カフェモンマルトル

text:高野雲

*

チャック・レイニーとマリーナ・ショウ

      2017/05/23

Pocket

フー・イズ・ジス・ビッチ、エニウェイWHO IS THIS BITCH,ANYWAY?

エレクトリックベースの大御所、チャック・レイニーについて。

彼は、真のグルーヴマスターだ。

エレクトリック・ベースから、これほどまでに腰の据わった低音と、眩暈がするほどのウネリを出せる人って、そうはいないと思う。

しかも、このグルーヴを人差し指一本による奏法から生み出しているのだから凄い。

音色、音圧、フレージング、タイム感、アーティキュレーションなどなど、モータウンのジェームス・ジェマーソンとともに、すべてのエレキベース弾きの範となるべき人物だと思う。

じゃあどんなベース弾き?って気になった人は、このアルバムを聴くと良い。

マリーナ・ショウの『フー・イズ・ディス・ビッチ・エニウェイ』。

レイニーの怒涛のベースを味わえる。

特に、1曲目の《ストリート・ウォーキング・ウーマン》に絶句してほしい。

16ビートと4ビート。2つのリズムが行き来する緩急とスリルに満ちた曲だ。

この曲に、彼のベーステクニックが惜しげもなく注入されている。

16ビートの箇所では、これでもかといわんばかりの躍動的な低音が盛り込まれている。グイグイと容赦なく演奏に鼓動を送り続けるチャック・レイニー。こんなベースを弾かれたら、共演者はもう、ただひたすら煽られ、ノるしかない。

以前、ウイントン・マルサリス(tp)は、「曲を車にたとえると、ベースはエンジンだ」と子供達に教えているビデオを観たことがある。

そう、ベースは演奏の原動力。

チャック・レイニーのベースを聴けば、この意味を体感できるはずだ。

ベースのことばかり書いているけど、もちろん、ドラムもすごいし、それ以上に、良い曲ばかりですね。

マリーナ・ショウのヴォーカルも、グッとくるし。それに、なんか甘酸っぱいメロディやアレンジがこちらのハートをくすぐるのです。

怒涛の《ストリート・ウォーキング・ウーマン》に続く《ユー・トート・ミー・ハウ・トゥ・スピーク・イン・ラヴ》なんて、サザンなんとかの《いとしのエリー》を軽く凌駕してしまう同タイプのバラード。

《ラヴィング・ユー・ワズ・ライク・ア・パーティ》の甘さと切なさには、アナログシンセの暖かい音色がよく似合う。

……などなど、

凄くて、素敵で、素晴らしいアルバムなのです。

記:2009/04/21

album data

WHO IS THIS BITCH,ANYWAY? (Blue Note)
- Marlena Shaw

1.Street Walking Woman
2.You Taught Me How to Speak in Love
3.Davy
4.Feel Like Makin' Love
5.The Lord Giveth And The Lord Taketh Away
6.You Been Away Too Long
7.You
8.Loving You Was Like A Party
9.Prelude For Rose Marie
10.Rose Marie (Mon Cherie)

Marlena Shaw (vo,p)
David T.Walker (g)
Larry Carlton (g)
Bill Mays (el-p)
Chuck Rainey (b)
Harvey Mason (ds,per,wind chimes)

1974/12月

 - ジャズ , ,

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。