カフェモンマルトル

text:高野雲

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ライヴ・アット・ニューポート/マッコイ・タイナー

      2017/05/23

Live at NewportLive at Newport

もちろん、チャーリー・マリアーノとクラーク・テリーが交代でテーマを吹く《マイ・ファニー・バレンタイン》も素晴らしいが、ボリュームを上げて聴くと、ボブ・クランショウのベースの頑張りっぷりが素晴らしいことにも気が付く。

太く堅実な音で曲に色を添えるクランショウのベース。

ピアノソロのパートになると、あのマッコイのピアノですらクランショウのベースの前では繊細でか細く聴こえてしまうほどだ。

また、《ニューポート・ロンプ》や《ウディン・ユー》のような高速テンポのナンバーは、クランショウがはじき出す図太いビートに乗り、ミッキー・ローカーは水を得た魚のごとくスピード感溢れる4ビートを叩きだしている。

クランショウといえば、「ずっと昔からロリンズのバックでエレキベースを弾いている人」というイメージが強いが、じつは、エレキの持ちかえる前、つまりウッドベースを弾いていた頃は、かなり“腰のはいった”ベースを弾くベーシストだったのだ。

有名なのもののひとつにリー・モーガンの『サイドワインダー』がある。

タイトル曲のテーマの一瞬のブレイクのところに放たれる低音、♪んくっくく~ の重たさと粘りは、彼のベースが光る瞬間だ。

もちろん、このマッコイのリーダー作でも、クランショウの腰の入りっぷりは遺憾なく発揮されており、「すっぽん、すっぽん、すっぽん、すっぽん」と一音一音が喜びとはじける躍動感に満ち満ちている。

特に《オール・オブ・ユー》でのベースソロ。ウォーキング・ベースを核としたシンプルな構成だが、かえってそこにタフな男らしさを感じる。

もちろん、マッコイもリーダーの貫録を発揮し、コルトレーン・カルテット時のガンガン和音を叩き出すスタイルとは一味違うピアノも楽しめ、同時に、そつなく・手堅くなトランペットのクラーク・テリー、意外と日本人の琴線に触れる湿度のこもったプレイをするチャーリー・マリアーノも健闘。

非常にバランスの良い演奏を楽しめるのが、このニューポートのライブだ。

そして、これらゴキゲンな演奏を終始楽しめるのは、ボブ・クランショウが敷いた安定したレールがあるからこそ。

まさにこのクインテットの屋台骨の貫録はクランショウのベースにあり!ということを体感できる一枚だ。

記:2008/11/25

album data

McCOY TYNER LIVE AT NEWPORT (Impulse)
- McCoy Tyner

1.Newport Romp
2.All Of You
3.Monk's Blues
4.My Funny Valentine
5.Woody'n You

McCoy Tyner (p)
Clark Terry (tp)
Charlie Mariano (as)
Bob Cranshaw (b)
Mickey Roker (ds)

1963/07/05

 - ジャズ , ,