ディジー・ガレスピーのトランペットが曲がっている理由

      2017/08/23

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曲がったトランペット

ディジー・ガレスピーのトレードマークは、朝顔(ベル)の部分が45度上に曲がったトランペットだ。

どうして、彼は曲がったトランペットを使用するようになったのか?

諸説はいくつかあるが、まずは代表的なものから。



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女性のお尻で曲がった

これは、ディジー自身がよく述懐していたエピソードでもある。

あるパーティの際、ガレスピーは椅子の上にトランペットを置きっぱなしにしていた。

これに気づかずに、彼の奥さんのロレインさんがその椅子に座ってしまい、お尻の重さで曲がってしまったという理由。

この話は、昔は「奥さんが座ったため」だったのが、次第に「美しい淑女が」と主語が変わってゆく。

したがって、作り話の「眉唾説」であることが最近では定着しているようだ。

マフィアの男に曲げられた

もうひとつのエピソードは、こうだ。

これはドキュメンタリー映画の『ハバナジャム』で語られている内容だが、男性客に捻じ曲げられたという話。

シカゴのジャズクラブで演奏しているときに、マフィアとおぼしき男が女性を連れて店にはいってきた。

その男が休憩時間にディジーのところにやってきて、ディジーが吹いていたトランペットを500ドルで売って欲しいと頼んだという。

使っていたトランペットはそれほど高価なものではなかったので、ディジーは「しめしめ、儲かった」と思い、その男に渡すと、手にした瞬間、思いっきり目の前で曲げられてしまったのだという。

男にとっては、ディジーのトランペットのサウンドが騒々しく感じたらしい。

勿体ないので、ねじ曲げられたトランペットを吹いてみたら、これがなかなか。

この「事件」がキッカケで、ディジーは曲がったトランペットを使い始めたという。

どちらのエピソードが真実なのかはわからないが、その発端はともかくとして、なぜ使い続けているのか、ということを考えると、それなりに、トランペット奏者として都合の良い理由があるのだろう。

45度上に曲がったトランペットは、背中を丸めて吹いても、朝顔は客席の方に向くので、音が前方に放たれるという利点もある。

さらに「自分のサウンドが聞こえやすい」というメリットもある。

音量のある楽器とはいえ、トランペットの朝顔の先から放たれる音は、自分の耳からは少し距離がある。

朝顔の先を曲げることで、耳までの距離を縮まるというメリットもあるようだ。

これは、ディジーのトランペットのように、曲がったトランペットを独自に発注し使用している日野皓正も、曲がった楽器を愛用する理由を「自分の音が聴きとりやすい」としていることからも説得力のある理由だと感じる。

いずれにしても、曲がったトランペットは彼のトレードマークにもなったことだし、「怪我の功名」とは、まさにこのことをいうのだろう。

記:2013/05/16

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