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ジャズと映画とプラモの日々:高野雲

アウトドアで聴くグラント・グリーン~グリーン・ストリート

      2018/01/11

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Green StreetGreen Street

iPodの購入以来、微妙に音楽生活が変わった。

さらに、iPod専用のスピーカーが家に来てからというものの、変化に拍車がかかった。

通勤中や、散歩中はiPodを手放さず、常に、シャッフルをかけながら、音楽をかけっぱなし。外出中にはあまりウォークマンの類を持ち歩かなかった私にしては大きな変化だ。

おそらくは、シャッフル機能がポイントなのだと思う。

たとえば、グールドのバッハの後に、ローリング・ストーンズ。

ストーンズの後に、レッド・ガーランドのピアノトリオ、その後にクラフト・ワークが流れ、さらに仮面ライダーのテーマ曲が続くという、かっ飛んだシャッフルっぷりが面白く、次はどの曲が流れるのだろう?というワクワク感が、iPodにはまっているポイントなのかもしれない。

さらに、BOSEから新しく出た専用スピーカー、サウンドドック。

これが、結構便利なんですよ。

iPodを差し込むだけで充電が始まり、音楽が自動的に流れ出すのだ。

コンパクトかつシンプルなスタイリッシュなデザイン。

さらに、ボディは小さいんだけど、結構、音量は大きく、最高ボリュームにしてもまったく、音割れがしないどころか、アコースティック・ギターやピアノの音があくまでクリアに聞こえるのには驚き。

もっとも、アパートやマンション住まいの人が最高ボリュームにすると、必ず近所からクレームが来ることは必至だと思うが…。もちろん私もほんの一瞬しか最高ボリュームを出してません。

このスピーカーの購入以来、まず、足元にあったCD&MDラジカセは用済みになった。

帰宅と同時に、このスピーカーにiPodを差し込んで、音楽をかけっぱなしにするから。

さらに、メルマガなどの原稿を書くときは、集中して同じアルバムをリピートするようになった。

外出するときも、依頼のあった原稿のアルバムを何度も何度も繰り返し、リピートさせて集中的に聴きこむことが簡単に出来るようになった。

部屋の中で、同じアルバムをリピートさせると、ウンザリしてくるものだが、外の景色の変化のためか、はたまた、常に身体を動かしている状態で聴くためか、同じ曲を何度繰り返しても、まったく苦にならないのだ。

むしろ、外の景色を見ながら音楽を聴きたいがために、通勤の行き帰りは、一駅ぐらい平気ですっとばして歩くようになった。もちろん雨の日は別だが。

このお陰で、健康的な生活にもなっているという、思わぬiPod効果。

さて、可能な限り、様々な種類の音楽をiPodに詰め込んで持ち歩いている私だが、やはり、シチュエーションによっては曲やミュージシャンを選ぶ。

最初は、シャッフルで選曲を楽しんではいたが、やはり、満員電車の中でピアノソロはキツい。聴こえないのだ。よって、すぐに次の曲に飛ばしてしまう。

テナーやトランペットのクインテットも、満員電車の中で聴くと、管楽器のソロの部分はよく聞こえるが、ピアノのアドリブパートになったとたん、急に聴こえずらくなってくる。いちいちボリューム調整するのも面倒臭い。

ドルフィーやオーネットのエッジの効いた鋭いアルトの音色も、電車の中では刺激的かもしれないが、音漏れが怖い。

電車の中で、オーネットの《ダンシング・イン・ユア・ヘッド》が音漏れした日にゃぁ、周囲から、こいつ、なにアホなメロディの繰り返しを聴いてるんだ?と好奇の視線にさらされかねない。

そこで、通勤電車の中では選曲にも気を遣わねばならないのだが、色々と試した結果、もっとも周囲を気にせず、なおかつ、ボリュームも上げたり下げたりする必要もなく、さらに最初から最後まで曲を楽しめるミュージシャンが何人か見つかった。

山下達郎とグラント・グリーンの『グリーン・ストリート』。

山下達郎の声って、周囲のノイズに埋もれずに、こんなにも“立つ声”だったとは知らなんだ。音漏れするようなキンキン声でもないにもかかわらず、声の一音一音、歌詞の一語一語がよく聞き取れるのだ。

これにはビックリ。さすが、実力のあるボーカルは違う。

意外なことに宇多田ヒカルや椎名林檎の声は、ボリュームを上げないと、なかなか聞き取りづらいことも分かったが、山下達郎の場合は、仮に、ボリュームを落として、バックのオケが聴こえないぐらいにしても、それでも、彼の声とメロディラインはくっきりと聴こえるので、歌の内容が、リアルに伝わってくるのだ。これにはビックリ。

それと、今回のお題目、グラント・グリーンの『グリーン・ストリート』。

ブルーノートにおける、彼のセカンドアルバムだ。

編成は、グラント・グリーンにしては珍しいギタートリオ。ドラム、ベース、ギターというシンプルな編成。

ドラムもベースもグリーンの邪魔をすることなく、堅実にギターのサウンドを引き立て、グラント・グリーンは、本当に伸び伸びとギターで、これでもか、これでもか、とグリーン節を奏でるのだ。

力強いメロディの一音一音が、確実にこちらの耳の中に浸透してくる。

これは、音楽というよりは、あたかもグリーンの独り言を聞いている気分にすらなる。

グリーンのお喋りに付き合っている気分がするのだ。

語り口は似たり寄ったりなこともあるが、“話の内容”が面白いので、ついつい聴き入ってしまう。

ベースソロもほとんど無く、テーマ→アドリブ→テーマと、ほとんど最初から最後まで、間断なくグリーンのおしゃべりに付き合っている感じもし、おしゃべりの内容が飽きさせない内容なので、夢中になって聴いているうちに、いつの間にか時間が経っているという寸法なのだ。

どの曲もオススメだし、どの演奏も良い。

個人的には、一瞬「あれ?これってケニー・バレル?」と思わせるテーマの《No.1 グリーン・ストリート》や、これでもかの執拗な反復メロディ攻撃の《グリーン・ウィズ・エンヴィ》が強いていえば、お気に入りだ。

もちろん、ジャケットの濃い緑色を象徴するかのような《ラウンド・ミッドナイト》のブルージーな演奏や、音色と旋律がしっぽりと嵌まっている《アローン・トゥゲザー》も素敵な演奏だ。

グラント・グリーンにはギター・トリオのアルバムが少ないだけに、トリオで演奏されるこのアルバムは貴重な存在だ。

オルガンの音色に溶け合うグリーンのギターもオイシいが、このシンプルな編成で朗々と歌う『グリーン・ストリート』のギターもお忘れなく。

アウトドアで聴いても心地よいグリーンなのだ。

album data

GREEN STREET (Blue Note)
- Grant Green

1.No.1 Green Street
2.'Round About Midnight
3.Grant's Dimensions
4.Green With Envy
5.Alone Together

Grant Green (g)
Ben Tucker (b)
Dave Bailey (ds)

1961/04/01

記:2004/10/29

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