カフェモンマルトル

ジャズと映画と本の日々:高野雲

JUJU その魅力

      2017/05/19

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DELICIOUSDELICIOUS/JUJU

text:高良俊礼(Sounds Pal)

J-POP 指南役

色々なジャンルの音楽について、この「カフェモンマルトル」で記事を書いているが、実は私にはJ-POPの指南役がいる。

ウチの奥さんである。

十代の頃から渋谷系の追っかけをしていて、同時にリトル・クリーチャーズやブランキー・ジェット・シティといった、中々に骨のある(系統はまったく違うが)バンドにもハマり、かと思えばあがた森魚や稲垣潤一といった、世代的には「上」のミュージシャンまで広く愛聴している。つまり私にとっての「J-POP先生」である。



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J-POP 売れる 予言者

そして彼女は予言者でもある。

彼女が「売れるよ」と言ったバンドやアーティストは、ほとんどブレイクする。

クリスタル・ケイ、クレイジーケンバンド、加藤ミリヤ……。

最近ではRADWIMPS、セカイノオワリ、ゲスの極み乙女、奇妙礼太郎トラベルスイング楽団、西野カナ、などなどなど・・・。

メディアに露出して有名になる前に、衛星番組等でチェックして
「ねぇ、ちょっと気になるバンドがあるんだけど」
「ねぇ、ちょっとこのコjかっこいいんだけど」と、つぶやけば、その半年から1年後ぐらいには彼女が口にしたバンドやアーティストの曲がお茶の間に流れる、あれよあれよという間にバラエティ番組に出ている・・・。

といった具合である。

音楽 神様

大体私は脳味噌が基本的に洋楽志向であり、実年齢よりも若干老けているので
「う~ん、何がどう他の人と違うのかさっぱりわからんなぁ・・・」
と、最初は半信半疑で映像を視ていて後で
「うわ、ホントに売れやがった・・・」と、驚愕するのだ。

私は自分自身で、音楽の神様が私に色んなお告げを与えて、ジャズとかブルースとかロックとかクラシックとか、はたまた知られざる世界の民族音楽に引き合わせてくださっているのだと、半分冗談半分本気で思っている。

しかし「音楽の神様」とのオンラインが成立するには、それこそ色んな音楽を研究して勉強して、現場にも足を運んで演奏もして・・・、という大変な修業が必要なのだが、どうやら彼女はそういった厳しい修業をせずとも「何となく」で、私のそれよりリッチで上等な神様と、ダイレクトに繋がれているらしい。

JUJU 奇跡を望むなら

そんな与太話はさておき、ここ10年の間で、彼女が「このコ、凄いよ、普通のシンガーじゃないよ」と言って、私も最初っからその意見に完全同意できたシンガーが1人いる。

JUJUである。

「着ウタの女王」として、彼女が本格的なブレイクを果たし、現在日本を代表するトップシンガーとしての地位を不動のものにしたきっかけになったのは、確か2009年にリリースされたシングル《明日がくる》ならだったと思うが、その2年前ぐらいにUSENで話題になっていた《奇跡を望むなら》で、もう既に彼女のアンテナは反応していたらしい。

私はJUJUという名前だけ聞いて「あ、なーんかアレじゃないの? ウェイン・ショーターの『JUJU』も、『マジック・オブ・ジュジュ』(70年代のジャズファンクバンド、前身はフリー系の"JUJU")もロクに知らんHIPHOP系の小娘じゃないのぉ?」とか、思いながら歌を聴いてみたが、その新人とは思えない唄の貫禄、声の深さ、そして曲調こそよくある「今ドキのポップス」だが、隠しても隠し切れずに滲み出てくるような、ジャズやアーバンなブルースを確実にルーツに持っているであろう香気を感じた。

「JUJUって人、凄いね・・・。こりゃちょっとそこらの小娘ではないわ・・・。」

「でしょ?」

という会話の2年後ぐらいに、お茶の間でも店頭でも、JUJUの名前と声を聞かない日はなくなる程になり、今に至る。

ニューヨーク 下積み

つい最近、テレビのドキュメンタリーで、彼女の特集を視たが、その内容に驚愕した。

実は、彼女はサラ・ヴォーン、レディ・ミス・キラー(元ディー・ライト)など、本格派のジャズやソウル、R&Bのシンガーに憧れて歌手になり、ジャズに対する憧れの念断ち難く、本場ニューヨークでずっとシンガーとしての“下積み”の経験をしていたこと、芸名のJUJUは、何とウェイン・ショーターがブルーノートから出したアルバム『ジュジュ』から取っていることなど、私が「もしかしてこの人本当は・・・」と何となく感じたこと全てが見事に的中していたのだ。

そして現在、ポップ・スターとして、彼女は成功をモノにして、若い世代からツウな音楽ファンまで、幅広い支持と人気を集めている。

JUJU 顔

2011年、2013年とリリースされた、彼女の念願だったジャズ・カヴァー・アルバム『DELICIOUS』、『DELICIOUS 2』も、彼女のジャズに対する純粋な愛情が、その、芯がありながらもどこかアンニュイな色香の漂う歌声に凝縮された、素晴らしいアルバムだった。

今私は、彼女を純粋なジャズ・シンガーとして聴きながら、《この夜を止めてよ》などのような王道J-POPの素敵なシンガーとして聴いている。

が、私は個人的に彼女の顔も好きなのだ。

彼女の唄を一層魅力的なものにしているのは、あの明らかにタダモノではないオーラと、大人の色気を醸しているルックスと、「クスッ」と笑った時に見せる意外な可愛らしさにもあると思う。

text by

●高良俊礼(奄美のCD屋サウンズパル

記:2014/11/04

 - 音楽 ,

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