カフェモンマルトル

text:高野雲

*

ショート・ストーリー/ケニー・ドーハム

      2017/05/22

ショート・ストーリー
Short StoryShort Story

静かなケニーだけでは勿体ない

言い方悪いけど、スタティックな『クワイエット・ケニー(静かなるケニー)』ばかりを聴いて、「うーん、ドーハムいいねぇ、なんだか、こう、ワビサビを感じるねぇ」などとのたまっている御仁は、ふにゃチンだ。

猫を膝の上にのっけて、しみじみと縁側で梅昆布茶でも飲んでいるがよろし。

「いい天気だねぇ、しみじみしたラッパがイイねぇ~」って。

もちろん、『クワイエット・ケニー』は、いいアルバムだ。

ぽわ~っとした感じ、やわらかげで、しんみりとした暖かさがある。
なにより聴きやすいし、ドーハムもよく歌っている。

>>静かなるケニー/ケニー・ドーハム

しかし、このアルバムのドーハムの姿は、あくまで、ドーハムというトランペッターの一面しか切り取っていないこともたしか。

この一面と対極にあるドーハムの姿を切り取ったのが、スティープル・チェイスの『ショート・ストーリー』だ。



sponsored link



これも聴け!

『静かなる~』の次は、これも聴いてください。

ガツン!ときます。

このアルバムは、スティープル・チェイス・レーベルのものだが、このレーベルお馴染みのライヴハウスといえば、北欧はコペンハーゲンの「カフェモンマルトル」。

ここでケニーが繰り広げた「ジャズ純度100パーセント」の演奏が『ショート・ストーリー』には封じ込められている。

タフです。

テテ・モントリューやペデルセンをはじめとるすrリズムセクションが強力だということもあるが、『静かなる~』で見せた表情とは、まったく違うエキサイティングなケニーの姿を確認できる。

まずは、1曲目の《ショート・ストーリー》からどうぞ。

10分の演奏時間などあっという間に過ぎ去ってしまうことだろう。

これでどうだ!

さらに《バイバイ・ブラックバード》も面白い。

奔放にメロディを歪め、自在に時間をコントロールするかのようなテーマ処理。

さすがドーハム!

さらに面白いのは、前半のテーマ、アドリブに比べて、後半の4バースでのケニーのほうが熱く、勢いづいているところ。

テテ・モントリューの情熱ソロに感化されたのかな?

熱い!
気迫に満ちた真剣演奏だ。

これ聴いて、「うーん、それでもやっぱり『静かなる』のケニーのほうがいいなぁ」

とおっしゃられる方は、やっぱり、ふにゃチンです(笑)。

『静かなる~』のスタティックな部分だけを好んでいるようでは、ジャズのおいしい部分をかなり逃しているような気がするし、もちろん、それはそれで構わないんだけれども、そういう人ほど、早々にジャズに飽きて、違う趣味に引っ越してしまう傾向があるんだよね。

それは、とてももったいない。

ケニーの魅力をさらに掘り下げてみたいという人は、ぜひ、こちらを!

たしか、『ショート・ストーリー』についても触れています。
(触れていなかったら、ゴメンなさい)。

「切ない」ケニー、「力強い」ケニー。
両方あわせてケニー・ドーハム!

記:2010/05/26

album data

SHORT STORY (SteepleChase)
- Kenny Dorham

1.Short Story
2.Bye Bye Blackbird
3.Manha De Carnival
4.The Touch Of Your Lips
5.My Funny Valentine

Kenny Dorham (tp)
Allan Botschinsky (flh)
Tete Montoliu (p)
Niels-Henning Ørsted Pedersen (b)
Alex Riel (ds)

Recorded live at Montmatre Jazzhus, Copenhagen
1963/12/19

 - ジャズ ,