カフェモンマルトル

ジャズと映画とプラモの日々:高野雲

モード・フォー・ジョー/ジョー・ヘンダーソン

      2018/07/25

Pocket

モード・フォー・ジョー+2Mode For Joe

ブルーノートの俊英勢ぞろい!

ブルーノートの花形メンバー勢揃い!な感のある、ジョー・ヘンダーソン、ブルーノートにおけるラスト・アルバムだ。

リー・モーガン、カーティス・フラー、シダー・ウォルトンといったジャズ・メッセンジャーズで鍛え上げられた俊英から、ボビー・ハッチャーソン、ロン・カーター、ジョー・チェンバースといった、新しいジャズの潮流(=新主流派)の担い手までが一同に会した、贅を尽くした顔ぶれが圧巻だ。

しかも、新主流派を牽引する実力派揃いな面子。
何かが起こらないわけがない。

カラフルかつエキサイティング!

この『モード・フォー・ジョー』、ジャケットはモノトーンだが、中身はカラフルだ。

極彩色、サイケデリック、そういったニュアンスでのカラフルさではないが、様々な個性豊かな色彩が見事に溶け合って、なんとも形容しがたい色を生み出しているのだ。

なにせ、先述したとおりブルーノートの花形メンバー勢揃だからね。

それだけに、一人一人の個性が強いがゆえに、ときとして演奏がまとまりのない散漫なものになってしまうのではないかという心配もあるが、それは、まったくの杞憂に過ぎない。

見事に、ジョーヘン(ジョー・ヘンダーソン)のアグレッシヴで曇った世界が築き上げられているのだ。

黒々とトグロを巻くようなジョーヘン渾身のブロウと、演奏の熱さに拍車をかける、モーガンとフラーの肉厚なプレイ。

それとは相反するかのように、涼しげで硬質なボビー・ハッチャーソンのヴァイブが、カツ丼に添えられた梅干のように、ピリリと演奏のムードを引き締めている。

それとは相反するかのように、ボビー・ハッチャーソンのヴァイブと、ロン・カーターのベースが不安定な緊張感を演奏に加味。

異なる個性を有する彼らの持ち味を、的確にナビゲートするのがシダー・ウォルトンのピアノとチェンバースの安定したリズムだ。
特に、パワフルに空間を揺さぶるジョー・チェンバースのドラミングは、安定感と同時に、演奏の迫力を倍化させる効果をも担っている。

ジャケットは地味だが、このアルバムには、とんでもない音と個性のぶつかり合いが封じ込められているのだ。

印象に残る名演

とくに、複雑怪奇な旋律ながらも、ハッチャーソンのバイヴの効果か、なぜかテーマが心地よい《ア・シェイド・オブ・ジェイド》で幕を開けるこのアルバム。

熱く、暑く、圧く、柔らかく、堅く、涼しく、重く……

これらすべての形容がピッタリと当て嵌まってしまうところが、個性豊かなジャズメンのプレイが見事に調和し溶け合っている証拠。

アンサンブルの一体感も見事だが、個人プレイにおいても突出したプレイがいくつも発見することが出来る。

とくに《カリビアン・ファイアー・ダンス》のリー・モーガンが凄まじい。惜しげもなく高音をヒットしまくるモーガンの迫力たるや……。

おマヌケですらあるテーマのこの曲に、なぜ、かくも熱くなる!?と心配してしまうぐらい、こんなにも燃え盛るモーガンは、滅多に聴けない。

《グランテッド》のシダー・ウォルトンのピアノソロも鬼気迫るものがある。

ジョーヘンも全編に渡って、息の長いウネウネフレーズから、息の短い擬音のようなショートフレーズを幾何学的に積み重ねて、なにやら殺気だっている。

アンサンブルの一体感があるにもかかわらず、彼らは、互いに凌ぎを削り、命がけで渾身のプレイをしているのではないかと錯覚ししまうほど。

ジョーヘンのブルーノートにおけるラスト・アルバムは、かくのごとく凄まじいのだ。

不満、というほどではないが、唯一、こうしたらもっと面白くなるのでは? と思うのが、ドラマーがトニー・ウイリアムスだったらどうなっていただろう?ということ。

トニーの変幻自在なドラムが彼らを煽れば、もっととんでもない演奏になったのではないのだろうか?と思いを巡らせる私。

もちろん、ジョー・チェンバースのドラムも悪くはない。しかし、パワフルなぶん、一本調子な感じは否めない。

もちろん、ジョー・チェンバースだからこそのカラーが効いていることは重々承知した上で、「ここで、トニーだったらどう叩くだろう?」なんてことを考えながら、最近はこのアルバムを聴いています。

記:2006/02/14

album data

MODE FOR JOE (Blue Note)
- Joe Henderson

1.A Shede Of Jade
2.Mode For Joe
3.Black
4.Carribbean Fire Dance
5.Granted
6.Free Wheelin'

Joe Henderson (ts)
Lee Morgan (tp)
Bobby Hutcherson (vib)
Ceder Walton (p)
Ron Carter (b)
Joe Chambers (ds)

1966/01/27

 - ジャズ , ,