ジャズ喫茶のブルーな客

      2017/08/06

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ブラウニーのウィズ・ストリングス

都内の某ジャズ喫茶。

繁華街の裏道にある、広さ10坪ほどの小さな店だ。

したがって、比較的大きめの音量ジャズが流れていても、カウンターに座れば隣の席の会話は筒抜け。
聞きたくなくても、耳に入ってしまうという。

会社帰りのオジさん。
10~15歳ほど年下の明らかに部下と分かる30代の青年を連れ、カウンターでビールを飲んでいる。

好きなジャズを聴けて上機嫌。ビールのピッチも早い。
この嬉しい気分を部下の若者に話さずにはいられないといった様子。

ま、誰しも喜びは共有したいという願望はあるからね。

クリフォード・ブラウンの『ウィズ・ストリングス』がかかる。

「うーん、このクリフォード・ブラウンはいいねぇ」

トランペットの人ですよね?と、上司に追従をうつ部下。

「おう、そうだ。やっぱり彼は天才だよ。お前なんかよりも、ずっと若い年で死んでいるんだぞ。23歳で死んでしまっているんだからな。明らかに早熟だよ、彼は」

※注:ブラウニーは26歳の時に自動車事故で死亡している



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コルトレーンのバラード

「そうだ、マスター。この店にはコルトレーンの『バラード』あったよな。聴きたいなぁ」

※注:筆者はこのアルバムが大嫌いである。かかるな、かけるなと祈ったことは言うまでもない。

マスターに無視されたオジさんは、気を取り直して、再びマスターに話しかける。

「なぁ、マスター、ブルーノート・レーベルって、なんでブルーノートっていうか知っているか?」

マスターに話しかけつつも、自分の部下にジャズの知識を披露して尊敬を受けようという魂胆が見え隠れしている。

「どうしてですか?」と部下。

「レコードのラベルがあるだろ? それが青いからだよ。わっはっはっは、単純だろ?」

※注:ブルーノートのオーナー、アルフレッド・ライオンは大のブルース好きだった。よって、レーベルを立ち上げる際は、「ブルースノート」か「ブルーノート」にしようかと迷ったが、結局、響きなどのよさから「ブルーノート」となった。

「よし、次の店行くぞ!」

ご機嫌な部長は(課長かもしれないが)は、おもむろに席を立ち、にこやかに部下を連れて、夜の街へ消えていった。

記:200/03/13

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