重厚エリントン!

      2018/09/06

apart

重厚なピアノとベースの絡みを聴け!

先日、私の好きなエリントンの5枚を並べてみたんだけど、いかん、いかん、大事なアルバムをド忘れしていた。

レイ・ブラウンのベースとエリントンのピアノのデュオ。

『ジス・ワンズ・フォー・ブラントン』だ。

これは、素晴らしい。
大迫力。

エリントンのピアノは音数少ない。
しかし、バシン!とたたきつけられる一音一音の重みといったら。

彼の含蓄ある一音は、そんじょそこらのピアニストの100音に勝る。
太く、安定したベースワークを誇るレイ・ブラウンのベースも素晴らしい。

『マネー・ジャングル』のミンガスのベースもいいが、相手がエリントンということもあってか、気負い過ぎ、負けてなるものかと挑みかかりすぎで、なんというか追い詰められた野獣が必死の形相でハンターに立ち向かってゆく切迫感に包まれており、それは良い意味でスリリングでもあるのだが、そういう調子のベースばっかりなもんだから、多少一本調子な感は否めない。

それに比べて、このブラウンの落ち着き払ったベースはどうだ。

肩の力の抜けたこの余裕っぷりから生み出される、さまざまなアイディア。
巨人同士が放つ巨音の重厚な絡み。
巧み、かつ匠の境地だ。

ゴキゲンアルトに音割れピアノ

もう一枚、私が好きなエリントンのアルバムを忘れていた。
『サイド・バイ・サイド』。

これは、アルトサックス奏者、ジョニー・ホッジスとの双頭リーダー作。
ホッジスといえば、エリントンの音楽そのものとも言える存在で、エリントン楽団に最後まで籍を置いていた、重鎮的存在。

彼のサウンドが無ければ、あのエリントンサウンドは、また違うものとなっていたことだろう。

ホッジスの明朗闊達なサックスに、ここでのエリントンはどちらかというと少し控えめ。
あくまで、盟友ホッジスに華を与え、彼を的確にサポートするかのような堅実なバッキング。

ソロも決してホッジスを食うような主張はしていないが、やっぱり、和音の響きは相当重たい。
ピアノの音が割れ、まるで悲鳴をあげているようだ。

本当にエリントンの弾くピアノの音圧は凄まじい。
いったい、どういう指をしていたんだろう?

記:2009/03/14

 - ジャズ