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ジャズと映画とプラモの日々:高野雲

このピアノは、人をニコやかにする~レイ・ブライアントのソロパフォーマンス

      2017/05/22

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昨晩、神保町の「BIG BOY」に行った。

いつも、窓際のカウンターには、その日のマスターの気分でセレクトされたLPが数枚ディスプレイされ、店の前を通る人の目を楽しませてくれているが、どうやら昨日のテーマは、レイ・ブライアントのようだ。

カウンターには、マスターのセレクトから漏れたブライアントの残りのレコードの“残骸”が無残にも積み上げられ、それはそれで、そこはかとなくジャズっぽい雰囲気をかもし出していた。

客は、私のほかには1人のみだった。
ま、看板時間過ぎてから私は店に訪問したわけだから、当然か。

カウンターに腰掛けていたお客は、白髪まじりの40代後半の男性。
銀縁のメガネをかけて、高校の数学教師といった風貌。まじめそう、というか堅そうな印象の方だった。

その人も、お勘定を済ませて帰ろうとしていたが、カウンターを立ったときに、窓際に積み上げられているブライアントのレコードの1枚に目をつけ、懐かしそうに手に取った。

「これこれ、『アット・モントルー』懐かしいなぁ、いいんですよ、コレ」

ほころんだ表情で、いとおしそうにジャケットを手に取る姿は、最初に私が抱いた「堅物」というイメージを覆すに十分だった。

マスターが「これ、誰かの代わりに出たライブなんですよ~」とお客に知識を披露する。

その誰かが分からなくて、私に「誰だっけ?」とふってくる(笑)。

「ピーターソン。オスカー・ピーターソンの代わりに出たライブです」と私が応えると、「そうそう、ピーターソン、ピーターソン、ピーターソンがキャンセルしちゃったから、ブライアントになったんですよぉ~」と“数学教師”に説明する。

そんなこたぁ先刻承知という表情を一瞬浮かべた“数学教師”さんだが、「今度来たら、コレかけてくださいね」と言って帰って行った。

たしかに、『アローン・アット・モントルー』はいい。

ピーターソンの出演キャンセルのため、急遽白羽の矢がたったブライアントは、見事に観客を盛り上げた。

無名に近かった当時の彼の名を挙げた瞬間が記録されているこのアルバム。

演奏がどんどん盛り上がってゆく様が楽しい。

私の頭の中で、ブライアントのピアノの音が鳴り始めた。たしかに、このアルバムのピアノの音を思い浮かべると、心が浮き浮きしてくるな。そのときの私の表情も綻んでいたに違いない。

そういえば、レイ・ブライアント参加のアルバム、ここでは2~3枚しか聴いたことがなかったなぁと思っていたら、ジャック・ウイルソンがかかり始めた(笑)。

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