カフェモンマルトル

text:高野雲

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ジャズを愉しむ最短距離。それはチャーリー・パーカーに親しむことだ

      2016/11/09

Complete Savoy SessionsComplete Savoy Sessions/Charlie Parker

モダンジャズの中心

モダンジャズはチャーリー・パーカーを基準に考えれば良い。

パーカーを楽しむ感性を持つことが、ジャズを楽しめる最短距離でもあるのだ。

逆に言えば、パーカーを楽しめない人は無理してジャズを聴かないでもいいんじゃないかとすら思ってしまう。

努力して、何百枚ものCDに大枚をはたいたところで、その投資が必ずしもジャズの理解やジャズの快楽につながるかどうかは、別問題。

音楽はべつにジャズだけじゃなく、クラシックとか、ポップスとか、最近は70年代のロックなんかも基礎教養な「お勉強」な部類にはいってきちゃっているようだから、そっちの方に関心のターゲットをチェンジしてもいいんじゃないかな?



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皆、パーカーの影響を受けている

最近ではアジエンスのCMにも出ている矢野沙織がパーカー追随者として有名だが、パーカーが活躍していた50年以上も前の時代から、多くのジャズマンがパーカーに近づこうと努力をし、研鑽に励んでいた。

サックスのみならず、トランペットのマイルスだって、違う方法論でパーカー的快楽を追い求めていたといっても過言ではない。

チェンバースのベースソロからもパーカー的フレーズが出てくるし、とにかく楽器の種類を飛び越えてパーカーの影響力というものはすごいものがある。

というよりも、ある意味、モダンジャズの「言葉」を作った人だから、パーカー以降の人は、その言葉を軸に表現をするか、パーカー言語から離れて独自の言葉を作るの選択肢しかないわけだ。

パーカー以降のジャズは、いかにパーカーに近づき、いかにパーカーから離れるかといったパーカー重力圏との関わり方の歴史そのものと言っても過言ではない。

だからといって、パーカーはそんなに偉い、すごいって言葉の知識を持っちゃうと敬して遠ざける人も出てくることだろう。

そんなことはない。

まずは、とにもかくにも、サヴォイのレコーディングを聞きましょう。
とにもかくにも、ライブラリーに加えましょう。

今聴いて分からなくても、3年後に思い出したときにでも耳を通してみなさい。
3年後に分からなくても、5年後にまた聞き返してみてみよう。

まず、内容の良さや演奏の素晴らしさは折り紙つきだし、いうなればモダンジャズの基礎用語辞典的存在でもあるこの演奏を好きになればなるほど、難解に感じていたジャズの表現が「分かって」しまうのだ。

100枚のディスクを買って、「あれは好き」「これは嫌い」と甲乙つける作業にいそしむ暇と余裕があれば、「サヴォイのパーカー」を買って聴く時間に当てたほうが、有意義で豊かな行為だと私は思う。 私がそう思うだけだよ、他の人はどう思うか知らないけど。

ホンモノ評論家とニセモノ評論家

どの世界にもホンモノとニセモノが存在するのはいたし方のないことだが、当然、ジャズのレビューアー(評論家)にも、ホンモノとニセモノが存在する。

いい見分け方を教えよう。

ニセモノとはすなわち、パーカーを分かっていない人。理解していない人。
好きとか嫌いとか以前に、その対象の根っことなる部分を押さえていないということは問題外だ。
基礎教養の無い人が何語っても、それは信頼に値しない。

私に言わせれば、パーカーを分かってない人、パーカーを語れない人が、どんなに素晴らしい評論を雑誌や本やブログに書いていても、それは眉唾ものだ。

少なくとも私は信用できないし、信用しないし、第一、そんなんに付き合う時間がもったいないので、読まない。
冷やかしで読むことはあるけど。

ジャズ初心者は、人によって勧めるアルバムはさまざまで、ではいったい、誰のレビューを信頼してディスクを買えばいいのか?と迷う人もいると思う。

そういうときは、その人はパーカーについてどう評しているのかをチェックしてみるといい。
パーカーについてどう書いているのか、どう表現しているのか、どう受け止めているのか。これをチェックするだけでも、恐ろしいほど評者のジャズの理解度、レベルがバレてしまうもの。

次いで、モンクに関しても同様な実験が可能だが、まずはパーカーが手っ取り早く、分かりやすい。

面白いのでお試しあれ。

なんてことをやってる暇があれば、パーカー聴いたほうがマシか。
サヴォイ聴こう、サヴォイ聴こう。
みんなでサヴォイのパーカーを聴こう。

記:2009/03/14

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