ライヴ・イン・トーキョー 1975/マイルス・デイヴィス

      2017/09/24

Pocket

Live in Tokyo 1975Live in Tokyo 1975

「アガパン」超えた?!東京ライヴ

「アガパン」。

マイルス・デイヴィスの数多い作品群の中でも、最高傑作の誉れ高い『アガルタ』と『パンゲア』の2枚を略してマイルス信者はそう呼んでいる。

「アガパン」は、1975年に来日したマイルスグループが、大阪で行ったコンサートの音源が収録されたアルバムだ。

昼の部の演奏が『アガルタ』、

アガルタアガルタ

夜の部の演奏が『パンゲア』で、

パンゲアパンゲア

世評では(そして私の中の評価においても)、もちろん『アガルタ』も凄いが、『パンゲア』の方が、より一層演奏が深みに達しているとされている。

怒涛の爆音サウンドは、今でもジャズ好きのみならずジャンルを超えて「音の冒険家」の耳を刺激し続けているといっても良いだろう。

たしかに、この2枚の怒涛の演奏はヤバスゴいものがあり、特に『パンゲア』は、学生時代から私にとっては心地よい爆音お昼寝ミュージックとして愛用させていただいている。

しかし、このスゴいライブの演奏内容をさらに上回る演奏が、10日前の東京で行われていた。

このことは、多くのマイルスマニアはご存知のことだと思う。

そう、『アナザー・ユニティ』。

かなり前から出回っている海賊盤で、故・中山康樹氏が、著作『マイルスを聴け!』で賞賛したこともあってか、『アナザー・ユニティ』は、「アガパンよりスゲぇ~!」と一部のマニアの間では話題になっていたものだ。

マイルスを聴け!〈Version6〉 (双葉文庫)マイルスを聴け!〈Version6〉

しかし、ブートレグゆえ、一般の方にとっては入手しにくかったことも事実。

気軽にAmazonや楽天で買えるシロモノではなく、取り扱っているレコード店のサイトから通販で買うか、西新宿などのマニアックなレコードエリアに出向くしかなかったからだ。



スポンサーリンク


アナザー・ユニティ

「アガパン」より凄い演奏が収録されたブートがあるということを、中山氏の著作や別冊宝島のブートレグガイドを読んで知ってはいても、

マイルス海賊盤(ブートレグ)ベスト50―本当のマイルスがわかるウラ名盤入門! (別冊宝島 (962))マイルス海賊盤(ブートレグ)ベスト50―本当のマイルスがわかるウラ名盤入門! (別冊宝島962)

なかなか音源をゲットして聴く機会がなかったマイルスファンもおそらくは多かったのではないだろうか? 『マイルス・イン・トーキョー 1975』が出る前までは。

このCDは、『アナザー・ユニティ』と同じく、1975年の1月25日に厚生年金会館で行われたライヴ演奏が収録されている。

おまけに、アマゾンや楽天などのネット通販ショップでも購入が可能なために、発売直後に飛びついたファンも少なくないだろう。

デジタルリマスタリングが施されているようで、好みは分かれるだろうが、こちらのアルバムの方が音の分離が良く、公式盤の「アガパン」と比較すると、演奏アプローチに大きな変化はないにもかかわらず、かなり音の触感が異なる。

スッキリと聴きやすい音だともいえる。

逆にいえば、これもミックスの差なのだろうが、『1975』の音に慣れた耳で「アガパン」を聴くと、妙な妖気のようなフィルターが音と耳の間にかかっているようにも感じ、そのテイストが好きな人には、まだまだ「アガパン」は十分に聴き続ける価値のある名作だともいえる。

余談だが、私は、この得も言われぬ妖気のような空気に関しては『ダーク・メイガス』が最高だと感じており、演奏の構成やまとまりは、「アガパン」や『マイルス・イン・トーキョー1975』には劣るかもしれないが、演奏から醸し出る不穏な空気は『ダーク・メイガス』が最高だと思っている。

ダーク・メイガスダーク・メイガス

なぜに、このような編集に

『イン・トーキョー 1975』は、マイルス引退直前の最高の演奏が、廉価で求めやすくなっているという点が最大の魅力の商品ではある。

しかし、2枚のディスクに収録されている曲のバランスが悪いんだよね。

もちろん、よほどのマイルス・フリークでなければ、目くじらを立てるほどでもないことなのかもしれないが、1枚目のCDが演奏の途中でフェードアウト、2枚目のCDの冒頭にフェードインして続くという編集になっているのは如何なものか。

2枚のディスクには、ファーストセットとセカンドセットが収められているのだが、1枚目をファースト、2枚目をセカンドとシンプルに分けてくれれば良かったのに、『イン・トーキョー』の編集はそうはなっていないのだ。

1枚目の《マイシャ》までが、ファーストセットなのだが、なぜかここで1枚目のCDを終了させずに、セカンドセットの1曲目である《イフェ》までが収録されてしまっている。

ということは、《イフェ》の後に続く残りの演奏を聴くには、いったん1枚目のCDをトレイから取り出し、2枚目のCDをセットして聴かなければならない。

巨大な演奏の流れを寸断してしまう意図や如何に?

当時のマイルス・バンドは、ワンステージをノンストップで演奏することが常套化していたわけで、何もノンストップの演奏の途中で曲をぶった切る必要があったのだろうか?と聴くたびにいつも疑問に思ってしまうのだ。

セカンドセットの演奏が長尺ゆえ、2枚目の演奏が1枚のCDに収めることが出来なかったというのであればともかく(充分に収録可能)、なぜにこのような編集になってしまったのだろうか?

これが、このアルバムとブートの『アナザー・ユニティ』との大きな差。

今日はセカンドセットを聴こう、明日はファーストセットを聴こうという気分になれないCDなのだ。

気軽に「アガパン」より凄い演奏を聞いてみたいという向きにはオススメのCDではあるが、ひとつのステージの流れを最初から最後まできちんと追いかけて聴いてみたいのであれば、『アナザー・ユニティ』のほうをオススメしたい。

※『アナザー・ユニティ』は、「サイバーシーカーズ」のサイトから通販で購入することが出来ます。
Cyberseekers

album data

MILES IN TOKYO 1975 (Hi-Hat)
- Miles Davis

disc1
1.Prelude & Funk
2.Maysha
3.Ife

disc2
1.Mtume
2.Turnaround Phrase
3.Tune In 5
4.Untitled

Miles Davis (tp,org)
Sonny Fortune (as,ss,fl)
Pete Cosey (g,syn,per)
Reggie Lucas (g)
Michael Henderson (elb)
Al Foster (ds)
Mtume (per)

1975/01/22 新宿厚生年金ホール

記:2017/08/05

●関連記事
>>アガルタ/マイルス・デイヴィス

>>パンゲア/マイルス・デイヴィス

>>ダーク・メイガス/マイルス・デイヴィス

 - ジャズ ,

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。