カフェモンマルトル

ジャズと映画と本の日々:高野雲

『ワルツ・フォー・デビー』がわからない!

      2017/08/13

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ビル・エヴァンスの『ワルツ・フォー・デビー』を買って聴いてみたけれども、どこがイイのかサッパリ分からなかった。

このような内容の書き込みが、カフェ・モンマルトルの掲示板にあった。

ワルツ・フォー・デビイ+4ワルツ・フォー・デビイ+4

みんながイイというから期待して買ったのに期待どおりではなかった、というのが趣旨。

書き込まれた人は、とても正直な人だと思った。

私自身も、初心者向けのピアノトリオとして、このアルバムを人に勧めることが多いが、かくいう私自身、ジャズの入門したての段階でこのアルバムを聴いたときは、正直「なんじゃ、これ?」だった。

引き締まった『ポートレイト・イン・ジャズ』に慣れた耳からすると、どうにも、美しいんだけれども、輪郭が曖昧で、センチメンタルすぎるピアノに聞こえてしまったのだ。

ポートレイト・イン・ジャズ+1ポートレイト・イン・ジャズ+1

もっとも今ではまったくそうは思わないけど……。

むしろ、その逆で、エヴァンス流の強靭な美学を見る思いがする。

でも、本当に『ワルツ・フォー・デビー』をイイなと思ったのって、たくさんのジャズを聴いて、ある程度の鑑賞耳を養ってからのことだったので、この人の書き込みに、ちょっとだけシンパシーを覚えてしまった。

では、なぜ、私が初心者向けとして、このアルバムを勧めるのかというと、理由はカンタンで、このアルバムのことを悪く言う人が皆無だから。

入門者からマニアまで、皆、このアルバムを絶賛しているから。

で、実際、最初に「なんじゃこりゃ?」と思った私も、今では、すごく深いアルバムだと思っているから。

おそらく、初心者とマニアが、「イイ」と感じる箇所って違うのだと思う。

旋律に酔う人もいれば、ラファロとのインタープレイに手を汗握る人もいるに違いない。

オーディオマニアだったら、ポール・モーチアンのブラシの音のクリアな再生に心血を注ぐだろうし、私の場合はベース中心でピアノの演奏をあまり聴いていないこともある。

リラックスした聴衆と、聴いてない聴衆を相手に、ますます内面の炎が炭火のように静かに静かに燃え盛り、ますます耽美的で美しいピアノを奏でる、男一匹ピアノ野郎、ビル・エヴァンスの心意気に惚れ惚れする今日この頃。

聴くポイントは、(このアルバムに限らず)人それぞれだろうけれども、何度も聴いて、少しずつ好きになっていけばいいんじゃないかな?と思う今日この頃なのです。

記:2005/09/12

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