カフェモンマルトル

ジャズと映画とプラモの日々:高野雲

OLトランペッターは、まるでケニー・ドーハム

      2018/10/03

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フルートは金持ちの楽器?!

先日、高田馬場のジャズ喫茶「イントロ」で、久々に朝までジャムセッションしてました。

こんなオールは久しぶり。

しかも、そのジャムセッションの前は、昼からフルート奏者たちがスタジオを借りて催す「フルートオフ会」に参加して、伴奏係のベースを弾いていたので、いったいどんだけワシゃベースを弾いているんだという。

もっとも、スタジオでのセッションの後は、フルート奏者たちが居酒屋で行う飲み会にも参加していたので、昼から翌日朝までぶっ続けでベースを弾いていたというわけではないのすが。

それにしても、フルート奏者たちが何十人も集まると壮観ですな。

とにかく音も凄いし、話す楽器について交わされる会話も新鮮です。

フルート奏者が楽器の話をしだすと、プラチナとか金とか、楽器の素材の話しが中心となり、それがまた宝石店のような貴金属業者同士が交わす話のようなのですよ。

だとすると、我々ベーシストは材木屋さん?(笑)

そして、皆さん持っている楽器の値段の話しになると、100万超える楽器もザラ。
我々ベーシストが集まってベースの話をする際、楽器の値段が50万円以上すれば、けっこう「高いですね」とか「いい買い物ですね」みたいなムードになるんだけれども、相場が違う。

もちろん、フルートの楽器の値段の相場もピンからキリまでなので、「フルート=高い」とは限らないのですが、それでも目の前で繰り広げられるフルート談義で飛び交う金額の話しを耳にすると、「フルートって金持ちの道楽なのか?!」って思うほどなのですよ。

たまたま、私が座った座席周辺に集まった人たちがそうだっただけなのかもしれませんが、でも、私をフルートオフ会に誘ってくれた方も、職業は医者だしなぁ。

ジャズなトランペットを吹く女の子

そして、夜も更けてきて、フルートオフ会の二次会で多くの人は帰路につきましたが、私とあと2人の方は、「まだまだ満足しとらへんけんね!」。

ちょうど近くに「イントロ」があったので、そこのジャムセッションに参加する流れになったわけなのですよ。

そこで共演した、トランペッターの女の子、けっこう可愛かった(笑)。

なにしろ、トランペットの音色が良い。

狭いイントロのステージの上、至近距離の1m~2m以内に浴びる彼女の音は、まるでドーハム。

そう、深く強烈にケニー・ドーハムを感じさせる哀愁の音色なのです。

音色のみならず、フレーズのニュアンス、微妙なイントネーションまでもがドーハムを彷彿とさせます。

いちばん近い例を出すと、そうですね、《K.D's ブルース》かな?

ブルーノートの『カフェボヘミアのケニー・ドーハム』に収録されている演奏なんですが、まさにこの曲で吹かれているトランペットのような、ちょっと和やかなミディアムバウンスにゆったりと歌うように乗る感じがとても良い。

フレーズとフレーズに適度に空け、はねずに、浅くバウンスしながら8分音符を連ねるこのニュアンスは、まさに《K.D's ブルース》であり、まさに「ジャズ」。

明るいフレーズも吹く。
だけど、どこかしら陰がある。

これは

後ろでベースを弾きながら、良質なハードバップを聴いているときのような心地よい気分になりました。

セッション後、「も、もしかして、プ、プロの方ですか?」と思わず尋ねてしまったほどです。

ディジー・ガレスピーも愛用したシルキーのトランペット、それも今から60年以上も前の、1940年代のモデルを無造作にカウンターに置き、「私? ふつーのOLですよ」と笑いながら酒を飲む20代前半の女の子。

カッコ良すぎます(涙)!

富士そばは朝のブルース

結局、朝までセッションをし、閉店後は、フルートの方たちと、そしてトランペッターの女の子の連れの女の子と一緒に、高田馬場駅前にある立ち食い蕎麦屋の「富士そば」に行きました。

皆、疲れていたのか、無言で蕎麦をすすっていました。

私はほうれん草蕎麦。

食べ終わった後、店の前で解散、みなさんお疲れ様。

別れ際にトランペッターの女の子は「また、お手合わせしてくださいね」。

ああ、朝日がまぶしい、富士そばのしょっぱいお汁が身体に染みてくる。

片岡義男は『味噌汁は朝のブルース』ですが、私の場合は「富士そばは朝のブルース」でした。

帰宅して、ドーハムのジャズプロフェッツのライヴ盤『アット・ザ・カフェボヘミア』を聴いたことは言うまでもありません。

記:2007/07/24

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