カフェモンマルトル

text:高野雲

チャイルズ・ダンス/アート・ブレイキー&ザ・ジャズメッセンジャーズ

      2017/05/22

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チャイルズ・ダンスChild's Dance

かのスター・ベーシスト、スタンリー・クラークも70年代の一時期には、ジャズメッセンジャーズに参加していた。

アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズにスタンリー・クラークが在籍時の珍しい(?)アルバムが『チャイルズ・ダンス』だ。

一言でいえば、趣味の良いブラック・ジャズ。

ジャズ・メッセンジャーズ特有の濃さや重さが皆無なところが興味深い。

ブレイキーのある種“大袈裟で大味”なドラミングは影をひそめ、その代わりに、時代背景もあるのだろう、曲によってはエレクトリック・ピアノが使用されたり(奏者はジョージ・ケイブルス)、エレクトリック・ベースも参加している(演奏者はもちろんスタクラ)。

70年代の上質なブラック・ジャズと呼ぶにふさわしいサウンドの肌触り。

アンプで増幅され、少々ブーミーなニュアンスを含んだスタンリー・クラークのベースの音色が、黒いニュアンスを増長させている。

また、ハリのある音色で奏でられるウディ・ショウのメロディアスなトランペットも出色の出来。

しかし、こうした個人芸以上に、どの曲も均整の取れたアンサンブルが素晴らしい。

ブレイキーの控えめなドラミングが、かえってメンバーの特色を際立たせ、色彩感に溢れたサウンド世界が形作られている。

とくに夢見心地な気分にさせてくれるタイトル曲は、フルートの起用は大正解といえよう。

柔らかなフルートの音色につつまれた旋律と、適度な黒さとグルーヴ感。

この心地よさは、ブレイキーや、メッセンジャーズが持つ、猛々しくエネルギッシュなイメージを心地よく払しょくしてくれる。

スマートで洗練された演奏は、ブレイキー、メッセンジャーズの“重クドさ”を苦手としている方にとっても安心して聴ける内容。

もっとも気軽に聴けるアート・ブレイキーのアルバムなのではないかと思う。

記:2010/02/09

album data

CHILD'S DANCE (Prestige)
- Art Blakey And The Jazz Messengers

1.C.C.
2.Child's Dance (Chritsian's Song)
3.Song For A Lonely Woman
4.I Can't Get Started

Art Blakey (ds)
Woody Shaw (tp) #1,2,4
Buddy Terry (ss) #3
Ramon Morris (ts) #1,2
Manny Boyd (fl) #2
Ramon Morris (fl) #3
George Cables (p,el-p) #1,2,4
Stanley Clark (b) #1,2,4
Mickey Bass (b) #3
Emmanuel Rahim (conga) #3
Nathaniel Bettis,Pablo Landrum,Sonny Morgan (per) #3

1972/05/23 #3
1972/07/28 #1,2,4

 - ジャズ , ,

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