カフェモンマルトル

text:高野雲

*

マイルス・デイヴィス・オールスターズ vol.1

      2017/08/11

マイルス・デイヴィス・オールスターズ VOL.1マイルス・デイヴィス・オールスターズ VOL.1

この、ブルーノートのマイルス・デイヴィスは、私にとってはたくさんの「はじめて」が混入されているゆえ、思い入れが非常に強いアルバムだ。

よって冷静なレビューなど書けようはずもない。

よって、当時ジャズを聴きはじめた当時の私にとっての「はじめて」を列挙してみようと思う。

「はじめて」ジャズで鼻歌を歌えたメロディが、このマイルス・ブルーノートバージョンの《ディア・オールド・ストックホルム》だった。

また、デクスター・ゴードンらジャズマンが得意とする「クオーテーション」、つまり、他の曲のメロディをアドリブに引用する手法を「はじめて」知ったのも《ディア・オールド・ストックホルム》の演奏後半でマイルスが引用した《ユーモレスク》の一節からだった。

そういえば、切々たる、というよりは、甘えん坊さん的に啼くマクリーンのアルトサックスに「はじめて」唸ったのも《ディア・オールド・ストックホルム》だった。

バド・パウエル作曲の《テンパス・フュージット》ってすごく良い曲だなと感じたのも、このアルバムの演奏バージョンを聴いてからだった。

またこの演奏で豪快に繰り広げられる豪快で殺気立ったドラミングで、アート・ブレイキーというドラマーの存在を「はじめて」知った。

「はじめて」ベースラインを意識的に追いかけたのも、このマイルス盤のカルテットでベースを弾くパーシー・ヒースのラインだった。

パーシー・ヒースのベースは、古い録音でも輪郭と粒立ちがはっきりしており、かつ音程もベースラインのセンスも素晴らしいと、その時に感じたが、その思いは今も同じだ。

ミュートではなく、オープンで吹かれるマイルスのトランペットの灰色の色彩を帯びた重たさと、その魅力に開眼したのも、このアルバムの《イエスタデイ》を聴いてからだった。

気だるさと絢爛さの入り混じった《ウッディン・ユー》の、さほど凝っているわけでもないテーマのホーンアンサンブルを聴いて、それがかえって強烈にジャズを感じ、同時に《ウディン・ユー》という曲の素晴らしさを「はじめて」知ったのもこのアルバムを聴いてからだ。

とにもかくにも、私にとっては、たくさんの「はじめて」が詰まっているアルバムなのだ。そして、これら「はじめて」には、ジャズにとってはとても重要なたくさんの「はじめて」でもあったことが、年を経るにつれてより一層実感している。

ブルーノート1500番台の記念すべき1501番。

記:2011/11/24

album data

MILES DAVIS VOL.1 (Blue Note)
- Miles Davis

1.Tempus Fugit
2.Kello
3.Enigma
4.Ray's Idea
5.How Deep Is The Ocean
6.C.T.A.
7.Dear Old Stockholm
8.Chance It
9.Yesterdays
10.Donna
11.C.T.A.(alt)
12.Woody 'N You (alt)

#1,2,3,4,6,11
Miles Davis (tp)
J.J.Johnson (trb)
Jackie McLean (as)
Gil Coggins (p)
Oscar Pettiford (b)
Kenny Clarke (ds)

1952/05/09

#2,5,7,8,9,10,12 Miles Davis (tp)
J.J.Johnson (trb)
Jackie McLean (as)
Jimmy Heath (as)
Gil Coggins (p)
Percy Heath (b)
Art Blakey (ds)

1953/04/20

●関連記事
>>パーシーヒースこそ、モダンジャズベースの教科書なのだ

 - ジャズ , ,