カフェモンマルトル

text:高野雲

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5弦フレットレス購入記~コート社のカーボウベースを5万円でゲット

      2017/05/30

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安売り楽器コーナーで……

先日、馴染みの店、お茶の水のESPの6Fにあるオールド・ギター・ガレージに顔を出した帰りに1Fの国産の安いベースやギターの置いてあるフロアを物色した。

目を引いたベースがあった。

小さなボディと、小さなヘッドが特徴の見慣れないフレットレスがいくつか置いてあるコーナーがあるのだ。

4弦と5弦のフレットレスが、それぞれ赤と黒のボディの色のバージョンで置かれていたのだ。



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激安!韓国製のベース

昔の私は、河合のブランド、ロックンのフレットレスを持っていたことがあるので、このような形状のフレットレスは別段珍しいとは思わない。

しかし、興味深いと思ったのは、その値段の安さだ。

4弦が5万8千円、5弦が6万5千円。

えらく安いではないか。

私がしげしげと見つめていたら店員が声をかけてきた。

「これ、韓国のメーカーのベースなんです。弾いてみますか?」

韓国では有名なCort(コート)社というメーカーのCurbow(カーボウ)というモデル名のベースなのだそうだ。

粗製乱造をするようなメーカーではなく、楽器職人たちが丁寧に楽器作りをしているメーカーとのこと。

値段が安いのは、日本と韓国の人件費の違いからくる差で、決してそこらへんの楽器屋の店頭に置かれている1万円ベースのような“安かろう・悪かろう”な作りではないと店員は言っていた。

興味が湧いたので、5弦のほうを試奏してみた。

木材ではなくルータイトのボディ

まず、持ったときの感触は、思った以上にボディが軽いことだった。 ボディの材質は木じゃないんです。

ルータイトという物質を使っているんですね。

なるほど、最近のパーシー・ジョーンズが使っているアイバニーズの5弦フレットレスと同じ素材だ。

ただし、ネックの部分は木材だ。

ウェンジ材にローズウッドが組み合わされて出来ている。

私が興味をそそったのが、シングル・ピックアップだ。なんとバルトリーニを使っている。

昔、75年のジャズベースをフレットレスに改造したものに私はバルトリーニを埋め込んで使っていたことがある。

ま、正確に言えば、当時はバルトリーニではなくハイエースという名前のメーカーだったが……。

バルトリーニのピックアップの特徴は、暖かく、ねっとりとした音が出ること。この音色はフレットレスの特性にピッタリとあったサウンドだと私は思っている。

案の定、以前使っていたフレットレスのときと同様、暖かく柔らかい音がした。

ただし、これは材の影響なのか、それとも電気回路の影響なのかは分からないが、いまひとつ抜けが悪いような気がする。10の気持ちで弾いても、8ぐらいまでしか音になってくれない。

ストラップを装着して持ったときのバランスは申し分ない。

ネックは23フレット分の音域があり、ハイポジションでメロディを弾くには申し分ない音域だといえる(この5弦は、ローBなので1弦の音域は4弦と同じだ)。

私はこれまで4弦しか弾いたことがなかったので、5弦を弾くのは始めてのことだが、4弦と比べると弦同士の間隔が狭いため、ちょっと弾き難い。慣れるのには多少時間が必要となりそうだ。

しかし、弦間の狭さ以上に、弾く弦を間違えてしまう。

4弦を弾いたつもりが、5弦を弾いてしまい、ボーン!とローBの最低音が鳴り響いたりと……。

これに関しては練習で克服するしかないだろう。

アクティブ回路搭載

私にとって始めての経験なのが、アクティブ回路搭載のベースだということ。

これまでの私は、アクティブベースの電気くさいヌルヌルとした音や、ブリブリした音が嫌いだったので、頑なにパッシヴにこだわっていた。

たしかにアクティブ回路搭載のベースはの音のヌケは良いのかもしれないが、妙に人工的に感じる音色が多いと思うのだ。

バンドのアンサンブルの中で低音の輪郭がかき消されないことは良いことなのかもしれないが、周囲の楽器の音に溶け込むというよりは、妙な粒立ちで他の楽器のサウンドから離れたところで浮いてしまっているベースの音をこれまでアマチュアのライブなどで何度も聴かされてきた。

これは好みの問題なので、弾いているほうとしては、自分の音の輪郭やツブがハッキリしていたほうが気持ちが良いのかもしれないが、私にとっては電気的でヌメヌメとした音でアンサンブルから浮いた音の立ち具合は気持ちが悪いものとしてしか聞こえない。

それに、いいパッシブを使えば、音のヌケも、アンサンブルへの自然な音の溶け具合も申し分ないわけなので、私は、アクティブ用のバルトリーニをジャズベースに埋め込んでいたときでさえ、出力の弱さには目をつぶりパッシブで弾いていたほどなのだから。

しかし、エフェクターをかけたりと、遊びで使うぶんには悪くないかもしれないし、セカンドベースとして持っていても面白いかな、とは思った。

買った

5弦、アクティブ……。

ここらで新しいタイプのベースにチャレンジしてみるのも悪くないかな。

なにしろ、値段が安い。

店員に価格交渉をすると、なんと6万5千円のところを5万円までに値引きしてくれるという。

ウッドベースの弦のセットを2つか3つ買ったと思えば安いものではないか。

2~3回、六本木で飲んだと思えば安いものではないか。

1~2回、デートしたと思えば安いものではないか。

買った。

買って、その足でバンドの練習に向かった。

実際、いつものスタジオのアンプに通して弾いてみると、あたりまえだが、愛用している60年のプレシジョンの音が空間を包むような感触は皆無で、直線的な音とでもいうべきか、音にふくらみと広がりはない。

しかし、これはこのベースに限らず、他のアマチュアバンドのライブで聴けるベースの一直線な音と同種のものなので、このベースに限った欠点というべきではないだろう。

値段相応の音とでも言うべきか。

いや、10万や20万円のベースでもこのような感触の音は数多く聴いてきているので、安い買い物だともいえるかもしれない。

ちょっとジャズの4ビートには不向きかなと思ったのが私の個人的な感触。

ただし、水野正敏のような腰のない4ビートをトリッキーに弾きたいというのであれば、この韓国の5弦フレットレスは充分期待にこたえてくれることだろう。

ソロ弾き向きかも

私の場合、このベースの場合は、バンドのアンサンブルよりも、ソロで使うほうが面白いと感じた。

なにしろ、アクティブ回路搭載なので、出力はある。エフェクターのかかりも良いだろう。

私はバンドではほとんどエフェクターは使わないが、ときおりやるソロパフォーマンスのときは、思い切り飛び道具としてエフェクターをかけまくることもある。

そんなときには面白い使い方が出来るかもしれないな、と思った。

また、バッハの無伴奏チェロを時々練習しているのだが、4弦の最低音(E)よりも低い音域がたまにだが出てくる。

そのときには5弦が有難い存在となることだろう。

まだ数時間しか弾いていないので、弾いたときのレスポンスの悪さは仕方のないことだが、弾き込んでいくうちに少しは反応も変わってくるかもしれない。

ま、それは今後のお楽しみということで。

この韓国のベース、値段も安く、まぁ値段以上のクオリティはあると思うので、フレットレスの入門盤としてはコストパフォーマンスの高いモデルなのであることには間違いない。

ただし、とびっきり良い音は期待しないように!

私としては、あくまでセカンド・ベースとしておススメしたいと思う。

記:2006/02/05(from ベース馬鹿見参!)

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