カフェモンマルトル

text:高野雲

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新年一発目の音源は『ジャズ・ジャイアント』。これで身を清める。

      2017/08/27

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ジャズジャイアント!

新年あけまして、おめでとうございます。

皆さんは、新年にかける音は決まってますか?

私は決まってます。

私の新年一発目にかけるジャズのCDは、だいたいバド・パウエルの『ジャズ・ジャイアント』ですね。

冒頭の《テンパス・フュージット》!

うーん、厳かです。

ピーンと背筋が伸びます。

この厳しいタッチと、激しくドライブするスピード感のカタマリのピアノを聴いて、心身ひきしめるっ!って感じです。

ジャズを聴き始めのころから、正月はパウエルってことが多いかな。

て、わけで、今年も『ジャズ・ジャイアント』!!!

Jazz Giant by Bud PowellJazz Giant/Bud Powell

聴けば聴くほど怖くなる

ある意味、このアルバムが私のジャズの受信感度や感受性を測る定点的なバロメーターになっている感がありますね。

ここのところ、聴けば聴くほど、パウエルのキチガイ的なスピード感に頭がクラクラするようになってきた。

まさに「暴走列車」って感じだけど(特に《テンパス・フュージット》は)、このなりふリかまわない暴走ピアノは、ちょっと、いや、かなり異常だよ。

なにが、ここまで彼をそうさせてるんだ!って思うもん。

もちろん、カッコいいんだけどさ。

ちょっと前までは、もちろんパウエルのスピード感をカッコいいとは思ったけれども、「怖い」とまでは思わなかったな。

もう何百回と聴いているはずなんだけれども、聴くたびに怖さが増す演奏というのも珍しい。

ふつう、聴けば聴くほど、演奏のタネが分かったり、化けの皮が剥がれたりで、演奏の謎が解けてくるものだけれども、パウエルのピアノの場合は逆。

聴けば聴くほど、かえって謎が深まるんだよ。

演奏の展開や、細部の細かいフレーズもすべて覚えているほどなんだけれども、そういうカタチとして認知出来る以外のところのヤバい空気が、常に聴いている私の感覚に襲い掛かってくるんだよね。

私が年をとったのか、それとも私の受信感度が上がったのか……。

とにかく、3分にも満たない短い演奏の中に封じ込められている悪魔的空間に触れると、どこかに連れ去れてしまうんじゃないかという感覚に襲われるのです。

そして、2曲目の《シリア》でホッと一息。
この曲(というかこの演奏)も大好き。

さあ、今年は何をやらかしてやろうか?と柔らかくなってきた頭の中、様々なアイディアがめぐりはじめるのです。

まだまだ続く

ああ、やっぱり《シリア》はいいなぁ、とほんの一瞬和み、《チェロキー》で再びアップテンポの演奏。

ただし、今回のアップテンポは、どちらかというと、希望に燃える力強いアップテンポなので、《テンパス・フュージット》ほど疲れるものではない。

次の《アイル・キープ・ラヴィング・ユー》の感動的な演奏で、落涙!

アルバム前半だけでも、

狂走→和み→疾走→感動&落涙

となかなか、忙しいアルバムではあるのだ。

しかし、短い時間のなかに、人間の人生の中の営みの多くの要素が凝縮されていることも確か。

まだまだ、しばらくはお世話になりそうなアルバムではある。

いや、一生、このアルバムからは足を洗えないとは思うが……。

記:2011/01/01

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