夏、アマンドラの季節がやってきた

      2017/10/27

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夏、アマンドラの季節

いよいよ、『アマンドラ』に似合う季節が近づいてきた。

このアルバムは夏がよく似合う。

熱くて、煮えたぎっていて、だけれども、音表面の肌触りは、これらを抑えこんだかのようにクール。

マイルスのミュート・トランペットも、熱量を維持しつつも、どこか哀しく、サウンド全体を突き刺すように鋭い。

ニュアンスでいえば、ギル・エヴァンスとのコラボ作品『ポーギーとベス』の《サマー・タイム》で聴けるミュートトランペットに近いものがあるかもしれない。

このアマンドラのサウンドは、どこか淡々とした肌触りの『TUTU』よりも躍動感にあふれ、だからといって、身体性を誇示するような「肉」の要素は注意深く取り除かれた、クールに躍動的なサウンドなのだ。

熱くて暑いのに、一環してクールで冷ややかな肌触りも感じられる、マイルスの作品にはよくある独特なトーンを貫いている。



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名曲ずらり

『アマンドラ』は、聴きやすい人畜無害なフュージョンアルバムの1枚として位置づけている人も多いが、とんでもない。

たしかに多用されているシンセの音は確かに軽い。だからポップで薄い内容に最初は聴こえてしまうかもしれない。

しかし、音の向こうに宿る確固とした意志は、重心の低いダークな冷ややかさを感じられる。
マイルスの冷徹な視線と、はサウンド全体に貫かれ、なおかつ聴き手を誘惑する「微毒」な要素も、注意深く、いたるところにまぶされている。

統制のとれたアンサンブルにもかかわらず、「小さくまとまり過ぎ」な印象を与えず、実際のサウンド以上に、なんだかわからないけれども、得体の知れぬ「巨大さ」を感じさせるところは、さすが帝王マイルス。

老いてなお「ハッタリ」の強さに磨きがかかっているともいうべき、これこそが、凡百のミュージシャンには出しえない「マイルス・マジック」なのだ。

《カテンベ》のギラリとして日差し。
《ラウンド・ミッドナイト》から一貫して変わることのない絶望のロマンティシズム《アマンドラ》。
木陰でクールダウン、せつない《ハンニバル》。
「そこ」がどこだかわからないが、遥かかなたの「あそこ」で奏でられているかのような儚い《ミスター・パストリアス》。

印象に残る名曲がズラリ。

せっつくような哀感をふりまく「現代版ジャッキー・マクリーン」を彷彿させるケニー・ギャレットのアルトサックスも、このアレンジ、このサウンド上においてはマイルスの鋭いトランペットとはベストなコンビネーションを見せる。

記:2013/07/01

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