ジャコ・パストリアスの肖像/ジャコ・パストリアス

      2017/04/16

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ジャコ・パストリアスの肖像+2Jaco Pastorius

「とびきり」のポートレイト

ジャコ・パストリアスというベーシストの履歴書だと思う。
しかも、正面アップで撮影された「宣材」付きの。

「宣材」とは、タレントや、タレントの卵が、オーディション際の書類選考用に提出するプロフィール用の写真のこと。

お察しのとおり、「宣伝材料」の略で「せんざい」と読む。

きちんとプロのカメラマンにスタジオで撮ってもらった「とびきり」の写真が使われることは言うまでもないが、このアルバムのジャケット写真も「とびっきり」素晴らしい。

自信溢れた表情で、真っ直ぐにこちらを見つめる瞳は、どこまでもピュアで澄んでいる。

中から飛び出してくる素晴らしいサウンドと、とびっきりのジャケット。

完璧といっても良いほど、ジャコ・パストリアスという一人のアーティストを第三者に伝えるに相応しい組み合わせだと思う。

プレゼンテーション

変化に富んだアルバムの中身は、まるでジャコが聴く者に、こう語りかけているようだ。

え~、私、ジャコ・パストリアスは、こんなベーシストです。

ジャズが出来ます。

ビ・バップだって得意です。

それが証拠に、ほら、バップの名曲かつ難曲の《ドナ・リー》をベースでテーマとアドリブを弾いちゃってます。

しかも、ラストは転調までしちゃってまっせ。

コンガとのデュオってのも、面白い組合せでしょ?

あと、新しい奏法も発見しましたですよ。

ギターやベーシストがチューニングするときに使うハーモニクスって呼ばれる倍音があるじゃないですか? コーン!っていう高い音ね。

これを効果的に使えば、アンサンブルがこんなに鮮やかになるし、演奏上の良いアクセントにもなるでしょ?

さらに、ベース一台でのソロだって、ほら、こんなに綺麗に出来ちゃうんだから。

《トレイシーの肖像》ね。

あ、トレイシーはボクの奥さんの名前っす。

それに、ボク、ソウルも得意っす。

ホラ、聴いてみてくださいよ、このグルーヴ感。

ジャズとはうって変わって、反復の連続のこのリフも、ほらほら、かなぁりグルーヴしてるでしょ?

しかも、ソウルの大御所サム&デイヴという豪華ゲスト!

あと、アルトサックスはデヴィッド・サンボーンだからね!

《カム・オン・カム・オーバー》って曲ですよん。

“ジャズのベーシスト=4ビート刻むベーシスト”ってイメージだけでボクのこと括って欲しくないですからね。

色々な音楽が出来るし、やりたいと思ってまーす。

そうそう、色々な音楽といえば、スチールドラム!

多分、スチールドラムをこのようなタイプの演奏に取り入れたのは、きっとボクが始めてなんじゃないかな?

ベースのテクニックだけじゃなくて、アイディアマンとしてのボクも評価して欲しいなー。

あと、曲も作りますよー。

《コンティニューム》っていう、ちょっと哲学的なタイトルなんだけど、ほら、奥行きのある曲でしょ?

長距離バスに揺られながら作った曲でーす。

もちろん、ベース一本でも弾くことが出来る曲ですよ。

でもね、ボク、作曲だけじゃなくて、アレンジも出来るんですよ。

さっきのソウルっぽい曲のホーン・アレンジはボクだし、ハービー・ハンコックの《スピーク・ライク・ア・チャイルド》のストリングス・アレンジもボクでーす。

ベースプレイだけではなくて、様々なボクのアイディアと音楽性をトータルで捉えて欲しいな。

だから、このようなアルバムを作りました。
是非聴いてね。

…って声が聞こえませんか?(聞こえるわけないか)

・アイディア豊富
・切り口多彩
・テクニック抜群

と、3拍子が揃った、ゴチャ混ぜなのに、「ジャコ!」という一本の太い芯が通った名盤なのです。

『ジャコ・パストリアスの肖像(邦題)』というアルバムは。

album data

JACO PASTORIUS (Epic)
- Jaco Pastorius

1.Donna Lee
2.Come On Come Over
3.Continuum
4.Kuru/Speak Like A Child
5.Portrait Of Tracy
6.Opus Pocus
7.Okonlole Y Trompa
8.(Used To Be A) Cha-Cha
9.Forgotten Love

Jaco Pastorius (el-b,horn arrangement,strings arrangement)
Sam & Dave (vo) Track-2
Randy Brecker (tp) Track-2
Ron Tooley (tp) Track-2
Peter Gordon (frh) Track-7
Peter Graves (bass-trb) Track-2
Hubert Laws (piccolo) Track-8
Wayne Shorter (ss) Track-6
David Sanborn (as) Track-2
Michael Brecker (ts) Track-2
Howard Johnson (bs) Track-2
Herbie Hancock (el-p) Track-2,3,4,6,8,9
Alex Darqui (el-p) Track-3
Ohello Molineaux (steel-ds) Track-6
Lerow Williams (steel-ds) Track-6
Narada Michael Walden (ds) Track-2
Lenniy White (ds) Track-3,6,8
Bobby Economou (ds) Track-4
Don Alias (per) Track-1,2,3,4,6,7,8

1975年9,10,12月

記:2003/10/24

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