カフェモンマルトル

text:高野雲

*

ソロ/北川潔

      2017/05/21

kitagawa_kiyoshi

豪腕、豪指。

鋼の硬派ベーシスト、北川潔のベースソロのアルバムだ。

2000年1月、神戸の老舗ジャズ・クラブ「ビッグ・アップル」で演奏されたライブの模様が収録されている。

なにが良いかというと、
まずは、お馴染みのスタンダードが目白押しだということ。

《あなたと夜と音楽と》
《マイ・ファニー・バレンタイン》
《ポルカ・ドッツ・アンド・ムーン・ビームス》
《朝日のように爽やかに》
《リズマニング》
《クール・ストラッティン》
《イン・ア・センチメンタル・ムード》

など、ジャズファンならば、誰もが知っている曲を、ベース一本でじっくり聴かせてくれるところがよい。

私もベースを弾くので、デイブ・ホランドや、ロン・カーターや、吉沢元治、池田芳夫のソロベースのアルバムは何枚か持っているのだが、ほとんどの演奏がベーシストのオリジナルだったり、終始即興だったりなので、全曲、ベース一本でスタンダードだという点が、興味深い。

「鋼鉄の指」と形容すれば良いのだろうか、北川潔のベースの音色が、固くて、強靱だ。

「ゴリッ!」とした感じが、骨太で、男っぽい。

そのような音色で、一音一音を着実に踏みしめるように弾いているので、聴いていても中々手応えのある演奏だ。

しかも、飽きない。

きちんとベース一本で聴かせるだけの力量がある。

気持をグっと押さえて、淡々と弾いている箇所と、時折狂ったように弦をかきむしったように、過激な音が出てくる、その対比が良い。

たとえば、丁寧に旋律をなぞる《ポルカ・ドッツ・アンド・ムーンビームス》、あるいは、狂おしいまでの高速4ビートで弦を間断なく振動させる《リズマニング》のダイナミックレンジの広さ。

単調だと思われがちなベースソロだが、そこには非常に豊かなダイナミックレンジがあり、決して飽きることがない。

中々に味わい深い好盤だ。

思索に耽るにも丁度良い案配の演奏だし、全編ベース一本なので、音のレンジも一定なので夜中に聴いても、家族が起きるということもないし。

ベースを弾く上での「学習耳」として、分析的な聴き方をするも良し、あるいは、ただベースの深い音色は、まるでシングルモルトのスコッチのタフな手ごたえのよう。

年代ものの熟成されたウイスキーを飲むかのように、深く静かに酔うことの出来る演奏なのだ。

記:2008/06/03

album data

SOLO (Fine)
- 北川 潔

1.You And Night And The Music
2.My Funny Valentine
3.Polka Dots And Moonbeams
4.Softly,As In A Morning Sunrise
5.Rhythm-A-Ning
6.Cool Struttin'
7.In A Sentimental Mood

北川 潔 (b)

2000/01/07

 - ジャズ , ,