カフェモンマルトル

text:高野雲

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タッチング/ポール・ブレイ

      2017/05/23

TouchingTouching

本当は、上のムサ苦しいジャケットより、オランダのリトグラファー、Marte Rolling(読み方分からないので欧文表記)が描いた彼の横顔のジャケットのほうが数段良いのだけれども、アマゾンで取引されているのは、これしかないようなので、ムサ苦しいほうのジャケットを貼り付けておきます。

ポール・ブレイというピアニストは、まぁ、一言で言えば変態なんだけど(笑)、なぜそう感じるのかというと、次のプレイの予測が私のような凡人には予測がつかないからということが大きい。

思考回路が読めない。

だから、次の一手が見えにくく、時おり突拍子も無く気持ちのよいフレーズが出てきたかと思うと、乾燥して硬くなったフランスパンのように味もそっけもないフレーズではぐらかしたりもする。

このハグラかしっぷりが特に、このピアノトリオには顕著で、この予測のつかなさは、たとえばセシル・テイラーのようなフリージャズとはちょっとニュアンスが違うんだよね。

彼の頭の中には繊細に構築された音世界があるに違いない。

しかし、音のイメージも彼の頭の中の五段論法で深化、咀嚼して出てくるわけで、出てくる一音一音はプレイにとっては、とても自然でアタリマエな音群なんだろうけれども、聴いているほうとしては、非常に突拍子も無いことが突然投げ出されたなぁと感じるわけだ。

ベースもドラムも定型ビートは刻まず、かなり自由に演奏しているが、メンバー3人の共有する時間的速度はピッタリと一致しているので、それほど難解にも、騒音にも感じない。

それどころか、よく聴くと美しい。

しかし、徹底的な陶酔をギリギリのところで拒む冷徹さも持ち合わせた美しさだ。
醒めた陶酔とでも言うべきか。

身体が動くよりも前に、神経が覚醒して妙な興奮を呼び起こす。
変態ピアノの醒めた陶酔の境地!

面白くも刺激に満ちたアルバムだ。

記:2009/03/02

album data

TOUCHING (Fontana)
- Paul Bley

1.Start
2.Cartoon
3.Touching
4.Mazatalan
5.Both
6.Pablo
7.Closer
8.Blood

Paul Bley (p)
Kent Carter (b)
Barry Altschul (ds)

1965/11/05

 - ジャズ