ディーズ、ノット・ワーズ/マックス・ローチ - カフェモンマルトル

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ディーズ、ノット・ワーズ/マックス・ローチ

   

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ディーズ、ノット・ワーズ+1

面倒臭い男?マックス・ローチ

テキスト読むより聞く方がイイという方は、下記動画をお聞きください。だいたい話したことと同じことを書いています♪

マックス・ローチって、クリフォード・ブラウンと組んでいるときや、バド・パウエルなどのバックでドラムを叩いている時は、わりとスンナリと聴けるけれども(それでも、ちょっとアクというかクセがある)、リーダーになった時のローチって、なんだか主張が強そうで、音楽的にもアクが強そうな作品が多いという先入観がどうしてもあるんですよね。

「黒人運動の闘志」というイメージがどうしてもつきまとってしまう。
『マイルス自伝』を読んで、さらにそのイメージが強くなってしまった私。

たしかに音楽のレベルは高いけれども、ベースでいえば、チャールス・ミンガスのように、政治的主張が強そうというか、どこか小うるさそうなイメージがどうしても付きまとってしまうんですよね。

『ウィ・インシスト』を筆頭に、『イッツ・タイム』とか『不屈の闘士』などの作品が、そのイメージに拍車をかけています。

ウイ・インシスト

イッツ・タイム

不屈の闘士

リーダーアルバムじゃなくても、ロリンズの『フリーダム・スイート』とかも、「そういう雰囲気」が濃厚に漂っています。

フリーダム・スイート

それで、イメージ的にはだいぶ損をしているんじゃないかと思います。

せっかく、高い音楽性と、物凄いテクニックを持っているというのに、なんだか「色」がついちゃっているところが勿体無い。

だけど、彼がリーダーでもすいすい聴けるアルバムっていうのもあって、『ザ・マックス・ローチ4・プレイズ・チャーリー・パーカー』とか、『ジャズ・イン・3/4タイム』とかは、わりと構えることなく聴ける名盤ですらあるのに、なんだかローチのイメージって「小うるさそうな感じ」がどうしてもつきまとうんですよね。

ま、それがマックス・ローチのローチたるところなのかもしれませんが、その、「すいすい」と「小うるさ」の中間地点のアルバムが『ディーズ、ノット・ワーズ』なんじゃないかと思うんですよ。

ブラバン的サウンド

最初にコレを聞いたときは、ブラバン(吹奏楽部)の中から特に秀逸な楽器奏者を集めて結成した少数精鋭のグループの演奏のように聴こえたものです。

なにより、チューバ奏者のレイ・ドレイパーの参加が大きいのですね。

トランペット(ブッカー・リトル!)と、テナーサックス(ジョージ・コールマン!)の2管のアンサンブルに奥行きと厚みを与えているんですね。

これがもし、トランペットとテナーサックスだけだったら、ごくごく普通のピアノレスのクインテットのサウンドと何ら変わらない響きになっていたことでしょう。

それこそ、『ザ・マックス・ローチ4・プレイズ・チャーリー・パーカー』のような。

プレイズ・チャーリー・パーカー

しかし、それとは一線を画する、このアルバムならではのユニークなサウンドを生み出しているのは、やはりチューバがアンサンブルに奥行きと彩りを加えていることと、それとピアノが不参加なところでしょうね。

ブラバンって、ピアノいないグループ多いですから。

だからこそ、少人数編成の吹奏楽部の少人数編成のバンドのようにも聴こえてしまうのでしょう。

加えて、ブラバンの太鼓って、妙に(?)テクニカルな人、多いじゃないですか。

『スティック・コントロール』や『小太鼓100曲集』などの教則本をバリバリこなしている部員。

そういう人が小太鼓で腕を磨いたテクニカルな技で、うまくメロディに絡んでくれば、はい、6人編成の少人数オーケストラの出来上がり!

……そんな印象なんですよね。

このアルバムでのマックス・ローチは、バッキングとしての「リズム刻み」に甘んじるだけではなく、さすがドラマーがリーダーのアルバム、積極的にメロディに絡んでいくところが面白いですね。

特に、ドレイパー作曲の《フィリデ》というナンバーは、ホレス・シルヴァー的な旋律が印象的なナンバーなんだけれども(なんとなく《ニカの夢》に似ている)、これにも、まるでメロディの輪郭を浮き彫りにするかのように、あるいは、メロディの邪魔をせずに、いかに自身のテクニックを織り交ぜるかの実験をするかのように、とにかく小技をいたるところに利かせたドラミングを連発しているんですね。

打楽器をやっていう人に聞かせたら、「凄い!」の連発なんじゃないでしょうか。

サングラスの奥で目玉がギロリ。

少なくともソフトで優しげな印象のアルバムではないけれども、コワモテというわけでも決してない。ましてや、面倒くさい音楽以外の主張は感じられないので、ローチの「匂いのある作品」に拒絶反応を示している人でも、わりかし抵抗感なく聴けるのではないでしょうか。

音楽的にも理屈っぽくないし。
ただ、華麗で圧倒的なスティック捌きが理屈っぽく感じる人は感じるのかもしれないけれど。

『限りなきドラム』に次ぐローチの代表作といっても良い作品かもしれません。

記:2018/01/26

album data

DEEDS,NOT WORDS (Riverside)
- Max Roach

1.You Stepped Out of a Dream
2.Filidé
3.It's You or No One
4.Jodie's Cha-Cha
5.Deeds, Not Words
6.Larry-Larue
7.Conversation
8.There Will Never Be Another You

Max Roach (ds)
Booker Little (tp) #1-6
Ray Draper (tuba) #1-6
George Coleman (ts) #1-6
Art Davis (b) #1-6
Oscar Pettiford (b) #8

1958/09/04

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