カフェモンマルトル

text:高野雲

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クラリネット・ア・ラ・キング/ベニー・グッドマン

      2015/05/03

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Goodman a La King 2Goodman a La King 2

《イット・ネヴァー・エンタード・マイ・マインド》といえば、マイルス・デイヴィスの名演を思い浮かべる人が多いと思うし、あるいはキース・ジャレットやジョン・ルイスのバージョンが好きという人も多いかもしれない。

いずれも、これらの《イット・ネヴァー・エンタード・マイ・マインド》は、しっとりとしたバラード調の演奏。

しんみりと、ほろりと聴くための曲だと認識している人も多いのでは?

ところが、ところが。

1940年にベニー・グッドマン楽団が吹き込んだ歌入りのこの曲は元気一杯。

軽快なグッドマンの短いクラリネットソロからスタートする《イット・ネヴァー・エンタード・マイ・マインド》は、明るい。楽しげ。

ミディアム・テンポで心地よくバウンスしてゆく。

ヘレン・フォレストの歌声が、いかにも“古きよきアメリカ”な香りがして良い。

同じ曲なのにこうも違うのか、と驚くこと必至。

この曲が入っているベニー・グッドマンの『クラリネット・ア・ラ・キング Vol.2』は、私の愛聴盤。

30年代末から40年代頭までのベニー・グッドマンの作品を集めた内容だが、どれもが楽しくハッピーな気分になれる曲ばかり。

フレッチャー・ヘンダーソンが参加した《ヘンダーソン・ストンプ》の軽やかで楽しげなノリとメロディなんて、昨今のジャズが忘れがちな“楽しさ”を教えてくれるような気さえする。

ペギー・リーの歌も入っている。

13曲目の《ハウ・ディープ・イズ・ジ・オーシャン》だ。

そういえば、この曲もマイルスがしみじみとした演奏をしている。ブルー・ノート盤のものだが、やはりこの前出の《イット・ネヴァー・エンタード・マイ・マインド》と同様に、マイルスの演奏は、ピリリと締まって、ホロリと感動させるムードだが、グッドマンのバージョンは、ゆったりと楽しげだ。

私の場合は、マイルス→グッドマンという順番で遡って聴いているので、マイルスが演奏したバージョンと比較するようなかたちで、グッドマンの世界に少しずつ馴染んでいった。

そういった意味では、一番よく聴いたし、今でもグッドマンの作品の中では一番の愛聴盤だし、万人にオススメしたい気軽に聴けるグッドマンの一枚なのだ。

album data

Volume 2:CLARINET A LA KING (Columbia)
- Benny Goodman

1.Zaggin' With Zig
2.It Nerer Entered My Mind
3.Henderson Stomp
4.Superman
5.Yes!My Darling Daughter
6.Bewitched
7.Scarecraw
8.Solo Flight
9.Cherry
10.I Found A Million Dollar Baby
11.When The Sun Comes Out
12.Pound Ridge
13.How Deep Is The Ocean?
14.The Earl
15.Caprice XXIV Paganini

Benny Goodman (cl)
Helen Forest (vo) track-2,10,11
Peggy Lee (vo) track-13
Unknown (vo) track-5
Billy Buterfield (tp)
Al Davis (tp)
Alec Fila (tp)
Irving Goodman (tp)
Chris Griffin (tp)
Jimmy Maxwell (tp)
Ziggy Elmon (tp)
Cootie Williams (tp)
Red Ballad (tb)
Vernon Brown (tb)
Cutty Custshall (tb)
Lou McGarity (tb)
Red Gingler (tb)
Ted Vesely (tb)
Gus Bivona (as)
Buff Estes (as)
Jimmy Horvath (as)
Gene Kinsey (as)
Skippy Martin (as)
Toots Mondello (as)
Clint Neagley (as)
Les Robinson (as)
Bob Snyder (as)
Georaie Auld (ts)
Bus Bassey (ts)
George Berg (ts)
Jack Henderson (ts)
Jerry Jerome (ts)
Pete Mondello (ts)
Vido Musso (ts)
Chuck Gentry (bs)
Bob Snyder (bs)
Skippy Martin (bs)
Johnny Guarnieri (p)
Bernie Layton (p)
Fletcher Henderson (p,arr)
Mel Powell (p)
Teddy Wilson (p)
Mike Bryan (g)
Charlie Christian (g)
Arnold Covey (g)
Tommy Morgan (g)
Artie Bernstein (b)
John Simmons (b)
Mart Stuhlmaker (b)
Sid Catlett (ds)
Nick Fatool (ds)
J.C.Heard (ds)
Harry Jaeger (ds)
Jo Jones (ds)
Dave Tough (ds)
Buster Harding (arr)
Skippy Martin (arr)
Jimmy Mundy (arr)
Mel Powell (arr)
Eddie Sauter (arr)

#4 New York,1940/12/18

#5 New York,1940/12/20

#1 New York,1939/12/27

#2 Chicago,1940/3/1

#3 New York,1940/11/13

#6 New York,1941/01/28

#7 New York,1941/02/19

#8 New York,1941/03/04

#9 New York,1941/03/27

#10 New York,1941/05/05

#11 New York,1941/06/04

#12 Chicago,1941/08/01

#13,14 New York,1941/09/25

#15 New York,1941/10/02

記:2004/03/16

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