カフェモンマルトル

text:高野雲

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デュオ/橋本一子 & 中村喜郎

      2017/05/23

duoduo

今度はボサ!

一子さんが、今度はボサノヴァのアルバムにトライ!

実際、UB−Xのライブの時もボサナンバーの《イパネマの娘》や、《マシュ・ケ・ナダ》などのナンバーを演奏&歌っていたから、ボサ・ノヴァは一子さんの関心ジャンルの一つではあったのだろうけれども、まさか、まるまる一枚アルバムを作っちゃうとは思わなかった。

日本のボサ・ノヴァの第一人者、ギタリスト&ヴォーカルの中村善郎と2人の、その名も『duo』だ。



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手堅いギターと変幻自在なピアノ

みずみずしいピアノの粒立ち。

ボサノヴァ特有の倦怠感の濃度は若干影を潜めているものの、これはこれで脳を心地よくマッサージしてくれる極上の演奏だ。

中村善郎奏でるギターは、音の粒立ちと輪郭がクッキリ、そしてリズムの刻みは正確で安定感は抜群。
これに加えて大人のダンディさを体現したかのようなヴォーカル。
腰の入った丁寧かつ骨太なギタリスト&ヴォーカルだ。

これに絡む一子さんのヴォーカルとピアノは軽やか、かつ奔放だ。
手堅いギターとヴォーカルが演奏の太い芯だとすると、一子さんのヴォーカルとピアノは、それを自在に彩る絵の具のパレットのよう。

ある時はデリケートなタッチで美しく曲を彩るかと思えば、ある曲では結構過激に(とはいってもUB-Xほど過激ではない)前に出てくる。
一子さんの変幻自在なアプローチはこのアルバムでも健在だ。

おすすめ曲

特に3曲目の長めのピアノソロは、「出た!これぞ一子節!」と言わんばかりの、アグレッシヴなトンガリっぷりを見せてくれている。
それでいて、ボサのテイストを壊すことなく、華麗に「はみ出ている」ところがカッコいい。

この1曲を聴けるだけでも、このアルバムには耳を通す価値はアリ。
「鋭利でカッコいい橋本一子を聴けた~!」と満足感に浸れるはずだ。

あ、あと忘れてはいけないのは、スティーヴィー・ワンダーの名曲《マイ・シェリー・アモール》も収録されていること。
あの印象的なイントロを奏でるピアノの響きは、「出た、いちコード(一子コード)だ!」と、一子さんファンは思わず頬がほころぶのではないだろうか。

ついでに9曲目も一子ピアノ&ヴォーカルの、もっともオイシイ成分の含有率が高いので、ぜひ耳を通してみて欲しい。

あ、できればエレピを奏でている10曲目も素敵♪

と、音楽好きなら、ツボにはまる箇所は最低でも5~6箇所はあるはず。

そこから、どんどん興味を拡げていけば、あらら、このアルバムに収録されているナンバーはすべてフェイヴァリット!ということになってしまうはず。

新感覚のボサ

気だるいだけがボサノバではない。
もちろん、ボサノバ特有の気だるい要素もきちんとアルバム全体を貫いていつつも、それだけに終わらず、密やかに攻撃的な部分も隠れているというこのバランス感覚がたまらない。

もしかして、これまでありそうでなかった新感覚&新テイストのボサノバなのかもしれない。

橋本一子 & 中村喜郎の『duo』は、もちろん「オシャレBGM」にももってこいな上に、じっくり鑑賞にも値する素晴らしいボサアルバムなのだ。

記:2016/11/21

album data

duo (Space Shower Music)
- 橋本一子 & 中村喜郎

1. Ela é Carioca
2. Inútil Paisagem
3. Eu Quero Um Samba
4. Fotografia
5. My Cherie Amour
6. Luiza
7. Voce é Eu
8. So Many Stars
9. Horizonte~地平線
10. So Nice-Samba de Verão
11. Sonho de vento~風の夢

橋本一子 (vo,p,el-p)
中村喜郎 (vo,g)

2016/02/25&26
2016/03/09&10

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