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ジャズと映画とプラモの日々:高野雲

ノー・ルーム・フォー・スクエアーズ/ハンク・モブレイ

      2018/08/21

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ノー・ルーム・フォー・スクエアーズ+4No Room For Squares

ハードボイルド・モブレイ

モブレイの諸作の中では、もっともカッコいいジャケットだと個人的には思っている。

同時に、モブレイの中では、もっともカッコいい演奏といえよう。

マイルドさが持ち味のモブレイも、ここでは結構ハードボイルドだ。

マイルドモブレイ→コワモテモブレイ

『ソウル・ステーション』などで聴けるマイルドなモブレイの吹奏は、彼本来の持ち味が発揮された名盤ゆえ、悪かろうはずもなく、それこそがモブレイの本質には違いない。

参考記事:ソウル・ステーション/ハンク・モブレイ

しかし、たまには、コワモテなモブレイも悪くない。

特に1曲目の《スリー・ウェイ・スプリット》なんかは、曲のカッコ良さと、モブレイのブロウが絶妙にマッチしている。
タフさとマイルドさの陰影のコントラストが素晴らしい。

ここでのモブレイは外見はどこまでもクールな心優しき「インテリヤクザ」を演じている。

さらに、テーマを盛り上げるフィリー・ジョーのハイハットもぞくぞくする。

このちょっと乱暴な感じのハットワークが演奏のハードボイルドさに拍車をかけているのだ。

サイドメンも見逃せない

そう、モブレイの陰影をクッキリと彩るのは、煽りに煽るフィリー・ジョー・ジョーンズのドラミングなのだ。
彼が背後で焚きつけなければ、これほどの名演が生まれたかどうか。

この野性味溢れるドラミングに、気合いたっぷりのリー・モーガンのトランペットが加わる。

麻薬癖を断ち切るために、故郷のフィラデルフィアで2年弱の休養生活を送っていたリー・モーガンが、久々にシーンに復帰した際に最初に臨んだレコーディングでもあるのだ。

そして、ピリリとハービー・ハンコックのピアノが脇を固め、曲によってはアンドリュー・ヒルが加わる。
両ピアニストは、ともにブルーノート・新主流派の新しい知性といえよう。
ハードバップ的語法とは一線を画する新鮮で奥行のある響きが、モブレイのテナーに異なる角度からスポットライトをあてる。

勢いと重量感、そして知性ががバランスよく共存したこのアルバムは、なかなかタフな手ごたえを楽しむことが出来るはず。

モブレイの作品の中では珍しく辛口かつタフなテイストをどうぞ。

ケニー・ドリューの『アンダーカレント』(ブルーノート)とともに、私が好きなタフなモブレイを楽しめる1枚だ。

記:2007/04/24

album data

NO ROOM FOR SQUARES (Blue Note)
- Hank Mobley

1.No Room For Squares
2.Three Way Split
3.Comin' Back
4.Me'n You
5.Carolyn
6.Syrup And Biscuits

Hank Mobley (ts)
Lee Morgan (tp)
Andrew Hill (p)
John Ore (b)
Philly Joe Jones (ds)

1963/10/02

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>>アンダーカレント/ケニー・ドリュー

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