カフェモンマルトル

text:高野雲

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まるごとパーカーで遊んじゃおう!なセット

      2017/05/23

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コンプリート・ヴァーヴ・マスター・テイクスComplete Verve Master Takes

先日、友人宅で見せてもらった、チャーリー・パーカーのヴァーヴの音源セットが面白いと思った。

チャーリー・パーカー入門盤というよりも、パーカーを知った者が、パーカーを素材に遊ぶクリエイターのセンスを楽しめるプロダクツ(あえてアルバムとは言わない)に感じた。

金属製のパッケージは、まるで、葉巻ケースを思わせるデザイン。

そして、パッケージアートは、一瞬、バチカン市国で売られているキャンディやクッキーのパッケージのよう(そんな土産あったっけ?)。

ロシア構成主義の趣きを色濃く匂わせながらも、現代的スピード感とシャープさを付加させた粋なタイポグラフィーを楽しめるブックレット。

チャーリー・パーカーという存在、いや、記号と化した「パーカー」という人物と、「バード(=鳥)」というシンボリックな対象を今日的目線で編集、再構築を施すと、このようなクリエイティヴが生まれるとでも言いたげな非常に興味深いパッケージだ。

肝心の音楽の内容だが、これは、パーカーの良いところを集め、パーカー入門者にパーカーというジャズの巨人を入門してもらおうという教条的な発想は微塵もなく、音源の選曲、編集のコンセプトは、ひたすら「パーカーと遊ぼう!」だ。

「パーカーで楽しんじゃいました。あなたはどう受け止めますか?」という送り手のメッセージをヒシヒシと感じる。

シリアスタッチな演奏は極力少なめに抑え、どちらかというと、パーカーの音が本質的に持つ快楽的な側面が前面に出た選曲になっているところが楽しい。

よって、ラテン物やストリングス物が多め、かつ効果的に配されているのも頷ける。

実際、CDを再生すると、ほぼ同じテンポのリズムが延々と続き、まるでクラブDJがフロアの高揚したテンションをキープするかのごときのノンストップミュージックな趣きがある。

もちろん曲と曲をつなげる加工はされてはいない。

曲間の切れ目はあるが、似た曲調、似たテンポが続くため、複数の曲があたかも1つの曲のように感じるのだ。

こんなこというとパーカー信者からは、「ちゃんと聴け!」と怒られそうだが、これは、極上のノンストップBGMだ。

単に心地の良いだけのBGMではなく、心地の良い刺激に満ちた、クリエイティヴな生産性が極限までに高まる類のBGMといえる。

そういったわけで、この「CD缶詰」は、デザイナーやデザイン事務所必携アイテムといえるでしょう。

たとえジャズ好きのスタッフがいなくとも、『ブルーノート・カバーアート集』は、どのデザイン事務所の本棚の片隅にあるように(無いデザイン事務所はモグリだと思う)、今後は、この「パーカー缶詰」もデザイン事務所の片隅に転がっている風景がスタンダードになってほしいと思っている。

というより、これが置いてないデザイン事務所には発注しないもんねぇ(笑)。

音楽はもとより、パッケージ、ブックレットの遊び心溢れたデザイン感覚は、大いにデザイナーのクリエイティヴ心を刺激することでしょう。

もちろん、デザイナーではないジャズファンでも、ブルーノートやECMのジャケットに配されているフォントのレイアウトがたまらないんだよねぇというタイポグラフィ好きな方には(ジャズファンには結構多いと思う)、うってつけの遊び心溢れたアートワークを楽しめることでしょう。

音ではなく、アートも好きなジャズファンにとっては、これは、マジで必携。

「同じ音源を持ってるからいらない」ではなく、これはこれで、まったく新しいひとつのプロダクツとして是非、愛でてあげて欲しい。

お父さんが子供の誕生プレゼントにあげるなんてのもイキでいいかもね。
WiiやDSのソフトばっかじゃなくてさ。
こういうちょっとしたキッカケが子供の創造性と好奇心を大きく育むのだと思う。

あ、そうだ、息子の今度の誕生プレゼントにとっておこうかな(笑)。

記:2009/04/04

 - ジャズ

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