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ジャズと映画とプラモの日々:高野雲

ミンガス・イン・ヨーロッパ vol.1/チャールス・ミンガス

      2018/08/04

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Mingus In Europe vol.1

ミンガスとドルフィーのデュオ

エリック・ドルフィーの『ラスト・デイト』で、アタック鋭く、天空に舞うかのようなドルフィーのフルートに魅了された方は、『ミンガス・イン・ヨーロッパ vol.1』の《スターティング》も聴いてみよう!

『ラスト・デイト』収録の《ユー・ドント・ノウ・ホワット・ラヴ・イズ》のフルートも良いですが、この演奏のフルートよりも、さらにスピード感があり、アタックの鋭いドルフィーのフルートを味わえます。

さらに、この演奏は、ドルフィーのフルートと、ミンガスのベースのデュオ。

両者奏でる楽器の音色が生々しく迫ってくるのです。

ガット弦

ミンガスのベースは、ダブルストップ(一度に2本の弦を鳴らす奏法)や、要所要所に3連や6連の「オカズ」を入れて、演奏が単調にならない工夫を施していますが、それ以前に、なにしろ彼のベースは太い、太い。

それをガット弦に対して一本指奏法でやっているのだからスゴイ!

ガット弦って、スチール弦と違って、単に力を込めて弾けばデカい音が出るというわけでもなく(むしろ力をこめ過ぎると手首を痛めてしまう)、だからといって、優しく撫でるように弾くと、まるで深みの無い音になってしまう(経験者は語る)。

チューニングも狂いやすいし、スチール弦に比べて音量も大きくない。ミンガスを含め、オスカー・ペティフォードも、ポール・チェンバースも、ダグ・ワトキンスも、皆、このガット弦を手馴づけて自分のサウンドを獲得していたわけです。

チャーリー・ヘイデンにいたっては、ガット弦の音の深みや震えを本当に自然に活かしていたベーシストだと思っています。
速弾きせずに、深い音色の余韻を楽しむようなメロディ。
あのスタイルが生まれたのは、ひとえに「弦が持つ特性」ゆえなんじゃないかと思っています。

ミンガスの場合は、ヘイデンとは逆に、ゴリゴリな音色で、かつアタックが鋭く余韻が短い。

なので、太いだけではなくドスが効いた独特な音圧が感じられるのです。

そんなミンガスのベースと、軽やかで鋭いドルフィーのフルートが良い具合にミックスされたとても刺激的な演奏なのです。『ミンガス・イン・ヨーロッパ』の《スターティング》は。

濡れた音色のチャック・イスラエルとのデュオ、『エリック・ドルフィー・イン・ヨーロッパ vol.1』の《ハイ・フライ》も、たまらぬ知的興奮をもたらしてくれますが、これとはまったく違った刺激を味わえる、ドルフィーとベースのデュオ、つまり『ミンガス・イン・ヨーロッパ vol.1』も、これまた素晴らしいのです。

記:2014/04/17

album data

CHARLES MINGUS IN EUROPE VOL.1 (Enja)
- Charles Mingus

1. Fables Of Faubus
2. Starting
3. Meditations

Charles Mingus (b)
Eric Dolphy (as,bcl,fl)
Clifford Jordan (ts) #1,3
Jaki Byard (p) #1,3
Dannie Richmond (ds) #1,3

1964/04/26 at Wuppertal Townhall in Germany

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