

数ヶ月間、iPod miniにつないで愛用していた、ヴィクターのインナーイヤータイプのヘッドフォンが、昨日お釈迦になってしまいました。

で、今回は、オーディオテクニカの両側自動巻取り式のイヤフォンを買ってみました。巻き取り式は楽しいね。くるくるくる~っと。

それにしても、私はよくヘッドフォンとかイヤフォンを壊すよなぁ。使っているうちにすぐ、接触が悪くなってしまうんですよ。

下駄もだいたい年に2回は買い換えますが、ヘッドフォンもそれぐらいのペース?

もう、最近は、すぐ壊れるからってことで、あんまり高いものは買わないことにしてます。

どうせ、屋外で聴くんだから、細かい音質なんてどうでもいいの。

むしろ、チャーリー・クリスチャンやチャーリー・パーカー、あるいはロバート・ジョンソンやビッグ・ビル・ブルーンジーのように、音源が古くて、多少雑音がある中から力強く生き残っている音を屋外で楽しむタイプだから。

時代を突き抜けて生き残っている音は、ノイズや音質の悪さを超えて、力強く訴えかけてくるものがあります。

だから、私が戦前ブルース好きなのは、別にスクラッチノイズの「シャア、ショワー」という音が、いい雰囲気だからという理由ではなく、スクラッチノイズと時代の遥か向こうからも伝わってくる力強い波動や鼓動があるからなんです。

もちろん、音質は良ければ良いに越したことはないけれども、これって、化粧はヘタよりは上手いに越したことがないというのと同じくらいの意味。

素材です、素材。大事なのは。

イコライジングや1/1000秒単位で修正されまくった音楽に慣らされてしまった耳は、ファーストフードや、インスタント食品の合成保存料や化学調味料に慣らされてしまった舌のようなもんです。

そして、タチの悪いことに、こういうのって、習慣がついちゃうんだよね。

たとえば、ウーロン茶に砂糖を微量に混ぜたことによって、ウーロン茶の売り上げを上げたメーカーがあるらしんだけれども(そのスジから聞いた話)、白色砂糖も中毒性の高い、体内への浸透度の高い調味料だけれども、似たような麻薬性が、化学調味料や、修正されまくり音楽にはあるんだよね。

もちろん、私だって、そのようなものを食べるし、聴くけど、さすがにそればっかりだと死にそうになる。

選択の幅はもっと持ちたいものですね。

せっかく、これだけ、たくさんの種類のものが世の中には溢れているんだから。

化粧よくて、素材悪しは、本末転倒。

劣悪なオーディオ環境にも負けずに、それを突き抜けて訴えかけてくる音の力強さが最初から宿っているか、宿っていないか。

なんだと思います。

だからといって、べつにあえて、悪いオーディオを奨励しているわけじゃあないんだけどね。

優れた表現には、様々な要素を突き抜けても、なおも生き残る強さとパワーがあるんだよね。

つまり、こちらのアンテナが多少錆びていても、きちんと時代やハードの性能の良し悪しを超えて、こちらのマインドの中にするりと、あるいは力強く飛び込んでくるのです。

チャーリー・パットンの音源なんか、まさにそうだよね。
彼の力強い歌声は、おそらく「生」で勝負したら、昨今のJ-POPのアーティストなんぞ、瞬殺100人以上でしょう。

ああ、チャーリー・パットン聴きたくなってきたなぁ。

記:2005/12/11(from「趣味?ジャズと子育てです」)

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