カフェモンマルトル

text:高野雲

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ビヴァリー・ケニー・シングス・フォー・ジョニー・スミス/ビヴァリー・ケニー

      2017/06/12

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ビヴァリー・ケニー・シングス・フォー・ジョニー・スミス(紙ジャケット仕様)Beverly Kenny Sings For Johny Smith

ジョニー・スミスのギターと溶け合うヴォイス

ビヴァリー・ケニーの隠れファンは、けっこう多いのではないでしょうか?

「好きなヴォーカルは?」と訊かれ、まっ先に挙がる名前ではないかもしれないが、「そういえば、ビヴァリー・ケニーもイイですよねぇ」なんて、5番目か6番目ぐらいに思い出す名前、それぐらいの位置づけが彼女のポジションなのかもしれないですね。

それもそのはず、彼女の残したアルバムは6枚しかないのだから。

『ビヴァリー・ケニー・シングズ・フォー・ジョニー・スミス』は、そんな彼女が23歳の時の処女アルバム。

ジョニー・スミス(g)がリーダーのギター・カルテットがしっとりと上品に伴奏をつとめています。

まるでこのサウンドに溶け合うかのようにチャーニングなヴォーカルを披露するビヴァリー。

この絹のような滑らかさは、ジョニー・スミスのウォームなギターの音色と、ビヴァリーのスムースな歌唱の相乗効果。

それもそのはず、彼女のフェイヴァリットは、スタン・ゲッツだったのだから。

ストレートな歌唱に潜むのは、気持ちの良い流麗さとウォームさ。
軽やかなノリと、多少ハスキーがかった甘いヴォイス。
加えて、この美貌。

「通」なヴォーカルファンを唸らせないわけがないですね。

いや、「通」じゃなくとも、きっと彼女のことを知らない人が多いだけで、一度聴けば、きっと彼女のヴォイスと、バックのサウンドの虜になってしまうことでしょう。



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死因はホテルの火災ではなかった

ビヴァリーの最期は、ホテルの火災。
この火事の原因は、ベッドの寝タバコが原因なのだとか。

寝タバコには気をつけましょう。

……と、書きかけて、
……しまった!事実誤認でした。

日本盤のライナーを読んでいたら、「ホテル火災云々」というのは、誤報だったとのこと。

この誤報が、誤報のまま日本の雑誌に掲載され、その内容が多くの人に信じられ、伝播されていったようです。

ですから、私も、随分前だけれども、このアルバムを紹介していただいた方から、「ホテル寝タバコ火災」の話を聴き、それをそのまま信じていたというわけ。

いちおう、いくつか、参考のために、彼女のファンのホームページもネットサーフィンをして調べたのですが、うーむ、灯台下暗し。

肝心のライナーノーツを読んでいなかった…。

改めて、アルバムを何枚か聴き返したのですが、彼女のキュートだけれども、微妙に舌足らず感のある歌声ってほんと、クセになりますね。

ちょうど、東芝EMIからも再発されていることだし、これを機会に(?)、未聴の皆さん、是非、耳を通されてはいかがですか?

奇しくも本日発売のオーケストラとの共演バージョンもオススメ!

カム・スイング・ウィズ・ミー(紙)Come Swing With Me

バックがオーケストラなだけに、より一層彼女の歌声が良い意味で「歌が上手な素人っぽさ」を醸し出し、不思議な魅力を醸し出しています。

album data

BEVERLY KENNY SINGS FOR JOHNNY SMITH (Roost)
- Beverly Kenney

1.Surrey With The Fringe On Top
2.Tis' Autumn
3.Looking For A Boy
4.I'll Know My Love (Grensleeves)
5.Destination Moon
6.Ball & Chain (Sweet Lorraine)
7.Almost Like Being In Love
8.Stairway To The Stars
9.There Will Never Be Another You
10.This Little Town In Paris
11.Moe's Blues
12.Snuggled On Your Shoulder

Beverly Kenney(vo)
Bob Pancoast(p)
Johny Smith(g)
Knobby Totah(b)
Mousie Alexander(ds)

1955年

 - ジャズ