最初は口当たり良いが、気がつくと「胃もたれ」してるかもしれないチック・コリアの代表作

      2017/05/19

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魚だしラーメンとチックの代表作

一時期ほどの出店ラッシュはないが、それでも確実に「和風だし」のラーメン店は増えている。

この和風スープのラーメンは、カツオやイリコなど、スープのダシのメインを魚にしているがために、最初の一口、二口は我々日本人に馴染みのある醤油的とでもいうか、親しみのある味がする。

特に、はじめて食べる人が最初のスープの一口をすすれば、新鮮な驚きを感じるかもしれない。

鶏がらや豚骨ベースのラーメンに慣れた舌には、確実に「おっ、新しい。でもけっこういけるじゃん」と感じることだろう。

しかし、こう感じるのも前半から中盤にかけて。

この魚ベースのスープって後から結構くるのですよ。

最初の口当たりこそ良いが、後半、もしくは食後にムワァーンと襲ってくる胃もたれ寸前のマッタリとしたヘヴィさがある。

あっさりと感じて食べていたのが、急に満腹感を感じたり、人によっては食後に酒を飲んでいると、急に吐き気の一歩手前の「これ以上アルコール呑んだらヤバイかも」感がこみ上げてくるのだそうだ。

チック・コリアの『リターン・トゥ・フォーエヴァー』もそれに近いものがあるのではないだろうか?



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後で「くる」

このアルバム、発売当初は、薄暗いジャズ喫茶で爽やかな風が吹き抜けたという「伝説」がよく語られている。

ウソではないと思う。

たしかに、ヘヴィな4ビートや、アイラーやコルトレーンの後にこれがかかれば一瞬爽やかな風が通り過ぎることだろう。

しかも、B面の《ホワット・ゲーム・シャル・ウィ・プレイ・トゥデイ》などは、軽やかなポップスですらある。
ジャズ喫茶で人気なのはB面だったのだそうだ。

だから、爽やかな風が吹いた/ジャズの新しい風を感じた的な風説は分からなくもない。当時をリアルタイムに経験したことのない私でもなんとなく想像はつく。

しかし、このアルバム、「爽やか」さを信じて聴くと、先述した和風ラーメンのように後でお腹一杯感が襲ってくる。

コルトレーンやアイラーのような「荒々しいラーメン」は、2倍とか5倍とかの味噌オロチョンラーメンのようなもので、「食べ手(=聴き手)」は、最初から辛さを覚悟の上で食べるから、食後は「あ~辛かったぁ」と汗をたらしながら、奇妙な達成感のようなものを味わえる。

しかし、一聴爽やかな『リターン・トゥ・フォーエヴァー』は、最初の口当たりの良さとは裏腹に、後で「くる」ので注意が必要だ。

ジャズ本の言説を信じて、「おかしいなぁ爽やかなはずなんだけどなぁ」と思いつつも、いつのまにか胃もたれをおこさぬよう……。

重たい空気感

特に冒頭のタイトル曲や、ラストの《ラ・フィエスタ》は、かなり重い。

重いというか、チックのエレピやフローラ・プリムの絶叫やら、スタンリー・クラークのベースも含めてトータルで聴くと、どこかまったりと淀んでいる。

天気でいえば、突き抜けた快晴の青空ではない。

南海の楽園かもしれないが、少なくとも湿度をたっぷりと含んだ、どんよりと重たい空と海が広がる空気感だ。

そう感じるのは私だけなのかもしれないが、とにかく、このアルバムはドンヨリと重いっす。

だから、たまにしか聴かないし、世間的には名盤なのだろうけれども、私はあまり好きではない。爽やかさをまとった新興宗教の儀式みたいなんだもの。

そりゃ、もちろん一生懸命好きになろうとしているが、生理的に受け付けない箇所が多いのだ。

もちろん全部嫌いというわけではなく、《クリスタル・サイレンス》なんかは好きなんだけどね。

記:200/04/05

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 - ジャズ

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