カフェモンマルトル

text:高野雲

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ベースを弾くフォームに関して

      2016/12/30

リラックス!

精神、肉体ともに、常にリラックスした状態で、体に負担をかけないフォームが大前提だ。

拳法しかり、スポーツしかり、「型」は重要だ。

良いグルーブは、リラックスした自然体から生まれる。

会話も同じことが言える。ガチガチに緊張して話すとドモりやすい。

ならば、アンサンブルを支える屋台骨のベースがドモってどうする?

常に理想の型を模索せよ。

現在の自分のフォームが最高だとは思うな。

常にベストと思われるフォームを考えながら練習せよ。

腱鞘炎になるようなフォームは正しいフォームではない。

たとえインパクトがあろうとも、たとえ凄いフレーズが生み出されようとも、翌日に体を痛めてベースを弾けないような奏法はフォームとしては認めない。

では、具体的に。

左手の親指は常にネックの裏。

1指、1フレットを原則とする。

ただし、指が短い人や、音程にシビアにならざるを得ないフレットレスの場合は、ウッドベースのポジションと同様、ローポジションにおいての薬指は小指の「補強」として機能させたほうがベターだ。

つまり、1フレット目は人差し指、2フレット目は中指、3フレット目は薬指ではなくて、薬指と小指と一緒に押弦するという発想。

私はこの奏法をとっている。薬指が使えない分、一つのポジションがカバーする音域は狭くなってしまうことは否めないが、だからといって、このポジショニングで不自由したことも特にない。

私は、ベースを始めた頃から基礎練としてクロマチックを行っているが、どうやらこのクロマチックが一番フォーム矯正に良いようだ。

短期間で自分にとってのベストポジションが定まる。

最低音のEから、最高音のE♭までの音を一音一音丁寧にまんべんなく綺麗に鳴らすことを心掛けて指の上で指板を這わせてゆくと、無理なフォームだと、途中どこかで必ず弾きにくい箇所が出てくる。

押さえるポジションによって、ネックの向きや角度をその都度、極端に変えるようでは、まだまだしっかりとしたフォームが固定されていない証拠。

重要になってくるのはストラップの長さ。

椅子に座って練習している高さと、立って弾く高さが一致する長さに調整すると良い。

ただし、ルックスを重視する人によってはベースの高さが幾分か高めに感じられるかもしれない。

そういう人は、鏡の前に立って弾きやすさとルックスの折衝するポイント探しを頑張ってください、というしかないが、ストラップを長くしてベースの位置を下げれば下げるほどハイポジションが弾きづらくなるので、自分の鳴らしたい音域をよく考えて高さを決めるべきだ。

私が演奏フォームが美しいと感じているベーシストは、ジャコ・パストリアス。

ビデオやアルバムのジャケットで見る彼のフォームは、肩の力が抜けていて、どこにも余分な力が入っていない。

シュトゥットガルト・アリアStuttgart Aria

 

ジャコのものすごい高速パッセージや、素晴らしいグルーブは、あのリラックスしたフォームによるところが大きいはずだ。

ジャコといえば、フレットレス・ベース。

フレットレス奏者は、いつだって音程の正確さに心を砕かねばならない。

フレッテッドベース奏者以上に、フレットレス奏者は、正確な音程を取りやすいフォームの探究に腐心しなければならない。

ネックは縦にすればするほど音程が取りやすい。

肘の関節を曲げる角度が深ければ深いほど指板の場所を把握し覚えやすくなるので、音程が取りやすくなるからだ。

ウッドベースやチェロ奏者の左腕を思い浮かべればイメージしやすいかもしれない。

フレットレス奏者のバニー・ブルネルのフォームは、床に対して限り無く垂直な構え方だし、故・諸田コウも、出来るだけベース本体を地面に対して垂直に近くするために、2本のストラップを両肩から交差させてカラダとベース本体を固定させる工夫をしていた。

もっとも、これは主観の問題だが、ネックの向きが縦になればなるほど恰好悪く、水平に近ければ近いほど、恰好良いと感じる人もいると思う。

しかし、フレットレス奏者は、恰好良いフォームだけれども、滅茶苦茶な音程で共演者に迷惑をかけるよりは、フォームを犠牲にしてでも音程の正確さを取るべきだ。

人によってカラダの大きさやクセも違うし、表現したい音楽の内容も異なるので、「このフォームが最も正しい」というものは存在しない。

こればかりは、経験と学習で少しずつ身に付けてゆくしかないのだが、常に自分にとってベストのフォームを模索する心構えは持っておこう。

記:2000/10/22(from「ベース馬鹿見参!」)

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