カフェモンマルトル

text:高野雲

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デュオ/ケニー・ドリュー

      2017/05/20

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duo

流暢で饒舌過ぎるペデルセンのベースは、たしかに凄いが、聴き続けていると、次第にゲップが出てくることもある。

その上、《ウェイヴ》のテーマは、ベースのピッチが酷い。

“そういう時代”だったからなのか、あるいはアルバムの流れが単調になることを防ぐための苦肉の策なのか、ケニー・ドリューがエレピねぇ。

などなど、個人的には受け付けないところもあるアルバムだが、冒頭の二曲、「静けき森の中で」と「カム・サマー」は感動的だ。

一曲目はペデルセンのベースに、二曲目は、ロマンティックなドリューのピアノに存分に浸ろう。

《森の中で》は、デンマークの古い童謡で、非常に素朴なメロディの曲。スタティックさゆえか、あまりジャズっぽさは感じない。

また、《カム・サマー》はドリューのオリジナルだが、これもあまりジャズっぽいノリでもメロディでもない。

しかし、これらベタなメロディの曲のほうが、このアルバムでは私にとっては聴き応えのある内容に感じるので、面白い。

『デュオ』の肌触りは、個人的にはクラシックの室内楽を鑑賞しているような気分になる。

《クリスティーヌ》も美しいコードの流れとメロディを持った曲で、これはペデルセンの作曲。

さすがに自分の曲だけあって、曲頭のアルコといい、パーフェクトなベースソロといい、このアルバムではペデルセンのベスト・プレイといえよう。

この演奏ぐらいまでは、ペデルセンのベースもあまり鼻につかない。

鼻につきはじめるのは、後半になってから。

やっぱり巧くて饒舌なベースは数曲でお腹一杯になってしまう、だなんて贅沢過ぎる物言いか。

通し聴きをせずに、聴きたい曲を数曲チョイスし、腹八分目の段階で止めておくのが、このアルバムの聴き方の極意なのかもしれない。

'73年、コペンハ-ゲンでの録音。

この落ち着いて、澄んだ雰囲気は、いい意味で、ジャズっぽい“毒気”の抜けた演奏は、北欧の澄んだ空気のなせるわざなのだろうか。

album data

DUO (Steeple Chase)
- Kenny Drew

1.I Skovens Dybe Stille Ro-take 2
2.Comme Summer
3.Lullaby
4.Kristine
5.Serenity
6.Det Ver En Lφrdag Aften
7.Do You Know What It Means To Miss New Orleans
8.Wave
9.Duo Trip
10.Hush-A-Bye
11.I Skovens Dybe Stille Ro-take 1

Kenny Drew (p)
Niels-Henning φrsted Pedersen (b)

1973/04/02 at Wifoss Studio,Copenhagen

記:2003/01/07

 - ジャズ , ,

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