カフェモンマルトル

ジャズと映画と本の日々:高野雲

ブラック・レディオ/ロバート・グラスパー

      2017/12/15

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Black Radio

ヒップホップ耳が反応

このアルバムを家でかけた時、最初に反応したのは、高校生の息子のほうだった。

赤ん坊の頃から、ブラックミュージック好きの親父(私のことね)が、枕元でグランド・マスター・フラッシュやパブリック・エナミーをかけていたということもあってか、中学生くらいのころからヒップホップが好きになり、高校にはいってからは、川崎や大田区在住の悪い(←ほめ言葉です)ヒップホップ仲間とつるみ、何度か小さなライブハウスでフリースタイルのバトルに出たり、新宿や渋谷でサイファーしたりしているようだから、このヒップホップのテイストがお洒落に塗されたロバート・グラスパーの『ブラック・レディオ』に反応しないわけがない。

続いて私も、ニルヴァーナの《スメル・ライク・ティーン・スピリット》に反応。
このナンバーは、昔、会社の社員同士でバンドを作っていたときに演奏していたレパートリーなので、懐かしい上に、今だに好きな曲なのです。
なるほど、ポップ・アーティフィシエルのような音処理。こういう切り口、アレンジだとずいぶん曲のムードも変わるなと思った。

Pop Artificielle

ま、ヴォコーダーを通せば、皆、そんな感じになっちゃうのかもしれないけれども。



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クリス・デイヴのドラミング

だんだん『ブラック・レディオ』のテイストに耳が慣れてくると、ドラムが滅茶苦茶カッコ良いということに気が付いた。

おそろしく俊敏なレスポンスでタイトなドラミングを繰り出すクリス・デイヴ。
これは、かなりユニークだし、非常に効果的に演奏にクサビを打っている。
シンプルではあるけれども、確実に演奏のムードの屋台骨を構築しているなと思った。

で、ヴォーカル。
エリカ・バドゥーやレイラ・ハサウェイらソウルなどの有名どころを上手に起用して、彼らのうま味を上手に引き出している。

ロバート・グラスパーのピアノ

では、肝心なリーダーは?
ロバート・グラスパーのピアノは?
となると、彼は、伴奏のみに終始しているんだよね。

ピアニスト名義のアルバムなんだけれども、ピアノにスポットを充てたピアノソロはない。
あくまで、バッキングに徹するのみ。

そして、このピアノの伴奏なんだけど、これまた気持ちよさそうに弾いているんだよな~。
あくまで、ヴォーカルやサウンドを引き立てるのが楽しくてたまらないようなピアノ。

それも、ポロリ~ン、デレリョニン、ボニョリロリンと、なんだかリズミックな伴奏とは対極の、サウンドの隙間を埋めるかのようなリッチな和声とサスティナブルな音価。

それも、どの曲も、なんとなく似たようなピアノの伴奏パターンが多い。

きっと持続性と反復性の高いピアノのバッキングは、おそらく減衰時間の短いピアノで、クッションの効いたエレピのニュアンスを出そうとしているのだろう。

最初は、なんじゃこのふにゃちんピアノは?!と思ったものだが、まあまあ、それは置いといて、響き自体は気持ちいいから、これはこれで上質なブラックミュージックとして聴けるんじゃないの?って感じで、ちょくちょく、特に朝にかけることを繰り返していた。

蕎麦のつなぎピアノ

で、よくよく聴くと、そのサウンドの心地よさに浸ってコーヒーとか飲んでると、だんだんとじわじわとグラスパーのふにゃ……、いや失礼、ピアノの和音が気持ちよく頭の中に浸透してきていることを自覚するんだよね。

それで気付いた。
そうか、彼は、蕎麦でいえば、「つなぎ」になろうとしているんだ、と。

だから、すべての曲が、ヴォーカルや楽曲のタイプが違えど、心地よい統一感がある。

なるほどね、一撃必殺インパクトではなく、耳ざわりの良さからじんわりじわじわ浸食させていく中毒性を狙っているのかもね、なんて思いながら、今日もニルヴァーナのラストナンバーから逆再生して楽しんでいる私であった。

記:2017/02/02

album data

BLACK RADIO (Blue Note)
- The Robert Glasper Experiment

Robert Glasper (p,el-p,syn,arr)
Casey Benjamin (vocoder,fl,sax,syn,arr)
Derrick Hodge (b)
Chris Dave (ds,per)
Jahi Sundance (turntables) #1,8,10,12
Stokley Williams (per) #9

- Featured Artists
Shafiq Husayn (vo) (Track 1)
Erykah Badu (vo) (Track 2, Remix EP track 1)
Lalah Hathaway (vo) (Track 3, 12)
Bilal (vo) (Track 4, 11, Remix EP track 5)
Lupe Fiasco (vo) (Track 4)
Ledisi (vo) (Track 5)
KING (Track 6)
Anita Bias (vo)
Amber Strother (vo)
Paris Strother — Keyboards
Chrisette Michele (vo) (Track 7)
Musiq Soulchild (vo), snapping (Track 7)
MeShell Ndegeocello (vo) (Track 8, Remix EP track 3)
Stokley Williams (vo) (Track 9), percussion (Tracks 9, 12)
Yasiin Bey (vo) (Track 10, Remix EP track 2)
Hindi Zahra (vo) (European bonus tracks)
Phonte (vo) (Remix EP track 1)
Solange Knowles (vo) (Remix EP track 4)
The Roots — (Remix EP track 4)
Black Milk (vo) (Remix EP track 5)
9th Wonder (Remix EP track 1)
Pete Rock (Remix EP track 2)
Georgia Anne Muldrow (Remix EP track 3)
?uestlove (Remix EP track 4)
DJ Jewels Baby (Remix EP track 5)

 - ジャズ ,

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