カフェモンマルトル

text:高野雲

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コルグとローランド。音色で作風が左右されたかつての僕ら

      2015/07/07

SANYO DIGITAL CAMERA

昨日、とどきましたよ、KORGのTRIDENT。

▼コレだ!
trident

20年以上前の、アナログシンセサイザーです。

いやはや、デカイ。重い。

壊れないように、厳重に梱包されていました。

だから、ダンボールを空け、グルグル巻きのエアクッションを取り…と梱包を解くだけで一苦労。10分以上かかっちゃったよ。

でも、時間をかけて梱包を解き、中から出てきたツマミとボタンのカタマリのようなスタイリッシュなキーボード! うん、まさにトライデントです。

昔欲しかったけれども高くて手が出なかったキーボードです。

そのキーボードが破格の値段でオークションで落札。今手もとにあるわけです。

早速、電源を入れ、アンプにつないで音を出しました。

う、音が出ねぇ。

もしかして、ジャンク品か?

しかし、音色がプリセットされているボタンを押したら、音が出てきたので、一安心。

いやぁ、KORGの音だわ。

なかなかマトモな音が出ない(笑)。

マトモな音というのは、いわゆる左手で和音を押さえ、右手でメロディを奏でると、一応曲として鑑賞できる程度の音色です。

ブヤブヤした音や、ヴェロヴォロした音は面白いほど作れるんだけれどもね。でも、その音でたとえば、ネコふんじゃったを弾いても、なんだか、効果音的で、SFチックで、脳がビロビロと緩くなりそうなネコ踏んじゃったになっちゃうのよ。

しかし、そこがいいのよ。コルグらしいというか。

私も昔、このシンセの廉価版的な位置づけのコルグのシンセを持っていたけれども、やっぱり、マトモな音色作りには苦労したもん。ヘンな音は簡単に作れるんだけれども、“曲を弾くための音色”というのがなかなか出来ない。もちろん、作れるには作れるんだけれども、なんだか味気ない音。

だから、中高生のときの私は多重録音をしてたくさん曲を作って録音していたんだけれども、ほとんどが今でいうミニマルミュージック的な内容でした。

要するに先に作曲するんではなく、シンセで作った音に合った曲を作るわけです。そうすると、ノイジーで非メロディアスな曲になることが多いのです。

ま、それが楽しかったんですけれどもね。なんとなくアーティストな気分になれたから。

マトモな音がなかなか作れず、リャバリャバした音色ばかりを奏でるトライデントをいじりながら、ふと昔の自分を思い出しました。

うーん、やっぱええわ、コルグのシンセ(笑)。

この対極というべきシンセが、ローランドでした。

ローランドのジュノーなんかは、どちらかというとライブ向けで、“マトモな(?)音色”、“腰のしっかりした音色”をどんどん作ってくれました。

ここでいうマトモな音色というのは、たとえばライブをやっているときに、ギターやヴォーカルを邪魔をしない、ヘンに存在感を主張しすぎない、きちんとバッキングの勤まる音色のことを指しますが、ローランド系のシンセにはそのような機種が多かったように感じます。

ジュノーのほかは、SH-101も持っていました。

このシンセはモノフォニック(複数の音を押しても1音しか出ない)でしたが、結構重宝しました。

ローランドのシンセを使って曲を作るときは、比較的マトモなメロディ付きの曲が浮かび録音していました。

それに比べてコルグは……(笑)。

中学校、高校のときに私にはライバルがいまして、互いに作曲して多重録音した曲を定期的に聞かせあって、批評しあったりしていました。

私はコルグ派。向こうはローランド派。

YMOやクラフトワークなど、好きな音楽が似ていて、最初の頃は作る曲の傾向は似ていました。しかし、使う機材の影響からか、作風が変わってきたのですね。

コルグ派の私は、次第に前衛っぽいメロディのないノイズ的な実験作のような音楽ばかりを作るようになりました。

一方、ローランド派の友人は、どんどんメロディアスな曲を作るようになってきた。コード進行に凝り、ヴォイシングにも凝ったりと、なかなか聴き応えのある曲を作っていましたね。

最初は同じような曲を作っていた二人が、機材の違いで作風が変わってしまうぐらいなのだから、ハードが人間の感性に及ぼす影響ってものすごくデカいと思いましたね。

だから、今の私が環境音楽やミニマルミュージックが好きなのも、ワケが分からないことも多いんだけれどもフリージャズという音楽と行為そのものにシンパシーを覚えるのも、これは絶対にコルグのシンセの影響だと思う(笑)。

そう、コルグのせいで、私の音楽の嗜好までもが定まってしまった(笑)。

うーん、いいよなぁコルグ。だから好きなんだよコルグ。

せっかく手に入れたコルグのフラッグシップシンセサイザー(20年以上前の話だけど)、大事に使って、たくさんヘンな音を鳴らして遊びたいと思います。

そういえば、昨日の夜は、息子が鍵盤にチョップしたり、ツマミを回したり、ピッチベンダーを上下させながら、ながら「ぎゃはは」を嬉しそうに仰け反ってました。こいつも、かなりヤバいかも(笑)。

▼MONO/POLYといえば、今、DTM用のソフトが出ていますね

記:2006/08/03(from「趣味?ジャズと子育てです」)

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