フォレスト・フラワー/チャールス・ロイド

      2017/05/20

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フォレスト・フラワーForest Flower

リーダーとサイドマン

キース・ジャレットを聴くためのアルバム。
と、以前発行していたメルマガに書いた記憶がある。

それほど、当時若干21歳のキースのピアノが、素晴らしいのだ。

特に1曲目のタイトル曲。
キースの目も覚めるようなブライトで溌剌としたピアノは、眠たげなロイドのまろやかなテナーとは良い対比をなしている。

キースだけではなく、セシル・マクビーのガッシリとした強靭なベースワークも素晴らしいし、ディジョネットのドラムもワイルドながら的確なサポートぶりを発揮している。

だから、「リーダーが抜ければ、最高なのにね。」とか「リーダーいなけりゃ、ベーシストは違うけれど、立派にキース・ジャレット・トリオだよな」などと、生意気な冗談を飛ばしていた私。

冴え渡ったピアノを弾くキースと比較すると、リーダーの存在感が希薄に感じていたのだ。

だが、そんな私は甘かった。
よく聴くと、リーダーのロイドだって、ちゃんと凄いのだ。



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ロイドのテナー

印象的なタイトル曲の作曲者はもちろん、ロイド。

そして、一見、キースのブライトなピアノの音色と比較すると、たしかにエッジの丸さが目立つロイドのサックスだが、この音色が醸しだす夢見心地な雰囲気は絶品だ。

やさしく、そして、気づかれない程度に執拗に、まるで大きな円を描くように繰り返されるロイドのテナーは、聴き手をまるで催眠状態におとしいれるかのようだ。

音色にゴツゴツさが無いかわりに、微妙に強弱をつけながら、少しずつ演奏の温度を高めている。

そして、少しずつ高みに昇りつつも、流麗に流れてゆくサックスの心地よさといったら。

聴き手の神経を逆撫でしたり、ハッと驚かすようなことをしないかわりに、気づいてみれば、じわじわといつのまにかこちらの意識に入り込んでいるという、なかなか意識への浸透性の強いサックスだ。

「ブロウしてれば、すげー。エグい音色で吹きまくっていれば、すげぇ」とは限らないのだ。

そう思っていた、子供じみた自分に反省。

ロイドとピアニスト

もちろん、キースのピアノは破格だ。
彼のピアノに対して抱く感想に関しては、今も昔も変わらない。

キースの存在がなければ、ロイド・カルテットの演奏は、終始ぬる~い感じになっていたかもしれない。

そして、そのことにロイドはちゃんと気付いていたに違いない。

自分の演奏をピリリと対比効果として引き締める役どころとしてキースを配したのだろう。

ロイドのテナーを玉子丼だとすると、キースはピリリと味を引き締め、そそる香りを放つ七味唐辛子のようなもの。

そして、キースも己の役どころを心得ていたに違いない。

ちなみにECMの総帥マンフレート・アイヒャーは、この演奏を聴いて感激し、ECMでのキースの録音を決めたそうだ。

そういった意味でも、このアルバムはキースの出生作でもある。

チャールズ・ロイドは名ピアニストを発掘するのがうまい人と評されている。

古くは、キース・ジャレット。
そして、もう一人、彼がグループで使った優れたピアニストで有名なのは、ミッシェル・ペトルチアーニ。

両者ともに、明晰でブライトなタッチが印象的なピアニストだ。

ロイドは自身のくすんだ甘いテナーの音色に対して、良い意味で対比効果を生み出すタイプのピアニスト、つまり輪郭のハッキリとしたブライトなトーンを奏でるピアニストが好みなのかもしれない。

1966年の第9回、モンタレー・ジャズ・フェスティヴァルでの実況録音。日曜日の午後の演奏。

「サンセット」のキースのソロに飛行機の音がかぶさっている。
これは、会場近くに空港があるからだとのこと。

album data

FOREST FLOWER (Atlantic)
- Charles Lloyd

1.Forest Flower-Sunrise
2.Forest Flower-Sunset
3.Sorcery
4.Song Of Her
5.East Of The Sun

Charles Lloyd (ts,fl)
Keith Jarrett (p)
Cecil McBee (b)
Jack DeJohnette (ds)

Recorded at Monterey Jazz Festival on the afternoon
1966/09/18

記:2003/02/11

 - ジャズ ,

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