フールズ・ラッシュ・イン/モニカ・ルイス - カフェモンマルトル

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ジャズと映画とプラモの日々:高野雲

フールズ・ラッシュ・イン/モニカ・ルイス

      2018/09/07

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フールズ・ラッシュ・インフールズ・ラッシュ・イン

和みの「にひひ」

にひひ、モニカ・ルイスです。

あ、あまり、この「にひひ」には意味がないのですが、このジャケットを棚から取り出したとき、そして、CDを取り出して、トレイに乗せるときの気持ちを表現しようとすると、限りなく「にひひ」に近いのかもしれません。

とはいえ、ヤらしい意味での「にひひ」ではなく、和みと、リラックスと、うっとり気分が33%ずつミックスされたときのような気分、プラス1%が、「いちおうキチンと聴こうよな!」という気合いの要素。

これがこのアルバムを聴こうと思ったとき、および、聴いているときの気分です。
とはいえ、「にひひ」だなんて品がありませんね。反省。

奥行き感

このアルバムのテイスト、一言で言えば「ムーディ」なんですが、ただ「ムーディ」の一言では片づけられない奥行きもありますね。

この表現の奥行き感は、さすがビリー・ホリデイの影響を受けたと語るだけのことはあり、表面的に受ける肌触りとは違った重さと粘りをいたるところで感じられる。

見かけによらず……、というと大変失礼なぐらい、彼女は本格派。

神保町のジャズ喫茶某マスターのように、いつまでもアン・バートンとヘレン・メリルの代表作2枚で「にひひ」な人生で年を取っていくのもいいけど(笑)、もっと白人ヴォーカルで「にひひ」な方はいっぱいいらっしゃるのです。
(そういえば、日本盤のライナーは寺島靖国氏だったような)

もっともっと「にひひ」のレンジを増やそうよ、と私はさすがにマスターには言えませんが(言うとムクれるので)、自分には時おり言い聞かせているのでありました。

単にムーディなだけではない

先述した「ムーディ」の一言では片づけられないというのはどういうことなのかというと、ハスキーヴォイスな彼女が繰り出す歌唱のしっとりさ&まろやかさとは裏腹に、芯にはかなりタフなものを有しているということ。

さすが、ビリー・ホリデイに影響を受けているというだけのことはあり、さらには女優業もしていたということも手伝ってか、けっこう人生や恋愛や生活の中のシリアスな部分もグッと掴み、押さえ、それを露骨にではなくオブラートに被せた上で、美しい歌声で中空に放り投げている。

単なるムーディ&リラックスだけが売りの美人シンガーではないということは、2~3回耳を通せばすぐに分かることでしょう。

だからこそ、日本では「知る人ぞ知る」通好みな歌手としてあまり知名度はないかもしれないけれども、好きな人はとことん好きで長年モニカを愛聴し続けているというのも頷けるような気がする。

ムード溢れるジャケットも手伝い(違うジャケ写だった時代もある、ちなみにタイトルも『バット・ビューティフル』だったこともある)、いつまでも大切に聴き続けたいジャズヴォーカルの秀逸な1枚であることは間違いない。

記:2007/03/02

album data

Fools Rush In (Roulette)
- Monica Lewis

1.But Beautiful
2.What'll I Do
3.Do It Again
4.You'd Better Go Now
5.But Not For Me
6.Isn't This A Lovely Day
7.You Make Me Feel So Young
8.Fools Rush In
9.Am I Blue
10.I'd Do Anything For You
11.People Will Say We're In Love
12.You Don't Know What Love Is

Monica Lewis (vo)
Jack Kelly and his ensemble

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