カフェモンマルトル

text:高野雲

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イン・ヨーロッパ vol.1/エリック・ドルフィー

      2017/05/22

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イン・ヨーロッパ VOL.1In Europe vol.1

チャック・イスラエルズのベースが好きだ。

彼はビル・エヴァンス・トリオのベーシストを務めたベーシストであったにもかかわらず、スコット・ラファロやエディ・ゴメスといった“華”のあるベーシストの影にかくれ、いまひとつ知名度がなく、演奏についてもほとんど言及されることのない人ではある。

地味といえば、地味には違いないのだが、ではそんなイスラエルズのどこが好きなのかというと、とにかく音色がセクシーなんだよね。

潤いのある低音というのかな。

彼の奏でるベースの音色は、円やかで色っぽさすら感じる。

このふくよかな音色のベースが、エリック・ドルフィーの演奏を彩るとどうなるのか?

ドルフィーとイスラエルズの2人のデュオを聴けるのが、『エリック・ドルフィー・イン・ヨーロッパ Vol.1』の《ハイ・フライ》だ。

キャノンボール・アダレイの名演で有名なこの曲は、ピアニスト、ランディ・ウェストンのペンによるもの。

この曲ではドルフィーはフルートを吹いている。

芯の太いフルートの音色が軽やかに飛翔してゆくための足場作りを、黙々とこなすイスラエルズの職人気質的ベースワークが素晴らしい。

楽しげに、だけど適度な緊張感を保ちながら、淡々と綴られてゆく演奏。
じわじわと、静かな高揚感が内側から湧いてくる。

派手ではないが、味わい溢れる二人の会話をとことん楽しめるのだ。

この《ハイ・フライ》だけでも『エリック・ドルフィー・イン・ヨーロッパ vol.1』は聴く価値がアリなのだ。

ちなみに、このvol.1は、ドルフィーがアルトサックスを吹く演奏は収録されていない。

そのかわり、フルートとバスクラリネットが楽しめる内容となっている。

ヨーロッパのステージでは同じみの《ゴッド・ブレス・ザ・チャイルド》に、エキサイティングな《オレオ》はバスクラで。

《ハイ・フライ》と、《グラッド・トゥ・ビー・アンハッピー》ではフルートを堪能できる。

『ファイヴ・スポット』のようなアグレッシヴさ、『アウト・トゥ・ランチ』のような前衛的な要素は影をひそめた、じゃっかん穏やかな印象を受けるアルバムだが、落ち着いた気分でゆったりとドルフィーを楽しむにはうってつけの内容だといえるだろう。

album data

ERIC DOLPHY IN EUROPE vol.1 (Prestige)
- Eric Dolphy

1.Hi Fly
2.Glad To Be Unhappy
3.God Bless The Child
4.Oleo

Eric Dolphy (fl,bcl)
Bent Axen (p)
Chuck Israels (b)
Erik Moseholm (b)
Jorn Elniff (ds)

1961/09/08 Copenhargen

記:2010/10/11

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