ランドスケープ/米澤美玖 - カフェモンマルトル

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ジャズと映画とプラモの日々:高野雲

ランドスケープ/米澤美玖

      2018/07/16

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Landscape

極太テナー

見かけによらず、といっては失礼かもしれないが、冒頭から、かなり太いテナーサックスが炸裂する。
しかも太いだけではなく、音の抜けも良い。

ブホッ!と重たい感じというよりは、モワッ!と太くて温もりを感じるような太いテナーの音色だけで「つかみ」はバッチリ。

さらにテナーのサウンドのみならず、1曲目は気合いの入ったウッドベースが炸裂するリズムもガツン!とくる。

もうこれだけでストレート・アヘッドなジャズを愛好する者のジャズ心を鷲づかみすること間違いなし。

ちょっと違うかもしれないけれども、米澤美玖の2枚目の『ランドスケープ』の前半2曲くらいまでを聴いたときの第一印象は、マイケル・ブレッカーが大活躍するチック・コリアのリーダー作『スリー・カルテッツ』を彷彿とさせるものがあった。

スリー・カルテッツ+4Three Quartets

もちろん、よく聴くとフレージングはブレッカーほどメカニカルではないし、独自の個性もある。
特に、さり気なくフレーズの中に情緒を絡ませるところ、ここぞという盛り上がりの時にフラジオをタイミングよく混入させて効果的な高音を発するところあたり、かなり全体の構成を見据えた上でソロを組み立ているのだろう、アドリブの流れが全体的に非常に滑らかなのだ。

多彩なサウンド

ガッツリとしたアコースティックの4ビートのみならず、曲によってはフレットレスベースやエレピがバックで演奏しているナンバーもあり、どちらかというとフュージョン寄りのテイストでのナンバーもあるにはある。

たとえば5曲目の《リザード・アイランド》なんかは、もうFMラジオの道路交通情報のBGMに即使えそうな音源。
私は車を運転しない人なので、よく分からないんだけど、おそらく車を運転するドライバーには、こういうテイストが好まれるんじゃないでしょうかね。

6曲目の《エンシェント・リヴァー》なんかは、このシンセの使い方やテイストは、ザヴィヌル・シンジケート、あるいはPMG(パト・メセニー・グループ)のライル・メイズ、はたまたマイケル・サンチェスのエスニックテイストなフュージョンサウンドをやりたかったんだろうな~と思わせてしまう音色とアレンジ。
ここではローランドのデジタル・ウィンド楽器・エアロフォンが使用されている。

こういうサウンドって、聴いているほうより演っているほうが気持ち良かったりするんだよな~。

ソプラノサックス、ウインドシンセと多彩なリード楽器をこなす彼女ではあるが、個人的には、やはりテナーの音色が好きだ。

名前を教えず、ジャケ写もみせず、いきなりブラインドで1曲目をジャズマニアに聴かせたら、「この柔らか太いテナーを吹いてるオッサン誰?」となるに違いない。

もちろん米澤美玖さんは、オッサンではありませんし、むしろオッサンとはほど遠い存在ではありますが、先入観なしに聴くと、たしかにベテランなオッサンが吹いていてもおかしくないほどの、太くて甘いテナーの音色なんだよね。

今度はテナー1本のぶっ太いアルバムを作って欲しいと思うのであります。
バラード集みたいなのも悪くないかもね。

記:2017/01/04

album data

LANDSCAPE (Trilogic)
- 米澤美玖

1.Scorpion Rocks
2.Los Hervideros Capes
3.Glacial Winds
4.Interlude
5.Lizard Island
6.Ancient River
7.月と雲

米澤美玖(sax,Aerophone)
安部潤 (p,key)
小川悦司(g)
三枝俊治 (b,el-b)
小川このん (ds)

release:2017/05/14

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