ダイナ・ジャムズ/ダイナ・ワシントン

   

ブラウニーも参加

ダイナ・ワシントンは、水前寺清子だ。

♪しあわせわぁ~(んにゃ)

と、もし、ダイナが《365のマーチ》を歌ったら、結構ハマるんじゃないかと思う。

甲高い声質、粘りのあるアクの強い声と、鋭いシャウト。

水前寺清子にして、ブルースの女王、ダイナ・ワシントン。

水前寺清子もダイナ・ワシントンも、アクの強い声だが、メリハリのハッキリとした発声と、ダイナミックな唄法のためか、このような声で歌われると歌詞がスッと聴衆の耳に入ってくる。

歌詞がダイレクトに耳に響いたほうが、そうじゃない場合よりは心に響きやすい。

だからなのだろう。ダイナ・ワシントンは、ジャズやブルース系のシンガーだけではなく、ソウルやリズム・アンド・ブルース系の歌手にも多大な影響を与えている。

今回取り上げる『ダイナ・ジャムズ』は、ダイナが、クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ・クインテットを中心に、当時のエマーシーに所属していたジャズマンと共演したアルバムだ。

彼女の歌はもちろんのこと、それだけではなく、参加ジャズマンたちによる楽しくも白熱したジャムセッションが楽しめるのもポイントが高い。

雰囲気を盛り上げるために、スタジオに客を招いて行った擬似ライブ形式を取っているためか、各人のノリもライブさながら。楽しく、熱い。

正直言って、私の個人的な好みを申し上げると、ダイナ・ワシントンの歌は、そのアクの強さゆえに、3曲続けて聴くと、濃すぎてゲップが出てしまう。

しかし、このアルバムの良いところは、ダイナの歌ばかりが連続しないところ。

きちんと参加ミュージシャンを“立てる”曲も設けられていて、これが良い“箸休め”となっていることだ。

《ラヴァー・カム・バック・トゥ・ミー》でノリの良い演奏と、勢いあるダイナの歌唱を楽しんだら、次は、ダイナは不参加で、ハロルド・ランドのテナーをフィーチャーした《アローン・トゥゲザー》に流れるなど、演奏の流れがとても自然に感じる。

このような気配りの効いた曲構成ならば、ダイナの声が苦手な私でも無理なく楽しめる。

圧巻は、ラストの《ユー・ゴー・トゥ・マイ・ヘッド》だ。
しみじみとしたナンバーなはずが、ここでは、イキの良い演奏、はじけた歌唱となっている。
ラストを飾るに相応しい、大団円とでも言うべき、勢いの良さに仕上がっている。

ヴォーカルファンのみならず、ブラウニー好きにとっても、必聴、かつ楽しめるアルバムといえよう。

記:2004/06/09

album data

DINAH JAMS FEATURING DINAH WASHINGTON (Emarcy)
- Dinah Washington

1.Lover Come Back To Me
2.Alone Together
3.Summertime
4.Come Rain Or Come Shine
5.No More
6.I've Got You Under My Skin
7.There Is No Greater Love
8.You Go To My Head

Dinah Washington (vo)
Clifford Brown (tp)
Clark Terry (tp)
Clifford Brown (tp)
Herb Geller (as)
Harold Land (ts)
Richie Powell (p)
Junior Mance (p)
Keeter Bets (b)
George Morrow (b)
Max Roach (ds)

1954/08/14

 - ジャズ