カフェモンマルトル

text:高野雲

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銀河一わかりやすい!初心者向けジャズ超入門・おすすめベスト10!

      2017/09/24

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楽器を聴こう!

以前書いた記事「宇宙一わかりやすい!初心者向けジャズ超入門・おすすめベスト10!(その2)」の続きです。

基本、「初心者向けジャズ超入門・おすすめベスト10!宇宙一わかりやすい!」で紹介したジャズのアルバム10枚をベースに、聴きどころを紹介していきますが、さすがに「宇宙一」ではないかなぁと思い、今回のタイトルは「銀河一」にさせていただきました。

前回までは、親しみやすい曲、鼻歌でも歌えそうな曲を紹介し、「どうですか? 思っていたほど、そんなに難しくないんじゃないですか? だってメロディ分かりやすいじゃないですか?!」というのがメインの趣旨でした。

1~2曲くらいは、好みのメロディ、見つかりましたか?

さて、今回は「楽器」に焦点を当てて解説していきたいと思います。

ジャズヴォーカルは別ですが、前回より紹介しているジャズのナンバーには歌がありません。

インスト(インストゥルメンタル)です。

歌声も歌詞もない。

もし、普段慣れ親しんでいる音楽が歌なのであれば、そこのところが、今まで聴いてきた音楽との多くの違いなんじゃないかと思います。

歌声も歌詞もない。

だからこそ、全部同じに聴こえてしまう。

そう感じる方もいらっしゃるでしょう。

しかし、ジャズを聴く愉しみ、演奏する愉しみというものは、楽器の音色だったり、ジャズマンが楽器で奏でる素晴らしいプレイだったりします。

耳の焦点を楽器にフォーカスして聴こう!

いきなりそう言われたところで、では楽器のどこをどう注意して聴けば良いのか分からないのではないかと思います。

そこで、今回の「銀河一わかりやすいジャズ入門」では、楽器における聴くべきポイントを解説していきたいと思います。



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トミー・フラナガンのピアノ

アルバム:サキソフォン・コロッサス(ソニー・ロリンズ)

ツボを押さえたサポート

ロリンズのサックスを追いかけることに夢中になっていると、「あれ?ピアノ?ピアノの音、自分は聞いていたっけ?」とふと我に返るかもしれません。
しかし、トミー・フラナガンという、映画やドラマでいえば名脇役なピアニストが、きっちりと影となってロリンズを的確に盛り上げています。
ピアノに焦点を充てて聴いてみると、控えめながらもツボを押さえた素晴らしいサポートをしていることに気が付くはずです。


参考:サキソフォン・コロッサス/ソニー・ロリンズ

ハンク・ジョーンズのピアノ

アルバム:『サムシン・エルス』(キャノンボール・アダレイ)

繊細でエレガント

2曲目の《ラヴ・フォー・セール》。
この曲のイントロだけでも、聴く価値があります。
ピアノを弾いているのはハンク・ジョーンズ。
なんてエレガントなんでしょう。
このピアノが終わった後に、ガツン!と入ってくるリズムのギャップも面白いです。
トミー・フラナガン同様、ハンク・ジョーンズも控えめながらも、的確にマイルスやキャノンボールら管楽器奏者のプレイを支えています。


参考:サムシン・エルス/キャノンボール・アダレイ

ボビー・ティモンズのピアノ

アルバム:『モーニン』(アート・ブレイキー)

巻き舌ピアノ

冒頭のピアノを聴けば、もう一発で「ああこれはクラシックとは全っ然違う弾き方だよね~」とお気づきだと思いますが、ボビー・ティモンズのピアノは、巻き舌というか訛っているというか、独特なニュアンスを強烈に放っています。
イントロの部分だけでなく、曲の後半のピアノのアドリブにも耳を傾けてみましょう。
コロコロと円を描くように転がる感じのピアノの音の粒立ち。
そうかと思えば、後半で炸裂する和音の響き。
どれもが「気持ちえぇ~!」なのです。
このニュアンスに気持ち良さを感じられれば、ジャズの世界にドップリと浸かるようになるのは時間の問題でしょう。


参考:モーニン/アート・ブレイキー&ザ・ジャズメッセンジャーズ

マル・ウォルドロンのピアノ

アルバム:『レフト・アローン』(マル・ウォルドロン)

地盤沈下ピアノ

暗く重たいピアノの音が、まるで地面にどんどん沈んでいきそう。
私は勝手に「地盤沈下ピアノ」と呼んでいますが、《エアジン》の重たいピアノをご堪能あれ!


参考:レフト・アローン/マル・ウォルドロン

レッド・ガーランドのピアノ

アルバム:『ラウンド・アバウト・ミッドナイト』(マイルス・デイヴィス)

名イントロ

《バイ・バイ・ブラックバード》のピアノのイントロを聴いてみましょう。
弾いているピアニストは、レッド・ガーランド。
「おしゃれ!」と感じる人もいらっしゃるかもしれませんし、「なんかちょっと切ないな」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
ピアノの後にマイルスのトランペットが入りますが、デリケートなマイルスの演奏を引き立てる素晴らしい導入となっています。


参考:ラウンド・アバウト・ミッドナイト/マイルス・デイヴィス

バド・パウエルのピアノ

アルバム:『ザ・シーン・チェンジズ』(バド・パウエル)

両手でメロディ

代表曲の《クレオパトラの夢》のみならず、バド・パウエルは他の曲のテーマのメロディも両手で弾いています。
クラシックピアノを習った人ならお分かりのとおり、普通は右手がメロディ、左手は和音やアルペジオなどの伴奏を弾きますよね(バッハとかは除く)。
しかし、パウエルの場合は、リズムや伴奏はドラムやベースにまかせ、ピアノは、両手で同じ旋律を引いて、メロディに力強さをもたらすことに専念しています。
この大胆さ、力強さもパウエルの持ち味のひとつなのです。


参考:ザ・シーン・チェンジズ/バド・パウエル

コルトレーンのソプラノサックス

アルバム:『マイ・フェイヴァリット・シングズ』(ジョン・コルトレーン)

慎重、丁寧

このアルバムに収録されている《マイ・フェイヴァリット・シングズ》や《エヴリタイム・ウィ・セイ・グッバイ》が、ソプラノサックスを始めたばかりのコルトレーンの最初のレコーディングです。
だからなのか、とても丁寧かつ慎重にソプラノサックスを吹いている印象があります。
この慎重に音を選んで吹いている音から漂う雰囲気からも、誠実で真面目な彼の人柄が浮かんできそうです。


参考:マイ・フェイヴァリット・シングズ/ジョン・コルトレーン

ソニー・クラークのピアノ

アルバム:『クール・ストラッティン』(ソニー・クラーク)

粘っこくコロコロ転がる

タイトルナンバー《クール・ストラッティン》のピアノソロを聴いてみましょう。
先述したボビー・ティモンズのような派手さはありませんが、よく聴くとピアノの音、一音一音にコクがあり、速いメロディが弾かれているところは、パキパキとブライトな音色ではなく、粘りを帯びた丸っこい音色がコロコロと転がるように聞こえます。
この丸っこい粘り気が、ジャズ好きにはたまらないニュアンスなのです。


参考:クール・ストラッティン/ソニー・クラーク

ポール・デスモンドのアルトサックス

アルバム:『タイム・アウト』(デイヴ・ブルーベック)

ふんわり軽やか

前回と前々回に紹介した《テイク・ファイヴ》も、《トルコ風ブルー・ロンド》も、ピアノの弾き方はかなりゴツゴツしています。
しかし、このゴツゴツピアノと対極に位置する滑らかなプレイをしているのが、ポール・デスモンドのアルトサックスです。
ふわりと軽く、あっさりとしていて聴きやすい。
ゴツゴツピアノとフワフワサックスのこの2人がコンビを組んだからこそ、人気のカルテットだったのでしょう。


参考:タイム・アウト/デイヴ・ブルーベック

リー・モーガンのトランペット

アルバム:『ディッピン』(ハンク・モブレイ)

哀愁ラッパ

《リカード・ボサ》のテーマのメロディだけではなく、演奏中盤のリー・モーガンが奏でるトランペットのアドリブも耳で追いかけてみましょう。
ツヤのある高音で、なんとも切なくメロディアスな旋律を奏でているではありませんか。
ブライトな音色と音に瞬発力のあるトランペットだからこそ、このような哀感あふれるメロディを吹かれると、「やられた!」と思ってしまうのですよ。


参考:ディッピン/ハンク・モブレイ

演奏者の個性で聴こう!

さて、今回の「楽器の聴きどころ」は、いかがだったでしょうか?

一人ひとりの演奏者には、それぞれ「個性」があることがお分かりいただけたでしょうか?

今回は「ピアニスト」のプレイやニュアンスを引き合いに出す比率が高かったのですが、鍵盤を押せば誰でも音を出せるピアノという楽器ですら、弾く人が異なれば、ずいぶんと違う世界が生まれることが分かりますよね?!

そう、ジャズは演奏者の個性で聴く音楽なのです。

この個性をビジネスマンなど身近な職業の人たちに置き換えて、一生懸命説明しようとした本が、拙著『ビジネスマンのための(こっそり)ジャズ入門』です(宣伝w)。

ご興味のある方は、ぜひご一読ください!

記:2017/06/23

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