デュエッツ/ヘレン・メリル&ロン・カーター

   

日本人も製作に参加

ヘレン・メリルとロン・カーターのデュオ・アルバムだ。

夕陽に染まる、今は無きニューヨークのワールド・トレードセンタービルの写真がジャケットだ。

プロデュースは、ロン・カーター。

そして、もう一人、日本人のエグゼクティブ・プロデューサーのクレジット表記があるが、プロデューサーとエグゼクティブ・プロデューサーの違いってなんだろ?

日本人エグゼクティブ・プロデューサーは選曲でもしたのだろうか?

そういえば、演奏されているスタンダードの多くが、日本人好みの定番スタンダードばかりだ。

理解不能なロン・カーター

ハスキーで、なおかつしっとりと濡れたヘレンの歌唱は、とても素晴らしいと思う。

比較的原曲のメロディを崩さずに、ストレートな歌唱で勝負をしているので、安心して聴くことが出来る。

しかし、ロン・カーターのベースが私には理解不能。

せっかくのヘレンのヴォーカルのバックで、伴奏とも効果音ともつかないベースを奏でるロン。

指さばきは鮮やかかもしれないが、「プッスン・プッツン」と腰はあるが重さの足りないトレブリーなサウンドを甘いピッチで奏でるロン。

ベースというよりは、極太の弦を張ったギターって、きっとこういう音がするんだろうなぁと想像してまいそうな音色だ。

《リトル・ワルツ》などのスローテンポの曲は、悪くないものもあるが、《枯葉》、《カムレイン・オア・カム・シャイン》、《ゴースト・オブ・ア・チャンス》などの一部で聴かされる「必殺ピッチずらし」なベースには、腰砕け。

単に好みの問題なのだが、“ウッド”ベースにしては「木」の音があまり感じられずに、「電気」臭い音がムンムンと漂っているロンのベースの音は、ヘレン・メリルのデリケートな歌唱にはミスマッチのような気がしてならない。

いっそのこと、ヘレン・メリルがまったくの無伴奏ソロで歌ったほうが、まだマシなのではと思ってしまうのは、私だけなのだろうか?

記:2002/09/14

album data

DUETS (Emarcy)
- Helen Merrill + Ron Carter

1.I Fall In Love To Easily
2.A Child Is Born
3.Come Home Again
4.Little Waltz
5.You And The Night And The Music
6.Autumn Leaves
7.Come Rain Or Come Shine
8.In A Mellow Tone
9.The Summer Knows
10.There Is No Greater Love
11.Lover Man
12My Funny Valentine
13.I Don't Stand A Ghost Of A Chance With You

Helen Merrill (vo)
Ron Carter (b)

1988/12/08 & 09

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